出精値引きの書き方を解説!法律違反を避ける方法とは

出精値引きの書き方を解説!法律違反を避ける方法とは

出精値引きとは、協力業者の努力によっておこなわれる値引きです。建設業界で日常的に使われる表現ですが、以下のような疑問を持ったことがある方もいるのではないでしょうか。

●出精値引きと値引きとの違いは?
●出精値引きは法律違反・コンプライアンス違反にならないのか?
●出精値引きの表現に決まりがあるのか?

本記事では、出精値引きの概要、法律違反にならない出精値引きとの関わり方について解説します。工務店経営者や調達・購買担当者は最後までご確認ください。

 

出精値引きとは?

出精値引きとは?
出精値引きとは、工事の質や部材の質を下げずに企業の努力によっておこなわれる値引きです。出精値引きは、限界まで値引きしているため「これ以上見積り金額を下げることはできません」との意味合いがあります。

出精値引きは本来予定していた利益を削って行われるため、定義される見積り金額は採算ラインぎりぎりのことが多いです。また一般的に出精値引きには内訳がありません。見積り金額全体から値引きを行います。

 値引きとの違い

出精値引きとその他の値引きの違いについても解説します。先述したように出精値引きは、質を下げず企業努力によって行う値引きです。

通常の値引きは、以下のような条件付きであることが多いです。

●工期の融通はあれば値引きする
●施工がおこないやすいように納まりを変更させてもらえれば値引きする

通常の値引きは、協力業者にもメリットがあればおこなわれます。また決算時期が近いと、目標達成するためのキャンペーン値引きというかたちで値引きがおこなわれることもあります。

 出精値引きが使用されるタイミング

出精値引きが使用される主な場面は以下の2つです。

●取引先と良好な関係を築きたいとき
●どうしても工事を受注したいとき

つまり出精値引きには以下の意味合いがあります。

●頑張って値引きするから良好なお付き合いをしましょう
●競合他社よりも安くするため当社に発注してください

また端数を調整する目的で出精値引きが使用されるケースもあります。例えば、見積り金額105万円を100万円に調整するときが該当します。

出精値引きをおこなう4つのメリット

出精値引きをおこなうことで、以下のような4つのメリットがあります。

出精値引きをおこなう4つのメリット

取引先との信頼関係を構築できる

出精値引きは企業努力によっておこなう値引きであるため、顧客の利益を重視する姿勢を見せることで信頼関係を構築できます。
最適なタイミングで値引きを提案することで、取引先の課題やニーズに応えられるようになります。
そのため取引先との信頼関係を構築できる点は、出精値引きをおこなうメリットの1つです。

コスト削減につながる

出精値引きを活用すれば、原材料や部品の調達コストや営業コストの削減へとつながります。
原価を下げる必要がなく、顧客にとってもメリットが大きいです。
取引先や市場の動向をチェックし、状況に合わせた価格設定をおこなうことが大切です。

長期的な取引を維持できる

出精値引きによって顧客から信頼関係を得ることができれば、長期的な取引を維持できるようになります。
取引先との連携や協力関係を強化できるようになるため、将来的な共同成長を見込めます。
安定した売上を確保できるようになるので、両者にとってもメリットといえるでしょう。

柔軟な価格設定ができる

出精値引きをおこなえば、市場の状況や競合他社の価格に合わせて柔軟な価格設定ができます。
例えば資材の物価が高騰しているときは値引きをおさえて、安定しているタイミングで実施するといったことが可能です。
そのため柔軟な価格設定ができる点は、出精値引きのメリットの1つです。

出精値引きを実施するときのポイント

出精値引きを実施するときは、以下のようなポイントをチェックしてください。

●取引先との関係性を整理
●コスト削減ができるか分析
●値引きの提案
●取引条件の調整
●文書の表記

それでは詳しく解説します。

取引先との関係性を整理

出精値引きは、取引先との長期的な関係を考慮して実施する値引きです。
取引先との関係性を整理し、ニーズや課題、要望の目標を理解することが大切です。
取引先とのヒアリングができれば、内容をリストとして書き出すようにしましょう。

コスト削減ができるか分析

出精値引きを実施するには、自社のコスト構造を分析しながら値引きできるかを判断します。
各項目でコスト削減ができるポイントがあるのか、細分化しながら分析するようにしましょう。

値引きの提案

出精値引きでは、具体的な金額や割合を出して値引きが反映されるようにします。
取引先には、値引き理由や背景についても具体的に説明するようにしましょう。

取引条件の調整

出精値引きが取引先に受け入れられたなら、合わせて取引条件や契約内容などを調整します。
値引き条件や期間、取引品質などの変更点を明確化しながら、取引先から合意を得るようにしましょう。

文書の表記

出精値引きでは、見積もり書や請求書などに文書として表記する必要があります。
値引き内容を明確に記載しながら、取引先との合意内容をチェックできるようにしておきましょう。

見積り書における出精値引きの書き方と記号

見積り書における出精値引きの書き方を解説します。出精値引きを記載する際は、出精値引きの前に記号の「▲」「-」を使用します。例えば10,000円を出精値引きする際は以下のように記載します。

●▲10,000円
●-10,000円

また出精値引きを強調する目的で「出精値引き10,000円」と記載することもあります。さらに出精値引きのテキストの色を赤に変えるといった工夫の方法も考えられるでしょう。

出精値引きの書き方に厳密な決まりはありません。しかしあまり見られない書き方をすると、出精値引きと認識されない可能性があります。そのため、自社オリジナルの記載方法を採用する際は、取引先との認識を合わせておきましょう。

Link_見積り金額計算方法を解説!便利な計算方法とは?

出精値引きの注意点

見積り書に「出精値引き」と記載する際は、以下3つのことに注意しましょう。

1.値引き前の金額も記載する
2.「▲」「-」以外の記号は使用しない
3.出精値引きの理由を説明する

 1.値引き前の金額も記載する

出精値引きを記載する際は、値引き前の金額も記載しましょう。なぜなら値引き前の金額がないと、本当に値引きされているか分からないため、顧客に不信感を与える可能性があるからです。
また値引き前の金額がわからないと、他担当者が見積りを確認したときに「小計の合計と見積金額が合っていない」と混乱するケースも考えられるでしょう。
そのため出精値引きを記載する際は、値引き前の金額も記載して自社・協力業者ともにわかりやすい見積りの作成がおすすめです。

 2.「▲」「-」以外の記号は使用しない

「▲」「-」以外の記号は使用を避けましょう。「▲」「-」以外の記号を使用すると、出精値引きの意図が伝わらないこともあります。
しかし一般的ではない記載方法をおこなうと、自社と顧客で認識の食い違いが生まれる可能性が高いです。顧客や協力業者と見積書の記載方法についてすり合わせを行っていないならば、出精値引きを示す記号は「▲」「-」の2つに限定することをおすすめします。

 3.出精値引きの理由を説明する

出精値引きの理由は、説明できるようにしましょう。顧客や担当者によっては出精値引きの理由を求められることもあります。
値引きの理由を答えられないと、顧客から「お願いすればいくらでも値引きしてくれる会社」と思われかねません。可能であれば見積り書に「出精値引き」と記載しましょう。
また見積書に出精値引きと記載しない場合であっても、口頭で出精値引きの理由を答えられるようにしましょう。

出精値引きは違法?コンプライアンス違反?

出精値引き自体は、違法ではありません。ただし元請会社から協力業者に対して出精値引きを求めると、法律違反になる可能性があります。

「中小企業庁・公正取引委員会からのお知らせ」では、相場と比べて著しく低い単価で取引価格を決定すると、下請法や独占禁止法に違反する恐れがあるとしています。

法律違反とならないために元請会社は、以下の項目をチェックしましょう。

●自社の予算をもとに協力会社に値引きを要求していないか
●不況や材料高騰時に、協力業者に対して大幅値引きを要求していないか
●低品質な海外製品を例にして、出精値引きを要求していないか
●材料や納まりの変更などの協力なく、一方的に値引きの要求をしていないか

上記のチェック項目に1つでも当てはまると、下請法や独占禁止法違反に該当するおそれがあります。出精値引きは、協力会社が自主的におこなうものです、決して強制してはいけません。

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出精値引きに関するよくある質問

最後に、出精値引きに関するよくある質問について回答します。

●出精値引きはどのような場面で使われる?
●出精値引きのトラブルを避ける方法は?
●出精値引きは法律に違反する?

疑問を解消するためにも、ぜひチェックしてください。

出精値引きはどのような場面で使われる?

出精値引きは、大量注文や継続取引、特別なキャンペーンなどに使われます。
状況に合わせて、出精値引きをうまく活用するようにしましょう。

出精値引きのトラブルを避ける方法は?

出精値引きに関するトラブルを避けるためには、値引きの条件や期間などを契約書に明確に記載しておくことが大切です。
取引先とのコミュニケーションを積極的に取れば、トラブルを避けられるようになるでしょう。

出精値引きは法律に違反する?

出精値引き自体は違法ではありません。
ただし、元請会社が下請業者に対して不当に低い価格での取引を強要する行為は、下請法に違反する可能性があるので注意が必要です。

まとめ

本記事では、出精値引きについて解説しました。出精値引きは、企業努力によっておこなわれる値引きです。

そのため決して出精値引きを強制してはいけません。協力業者に出精値引きを強制すると、下請法や独占禁止法に違反する可能性があります。

また見積りに出精値引きを記載する際は、「▲」「-」使用しましょう。「▲」「-」以外を使用すると、出精値引きと認識されない可能性があります。

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