【建設業経理向け】収益認識基準の基本と工事進行基準からの変更点
建設業の請求書は、一般的な請求書と異なり、工事名など特有の記載項目があります。
さらに、インボイス制度や2024年問題における対応も求められるため、正しい作り方を理解することが重要です。
本記事では、建設業の請求書に必要な項目と書き方、作成時の注意点、送付方法までを詳しく解説します。
加えて、すぐに使えるテンプレートや効率化のヒントもご紹介します。
INDEX
請求書は代金の支払いを依頼するための公式な書類であり、取引先との信頼関係を保つためにも正確さが求められます。
ここでは、請求書の基本的な役割や意味、建設・建築業における重要性について解説します。
建設業の請求書は他業種と異なり、工事の進行に合わせて「着手金」「中間金」「最終金」と分けて発行するのが一般的です。
内訳には「人工費(人数×日数で算出)」「材料費」「重機費」など現場特有の項目が並びます。
公共工事では独自様式が定められている場合もあり、東京都財務局の公式サイトからダウンロードできる様式もあります。
請求書の記載ルールを守ることで支払いが滞らず、トラブルの防止が可能です。
建設・建築業界では、金額が高額になりやすく工事内容が複雑なため、記載ミスや不足がトラブルの原因になりやすいです。
ここでは、建設・建築業の請求書作成において押さえておくべきポイントや注意点について解説します。
請求書に書くべき項目に抜け漏れがあると入金が遅れたり、差し戻しになったりするケースがあります。
最低限記載すべき項目は、以下の通りです。
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2023年10月から始まったインボイス制度では、仕入税額控除を受けるために「適格請求書発行事業者」の登録番号を請求書に記載する必要があります。
免税事業者の場合、登録番号を取得していないと、取引先が消費税分を控除できなくなるため、契約や支払い条件に影響する場合があります。
登録番号の記載方法はシンプルで、請求書の発行者情報欄に「登録番号:T+13桁の数字」と記載するだけです。
ただし、番号の誤記載はインボイスとして認められないため、国税庁の公表サイトなどで正しい番号を確認してから記載しましょう。
請求書の作成は時間も手間もかかりますが、エクセルやWordのテンプレートを使えば、必要事項を入力するだけで完成します。
中には人工費(にんくひ)や材料費の欄が標準で備わっている建設業専用のテンプレートもあり、集計ミスの防止にも役立ちます。
さらに、近年はクラウド型の請求書作成サービスも普及しており「ボタンひとつで請求書が出せるから残業が減った!」と喜んでいる会社も多いです。
現場と事務所の双方でリアルタイムに情報を共有できるタイプもあり、業務効率化の対策として非常に有効です。
もちろん、法律上は手書きでも問題はありません。しかし、訂正や再発行の手間を考えると、パソコンやクラウドソフトでの作成のほうが効率的です。
焦って作ると「ゼロひとつ間違えてた!」というようなミスも起こりやすく、特にインボイス制度では記載内容の正確性が求められるため、誤記は信用にも関わります。
「金額や日付が間違っている」「宛名が略称になっている」「消費税額や登録番号の記載がない」などのミスがないように注意しましょう。
また、請求内容が「工事一式」だけのように曖昧すぎる表記も避けるべきです。
例えば「◯◯マンション外壁改修工事(足場設置・塗装・防水含む)」のように具体的に書くと、相手の確認がスムーズになり、後々のトラブル防止にもつながります。

弊社が提供しているエクセル形式の請求書テンプレートです。
ダウンロードして、必要事項を入力してご使用ください。
なお、ご請求額、小計、消費税、合計は自動計算されます。
請求書は、工事の種類や範囲、使用した資材などを具体的に記載することで、取引先が内容をスムーズに確認できます。
ここでは、建設・建築業の請求書に必要な項目と正しい書き方について、記入例を用いて解説します。
請求書はまず「誰に向けて発行しているか」を明確にします。宛先が間違っていると、入金が遅れるだけでなく、取引先からの信頼を失いかねません。
記入する際は、会社名・部署名・担当者名を正式名称で書き、必要に応じて敬称(御中、様)をつけます。
| 【記入例】
株式会社〇〇商事 御中 |
請求する金額の根拠を示す項目です。建設業では「工事名」「契約金額」「工事内容」「出来高」などを具体的に記載します。
「一式って書いておけばいいでしょ?」と思いがちですが、内容が曖昧だと確認に時間を取られるため、工種や作業内容を分けて記載します。
| 【記入例】
工事名:〇〇商事本社ビル改修工事 |
消費税は「税抜金額+消費税額」または「税込総額」を明確に書きます。
インボイス制度下では、税率(例:10%)と税額を分けて記載することが必須です。内訳がない請求書は、仕入税額控除の対象外になる場合があります。
| 【記入例】
税抜金額:1,100,000円 合計:1,210,000円 |
請求書の日付は、取引先の経理処理や支払期日の基準となります。年月日は必ず西暦または和暦で統一して記載します。
| 【記入例】
発行日:2025年8月15日 |
支払期限は「月末締め翌月末払い」など契約条件に沿って設定します。日付を明確に記載することで、支払いトラブルを避けられます。
| 【記入例】
支払期日:2025年9月30日 |
請求書を発行する会社や個人の情報を明記します。会社名・所在地・電話番号・メールアドレスなど連絡先をすべて記載するのが望ましいです。
| 【記入例】
株式会社〇〇工務店 TEL:03-1234-5678 |
銀行口座の情報は間違いがないよう、銀行名・支店名・口座種別・口座番号・名義を正確に記載します。
| 【記入例】
振込先:第一銀行新宿支店 |
遅延損害金の条件、振込手数料の負担先、契約に基づく注意点などを記載します。特記事項は、法的なトラブル防止に役立ちます。
| 【記入例】
振込手数料は貴社負担でお願いします。 |
請求書の管理や照合をしやすくするため、連番や年月を組み合わせた番号を付与します。重複防止にもつながります。
| 【記入例】
請求書番号:2025-0815-001 |
2023年10月から始まったインボイス制度では、以下の項目を満たす必要があります。
| 【記入例】
登録番号:T1234567890123 |
請求書の送付方法は、取引先の方針や契約条件によって異なるため、状況に応じた判断が大切です。
ここでは、代表的な方法である郵送とメールについて解説します。
建設業界では、今でも請求書を郵送で送るケースが多くあります。「まだ郵送って必要なの?」と思う方もいますが、特に官公庁案件では紙での提出が一般的です。
送付前には、宛名や住所に間違いがないか、押印や記載漏れがないかを必ず確認しましょう。
簡易書留やレターパックを使えば、到着日や配達状況を追跡できるため、紛失リスクを防げます。
特に工期や支払期日が迫っている場合は、到着日を逆算して余裕を持った発送が大切です。
最近では、PDF化した請求書をメールで送る方法も増えており、即日相手に届き、郵送に比べてコストも時間も削減できます。
ただし、相手が電子データでの受け取りを許可しているか事前に確認する必要があります。
添付ファイルは必ずパスワードをかけてクラウド共有するか、暗号化メールで送信すると安全です。
送信後には「受領確認」を依頼し、未確認のまま放置しないようにしましょう。
建設業界では、2024年4月から「働き方改革関連法」が本格適用され、時間外労働の上限が原則「月45時間・年360時間」に制限されました。
長時間労働の是正が進む一方で、人手不足や工期短縮のプレッシャーが強まっており、現場管理や請求業務の効率化が大きな課題となっています。
特に請求書作成では、工事ごとに内訳や証憑(見積書・納品書など)を揃える必要があり、負担が増えがちです。
そのため、効率化を怠ると、支払い期日に間に合わない恐れもあります。
記事中で紹介したように、請求書作成を効率化させる対策をとりましょう。

工務店向けクラウド業務サービス「AnyONE」では、見積書・請求書の作成から送付、保管、共有までをクラウド上で一元管理できます。
過去の書類や修正履歴も自動保存されるため、いつ・誰が・どのような変更を行ったのかが明確に把握でき、情報管理の精度が格段に向上します。
さらに、アクセス権限の設定やダウンロード期限、パスワード保護などのセキュリティ機能も充実。重要な取引データも安心して管理できます。
日々の請求業務を効率化し、業務負荷を大幅に軽減します。
建設業の請求書は工事の証明書としての役割も果たすため、記載漏れや不備があると、支払いの遅れや、信用を損ねる恐れがあります。
郵送・メールそれぞれの送付方法にはメリットと注意点があるため、取引先や案件に合わせて使い分けることが大切です。
また、インボイス制度対応や業務効率化のためには、請求書作成ソフトやクラウドサービスの活用も検討すると良いでしょう。
インボイス対応と業務効率化にはクラウド型の請求書作成ツールが効果的です。
「AnyONE」なら、作業内容・単価・顧客情報を登録しておくだけでワンクリック自動作成、統一テンプレートでブレのない請求書、過去請求の流用までスムーズに業務を進められます。
正確でわかりやすい請求書は、安定した取引と信頼構築の第一歩です。
自社で運用しやすい請求書の作り方をフロー化し、ミスなく請求書を発行できる体制を整えましょう。
記事監修:大﨑 志洸/株式会社Limited 取締役
兵庫県出身。施工実績は累計5,000件以上。
総工費10億円規模のプロジェクトに従事し、施工管理の実務経験を積む。
その後、商社の建設事業部にて総工費3億円規模のビル改修やオフィス・店舗内装を手掛け、同事業部の立ち上げを主導。
現在は、2024年2月に株式会社Limitedを代表の吉田と共同設立し、内装工事の受注に加え、施工管理の派遣・人材紹介業務に関するコンサルティング事業を展開している。
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