電気工事の見積書の作成方法は?手順とポイントを解説

電気工事の見積書の作成方法は?手順とポイントを解説

電気工事の見積書作成は、工事の規模や内容によって単価や歩掛に違いがあります。しかし基本となる構成は共通で、材料費と施工費、経費費用の3つです。

この記事では電気工事の見積書の作成手順、作成時に注意すべきポイント、作成を効率化させてくれるツールについて解説します。

電気工事の見積書の作成手順

建設工事としての電気工事は、発電・変電設備、送配電設備、構内電気設備などを設置する工事とされています。そのほか、照明設備、電車線、信号設備なども電気工事です。

電気工事の特性に合わせた見積書の作成手順を具体的に説明し、続いて見積書の作成例を解説します。

工事の概要と特性の把握

最初に、工事の発注者が開示した設計図書や仕様書を精査して、工事の概要や特性、規模などを把握します。

現場に施工を制限する条件はないか、特別な部材がある場合は単価や納期、設計図面と現場に齟齬はないかなどの確認が必要です。

次に工事を施工するにあたって必要になる材料を拾い出し、かかる労務を計算しますが、この場合は国土交通省が公表している積算基準を参考とします。

電気工事では、「公共建築工事標準単価積算基準」や「電気設備工事積算要領」などの積算基準を参考にしましょう。

補足:積算とは、各作業の歩掛を積上げて工種ごとの金額を算出する事で、歩掛とは材料費に施工費をプラスしたものです。

材料費の算出

材料費の算出にあたっては、最初に各部材の種類や規格、数量などを正確に拾い出す必要があります。この拾い出し作業は、設計図や施工図をもとに行われます。

電気工事の設計図や施工図は、設備や部品の配置場所や配線を、実際に使用できる系統ごとに表しているため細かくて複雑です。

ただし間違いがあると赤字工事の原因にもなり得るため、時間も手間もかかりますが、正確な拾い出しが求められます。

拾い出しと、その集計で忘れてはならない事が2点あります。作業上どうしても発生してしまうロス率を考慮すること、材料費を現場まで運ぶ運搬費を含めることの2点です。

施工費の算出

施工費とは、工事を行うのにかかる技術的な費用の事で、材料費は含みません。直接的に現場の施工にかかる費用のため、賞与や各種手当、法定福利費なども除外されます。

施工費は、労務費として扱われる事もあります。施工費と労務費はほぼ同様の意味の用語ですが、機械や道具などの損料費を含む場合は、施工費として捉えるのが一般的です。

建設業における施工費は、以下の計算式で算出します。

施工費=所要人数(所定の作業量×作業の歩掛)×労務単価(日額+割増賃金)

所要人数で所定の作業量に歩掛を乗ずる理由は、建設工事は材料や工法、現場状況でかかる人工が違うからです。

歩掛は諸官庁の積算基準、労務単価は国土交通省が毎年公表している「公共工事設計労務単価」などを参考にします。

経費費用の算出

材料費、施工費の次に算出する費用は、経費費用です。経費(共通費)には、共通仮設費、一般管理費、現場管理費、法定福利費などがあります。

●共通仮設費|工事のための仮設の建物や道路、環境・安全対策費など
●現場管理費|現場技術者の給与や現場事務所の通信・交通費など
●一般管理費|請負会社の管理部門の給与や光熱・通信費、広告料など
●法定福利費|企業が法律に基づき従業員に提供する保険や費用

上記の経費は、公共工事において計上が規定されていますが、民間工事では明確な基準はありません。ただし法定福利費は、下請が元請に見積書を作成・提出する際は、民間工事でも内訳明示することが義務づけられているため注意が必要です。

電気工事の見積書の作成例

電気工事の見積書の作成例

上記は、電気設備更新工事の見積内訳書の作成例です。施工費には、既存設備の撤去費用も含まれています。

材料費と施工費、経費費用が明確に分けられているため、一般的な相場や他社見積と比較しやすいです。

民間工事のため、経費は先方との過去の実績や社内外の状況判断により設定されています。ただし、法定福利費については適切に明記されています。

電気工事の見積書作成のポイント

電気工事の見積書は、依頼主と良好な信頼関係を築き、スムーズに工事を進めるため、また適正な利益を確保するために必要な書類です。ここでは見積書作成時のポイントを4つ紹介します。

積算と歩掛の重要性

一般的に電気工事はいくつかの工種で構成され、各工種は細かな作業の連続で成立します。

この細かな作業を施工するために必要となる材料や労務、機械などにかかわる費用の合計が「歩掛」です。この歩掛を積上げて工種ごとの金額を算出し、最終的には工事価格として合算するのが「積算」です。

歩掛を計算する時に参考にするのが、国土交通省が公表している「公共建築工事標準単価積算基準」や「土木工事工事費積算要領および基準の運用」となります。

電気工事の歩掛は、施工方法などで変動し、社会情勢の影響も受けやすいため常に最新の情報に更新していないと正確な積算はできません。

間違った歩掛で積算した見積書は、会社に大きな損失を与えてしまう可能性があります。

わかりやすく適切な価格設定

わかりやすい見積書とは、材料の種類や数量が明確で、順に確認していくだけで工事の内容や流れが理解できる見積書です。

公共工事では、設計内訳書通りに見積する事がほとんどですが、民間工事では自社の見積書で提出するほうが多くなります。この見積書が、数量は「一」、単位は「式」ばかりでは、わかりやすいとはいえません。

例えば材料は、名称や規格、品番まで記載されていて、依頼者がカタログで確認する時に、難なくその製品にたどり着けるようにしているものがベストです。

また価格設定では、常に最新の市場価格を意識し、適切な価格設定を行う事が依頼主からの信頼を獲得する事につながります。

過去データの参照

過去の工事の単価を参考にする事も見積書作成の効率化には有効です。工事の工種や規模、使用材料が似ている工事が特に参考になります。

ただし、歩掛は変動していることが多いため、詳細を確認し最新のデータに更新する事は必要です。

ツールを導入すれば、自動的にデータのアップデートが可能なため、過去の類似案件からデータを流用して簡単に見積書を作成する事ができます。

見積書の作成コストの検討

工事費用の算出には、見積書の作成コストも考慮しなければなりません。

積算の必要な見積書作成は、集中力の必要な細かい作業の連続です。入札や見積合わせのための見積書作成では、時間的な制約もあります。

以上のように、心身ともに疲労しやすい見積書作成は、工事費用のコストとして計上されるべきものでしょう。ツールを導入し効率化して、コストを削減する事が求められます。

見積書作成には業務効率化ツール

電気工事の材料の種類は多く、施工の専門性も高いため見積書作成は難しいとされており、現在では作成業務を効率化するツールやソフトが数多く流通しています。

しかし安易に導入すると、ツールの機能や特長を活かしきれない、自社の業務に適合できていないなどの失敗を起こしかねません。

業務効率化ツール導入のメリットや選び方、ほかの機能との連携について解説します。

ツール導入のメリット

ツールを導入する事で、積算の精度を上げ、作業期間を短くする事ができます。

各自治体や諸官庁ごとの積算の特徴や傾向を把握したり、毎年のように変更されるデータを簡単に更新したりできるツールを選べば積算の精度は格段にアップします。

ツールの多くは、設計図書や図面から自動で材料の拾い出しができるため、計算ミスや漏れが少なくなり作業時間も大幅に短縮可能です。

これまでのやり方では、担当者のスキルによって、積算の精度や効率に差が出やすかったです。しかし、ツールを導入すれば属人化を防ぎ、業務の標準化が可能になります。

ツールの選び方

ツールを選ぶ時のポイントは、操作性の高さとサポート体制です。

複雑で細かな作業の連続になる積算業務では、操作性の高さは重要ポイントです。レイアウトがわかりやすく、入力あとの確認や見直しも楽にこなせるツールを選びましょう。

長時間作業をしていても、ストレスフリーで疲れにくいツールである事が大切です。

サポート体制の内容や条件を、事前にしっかり確認しておく事も忘れてはいけません。どんなツールも操作に慣れるまではサポートが必要であり、実際に動かしてみて初めてわかる疑問点も必ずでてきます。

そういう時に素早くサポート対応を受け付け、遠隔操作で指導してくれるようなサポート体制がベストです。

利益管理などほかの機能との連携

業務効率化ツールでは、積算で作成されたデータを簡単にほかの機能と共有し連携できます。積算データをそのまま見積書作成に活用したり、施工計画書の作成や施工管理に活かしたりできます。

「建設物価」「土木コスト情報」「建設コスト情報」などの外部データを単価データファイルとして利用できるツールもあります。

データはクラウドに蓄積されるため、各部署からいつでもどこからでもアクセスできて、共有する事ができます。リアルタイムに発注量や在庫数、資金の流れなどがわかり、経営サイドの利益管理にも有効です。

見積書作成なら「AnyONE」

AnyONE(エニワン)
電気工事の見積書作成には、業務効率化ツールである「AnyONE」がおすすめです。

AnyONEはもともと工務店・リフォーム会社向けに作られましたが、電気工事会社をはじめとした専門工事会社の見積書の作成業務も効率化できます。

AnyONEは、エクセルに保存された工事原価情報やCADの積算情報と連携できます。そのため入力の手間がかからず見積書の作成が可能です。

さらに、エクセルと似た操作感を持っており、ITツールが苦手な方でも操作方法に迷う事が少ないです。加えて、以下の機能にも対応しています。

【AnyONEの機能】
顧客管理
帳票管理
工事管理
もの件管理
実行予算管理
支払い管理
請求・入金管理
図面・写真管理
アフター・メンテナンス管理

AnyONEは工事にかかわるお金の管理を一括でおこなえるため、案件ごとの利益の推移を簡単に把握できます。予定よりも利益が少ない場合は、積算・見積り・実行予算いずれかの段階に原因があるケースが多いです。

AnyONEを活用すれば、各段階の利益推移を簡単に追えるため、低利益工事・赤字工事となった原因の分析が簡単に行えることも人気の理由となっています。

まとめ

本記事では、電気工事の見積書作成について、以下の内容を解説しました。

●電気工事の見積書の作成手順
●電気工事の見積書作成のポイント
●見積書作成を効率化するツールについて

見積書は工事で適正な利益を確保するために欠かす事ができない重要書類ですが、電気工事の見積書作成は、材料の種類の多さや施工の専門性の高さから難しいとされています。

業務効率化ツールを導入する事で、見積書作成時の積算の精度は上がり、積算で作成されたデータを利益管理などほかの機能に活用する事ができます。

本記事でおすすめする業務効率化ツールは「AnyONE」です。

ソフトの比較検討をしたい方は、下記の複数ソフトの『ほか社システムの機能比較』ボタンからぜひチェックしてみてください。
2024_4社比較_バナー

いつでもお気軽に
お問い合わせください!

チャットでお問い合わせください。

Pagetopボタン