【積算】共通仮設費とは?内訳と計算方法をわかりやすく解説

【積算】共通仮設費とは?内訳と計算方法をわかりやすく解説

積算業務では、直接建物に関係ある費用以外にも工事を安全・円滑に進めるための費用も盛り込まなければなりません。

しかし、積算業務の経験が浅い方は、共通仮設費に該当する費用がわからず困った経験のある方も多いでしょう。

本記事では、共通仮設費の概要、共通仮設費に該当する8つの費用について解説します。積算業務の経験がある方は、最後まで読んで下さい。

 

共通仮設費とは?

共通仮設費とは、建物を安全・円滑に建てるため必要となる施設や設備にかかる費用です。共通仮設費を用いて設置された施設や設備は、直接建物とは関係ないため竣工後に撤去されます。

共通仮設費として計上される費用の例は以下の通りです。

●仮設事務所
●仮設用トイレ
●足場

Link_建設業の利益率が低い理由とは?利益率を高める方法も解説

共通費や直接仮設費との違い

建設工事の積算において、「共通仮設費」は他の似たような費目と混同されやすい傾向にあります。
特に「直接仮設費」や「共通費」、「現場管理費」との違いを正確に理解していないと、見積もりの計上漏れや重複計上が発生し、工事利益を損なう原因となります。

ここでは、それぞれの費目の定義と明確な違いについて解説します。

共通費における共通仮設費の立ち位置

まず「共通費」とは、工事全体を進めるために間接的に必要となる費用の総称です。特定の作業だけでなく、現場運営全体に関わるコストを指します。
一般的に、共通費は以下の3つの要素で構成されており、共通仮設費はその中の一つという位置づけになります。

1. 共通仮設費:現場全体で使う「仮設物・設備」の費用(ハード面)
2. 現場管理費:現場を運営する「人件費・事務費」などの費用(ソフト面)
3. 一般管理費:会社全体を維持管理するための費用(本社経費など)
つまり、「共通費」という大きな枠組みの中に「共通仮設費」が含まれているという包含関係を理解しておきましょう。

直接仮設費と共通仮設費の明確な境界線

実務で最も間違いやすいのが「直接仮設費」との区別です。
どちらも「仮設」という言葉がつきますが、費用が計上される区分と対象範囲が決定的に異なります。
最も大きな違いは、「特定の作業のために使うか、現場全体で使うか」という点です。

●直接仮設費
o 定義:特定の工事種目(塗装工事や躯体工事など)を行うために、直接的に必要となる仮設費用。
o 計上区分:直接工事費に含まれる。
o 特徴:その作業が終われば不要になるものや、特定の職人しか使わないものが該当します。

●共通仮設費
o 定義:特定の工種に関わらず、工事期間を通じて現場全体で共通して利用される仮設費用。
o 計上区分:共通費に含まれる。
o 特徴:現場に出入りする全作業員が利用するものや、現場のインフラとなるものが該当します。

例えば、「足場」は外壁工事や躯体工事のために設置されるため、一般的には直接仮設費(※)として扱われます。
一方で、現場の周囲を囲う「仮囲い」は、工事の種類に関係なく現場の安全と保安のために設置されるため、共通仮設費となります。

※大規模な改修工事などで、多職種が共通して使用する外部足場などは共通仮設費として扱う場合もありますが、基本的には直接仮設費として各工種の単価に含めるか、別途仮設工事費として積み上げます。

 

費目の違いまとめ一覧

共通仮設費、直接仮設費、そして現場管理費の違いを整理すると以下のようになります。見積書を作成する際は、これらの項目が正しい区分に振り分けられているかを確認してください。

費目 大区分 対象・性質(判断基準) 具体例
共通仮設費 共通費 工事全体で共通して使用する

「モノ・設備(ハード)」

現場事務所、仮設トイレ、仮囲い、工事用電力・水道、全般的な揚重機械
直接仮設費 直接工事費 特定の作業に直接必要な「作業用仮設物」 外部足場、内部養生、墨出し、コンクリート型枠支保工
現場管理費 共通費 現場運営に必要な「ヒト・事務経費(ソフト)」 現場監督の給与、租税公課、保険料、事務用品費、通信費、交通費

 

このように、「モノかヒトか」「全体か個別か」という軸で考えると、各費用の分類が判断しやすくなります。
特に民間工事の見積もりでは、これらの区分が曖昧なまま「一式」で計上されることもありますが、原価管理を徹底するためには明確に使い分けることが重要です。

 

共通仮設費に該当する8つの費用

共通仮設費は、以下8つの費用に分けられます。

準備費

準備費とは、工事を安全・円滑に進めるために必要となる費用です。道路占有料や仮設用借地料など工事着手前の準備に要する費用が該当します。

さらに作業をスムーズにおこなうため、以下の費用も計上されます。

●敷地の整地費用
●敷地の伐開・除草費用
●機械の運搬費
●準備や後片付けにかかる費用

仮設建物費

仮設建物費とは、工事をおこなう上で現場監督や作業員が使用する下記の施設に関わる費用です。

●現場事務所
●作業員の休憩所
●仮設トイレ・シャワー室
●倉庫
●宿舎

上記の記述を自社で保有している会社は少なく、リース会社を利用するのが一般的です。現場事務所には、経済性だけでなく強度や防火性も求められます。

安さだけを求めてしまうと、地震・台風・火事が発生した際に倒壊・延焼する恐れがあり、現場監督や作業員が安心して使用できません。

また現場事務所には、プレハブタイプとユニットハウスタイプの2つがあります。プレハブタイプとユニットハウスタイプの特徴は、以下の通りです。

仮設建物費01

隣の現場など敷地が狭く、現場事務所を設置できないときは、マンションを現場事務所とするケースもあります。監督者の現場事務所を用意するときは、施工者と同じ部屋にせず独立させなければなりません。

上記の施設は、工事完了後には撤去してしまうため、あまり費用をかけたくないと思われがちです。

 工事施工費

工事施工費とは、第三者の安全や工事をスムーズに進めるためにかかる費用です。ただし設計図書によるイメージアップ費用は含まれません。

第三者の安全を守るための設備として、仮囲いが挙げられます。下記に該当する建築物を施行する場合は、1.8m以上の仮囲いを設けなければなりません。

●木造で高さ13mまたは軒高が9mを超える建築物
●木造以外で2階建て以上の建築物

ただし仮囲いを設置せずとも危険防止の観点から支障がないと判断できるときは、仮囲いを設けなくてもよいとされています。

工事をスムーズに進めるための設備は以下が該当します。

●工事用道路
●歩道構台
●場内通信設備
●足場(作業講台)

 環境安全費

環境安全費とは、現場外で働く人だけでなく一般の方にも危害が及ばないように配慮するための費用です。

具体的には下記の費用が該当します。

●安全標識・消防設備などの設置費用
●安全管理や合図などの要員にかかる費用
●隣接物などの養生や補償・復旧に要する費用

また上記以外にも騒音防止や粉塵軽減のための措置を講じる費用も含まれます。

 動力用水光熱費

動力用水光熱費には、工事に使うための電気設備・給排水設備の設置に関わる費用、電気水道料金等が該当します。

 屋外整理清掃費

屋外整理清掃費とは、屋外・敷地外の後片付け、後片付けに伴って発生する処分材などに要する費用です。

工事現場に置かれるバッカン(脱着式コンテナ)にかかる費用などが、屋外整理清掃費に該当します。

 機械器具費

機械器具費とは、工事全体で共通して使用する工事用機械器具にかかる費用です。具体的には下記が該当します。

●測量機器
●揚重用のゴンドラ
●乗用車を除く車両

 その他

その他に当てはまる費用は、上記7つに該当しない材料・製品の品質管理試験に要する費用です。

共通仮設費の計算方法

共通仮設費の計算方法は以下2つです。

●上記で解説した8つの費用を積み上げて計算する方法
●直接工事費に対する共通仮設費率を用いて計算する方法

共通仮設費率とは、過去の実績に基づいた直接工事に対する比率をいいます。共通仮設費率の計算式は工事の種類や直接工事費の金額規模によって上限と下限が決まります。

<前提>
※Kr:共通仮設費率(%)
※P:直接工事費(千円)
※T:工期(ヶ月)

Link_リフォーム工事での積算の作成ポイントとおすすめソフト

 新営建築工事

新営建築工事における共通仮設費率の計算式は以下の通りです。

Kr=7.56×P〖^(-0.1105)〗×T〖^( 0.2389)〗

新営建築工事の共通仮設費率の上限・下限は下記の表にまとめました。

新営建築工事02

 改修建築工事

改修建築工事における共通仮設費率の計算式は以下の通りです。

Kr=18.03×P〖^(-0.2027)〗×T〖^0.4017〗

改修建築工事の共通仮設費率の上限・下限は下記の表にまとめました。

改修建築工事03

 新営電気設備工事

新営電気設備工事における共通仮設費率の計算式は以下の通りです。

Kr=22.89×P〖^(-0.2462)〗×T〖^0.4100〗

新営電気設備工事の共通仮設費率の上限・下限は下記の表にまとめました。

新営電気設備工事04

 改修電気設備工事

改修電気設備工事における共通仮設費率の計算式は以下の通りです。

Kr=10.15×P〖^(-0.2462)〗×T〖^0.6929〗

改修電気設備工事の共通仮設費率の上限・下限は下記の表にまとめました。

改修電気設備工事05

 新営機械設備工事

新営機械設備工事における共通仮設費率の計算式は以下の通りです。

Kr=12.15×P〖^(-0.1186)〗×T〖^0.0882〗

新営機械設備工事の共通仮設費率の上限・下限は下記の表にまとめました。

新営機械設備工事06

 改修機械設備工事

改修機械設備工事における共通仮設費率の計算式は以下の通りです。

Kr=12.21×P〖^(-0.2596)〗×T〖^0.6874〗

改修機械設備工事の共通仮設費率の上限・下限は下記の表にまとめました。

改修機械設備工事07

 昇降機設備工事

昇降機設備工事における共通仮設費率の計算式は以下の通りです。

Kr=7.89×P〖^(-0.1021)〗

昇降機設備工事の共通仮設費率の上限・下限は下記の表にまとめました。

昇降機設備工事08

効率的な積算にはAnyONE

効率的な積算業務にはAnyONE(エニワン)の使用がおすすめです。AnyONEは、業種や原価が決まっている項目であれば、テンプレートとして登録できます。

テンプレートを活用すると、積算や見積り時に入力ミスがなくなります。さらに担当者が案件ごとに単価・書式が異なるといった状況も改善可能です。

またAnyONEでは、対応している3Dパースソフトの積算データを読み込んで見積データの作成ができます。図面から部材の数量を拾う必要がなく、積算業務や見積り業務の効率化が可能です。

AnyONEでは以下の業務に対応しています。
【AnyONEの機能】

見積りデータを活用して、実行予算の作成が可能です。同じ内容を再度入力する必要がなく、二重入力の手間や入力ミスを削減できます。

AnyONE(エニワン)の導入や運用に関する疑問は、こちらのフォームから直接問い合わせることが可能です。 現状の課題解決に向けて、まずは気軽にご連絡ください。

まとめ

本記事では、積算業務に欠かせない共通仮設費について解説しました。共通仮設費とは、現場監督・作業員が、安全かつ円滑に工事を進めるために重要な費用です。

共通仮設費について理解を深めると、精度の高い積算業務が可能となります。

また積算業務を効率化するならば、「AnyONE」をはじめとした工務店・リフォーム業者に特化した業務効率化システムの導入がおすすめです。

業務効率化システムには複数社から発売されており、自社に適したシステムを選ぶためには比較検討が欠かせません。
下記システム別に機能比較をおこなっています。システム選びの参考にしてください。

いつでもお気軽に
お問い合わせください!

チャットでお問い合わせください。

Pagetopボタン