【工務店向け】キャッシュフロー計算書の作り方と読み方|資金繰り悪化を防ぐ管理のポイント
「残業が多いのは仕方ない」と感じながらも、どこから手をつければいいかわからない。工務店の経営者や経理担当者の方から、そんな声をよく聞きます。
結論からお伝えすると、建設業の残業削減は「意識改革」だけでは実現しません。日常の業務の流れそのものを見直し、時間を奪っている作業を仕組みとして減らすことが必要です。
2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、違反した場合は罰則が科されます。残業削減はもはや「できたらいい」ではなく、工務店経営における優先課題の一つです。
本記事では、建設業で残業が減らない構造的な原因を整理したうえで、今日から実践できる削減ステップと、業務効率化による仕組みづくりの方法を工務店目線でわかりやすく解説します。
INDEX
残業を減らそうと「早く帰るよう呼びかける」「ノー残業デーを設ける」といった施策を試みても、効果が続かなかった経験はないでしょうか。残業が減らない本当の理由は、業務の仕組みそのものに潜んでいることがほとんどです。ここでは、工務店特有の3つの構造的原因を整理します。
工務店では、現場担当者が携帯電話で連絡を入れ、事務所スタッフが手書きやExcelに転記する。そんな情報の流れが今も残っている場合もあるでしょう。この「伝える→書き直す」の二度手間が、毎日少しずつ時間を奪っています。
特に複数現場を同時進行しているケースでは、進捗確認のための電話対応だけで1日に何度も業務が中断されます。「聞いて・答えて・メモする」という作業が積み重なると、夕方以降に本来の事務作業を行わざるを得なくなり、残業の常態化につながります。
国土交通省の資料によると、建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに減少を続け、令和6年は約477万人にまで落ち込んでいます。工務店規模でこの影響を最も受けやすく、少人数のスタッフが営業・見積・現場管理・経理を兼務するケースも珍しくありません。
担当者が複数業務を掛け持ちしている状況では、一つの工事が終わっても次の案件の書類作業が山積みになっており、退勤できない日が続きます。人を増やすことが難しい分、業務の仕組みを変えることが残業削減への近道となります。
【参考】最近の建設産業行政について|令和7年9月 不動産・建設経済局 建設振興課
建設業界には「現場が動いている限り残業は仕方ない」という文化が根強く残っています。特に経験の長いベテラン社員ほど、長時間労働を当然のこととして受け入れてきたケースが多く、改善提案そのものが生まれにくい土壌があります。
しかし現在は、若い世代の労働観が変わり、「残業が多い会社には入社しない」という傾向が強まっています。採用競争力の観点からも、残業削減への取り組みを明確に打ち出すことが、工務店の持続的な成長に直結します。
2024年4月1日から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。これまで建設業は適用猶予の対象とされてきましたが、その例外措置が終了し、一般業種と同じ水準での管理が求められるようになりました。
上限の原則は「月45時間・年360時間」です。通常予見できない臨時的な特別の事情がある場合に限り、労使間で「特別条項付き36協定」を締結することで、以下の基準内で延長が可能となります。
【建設業における時間外労働の上限規制】
これらの基準を超えた場合、使用者(会社)に対して6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。「知らなかった」では済まされないルールであるため、経営者・経理担当者が正確に把握しておくことが重要です。
【参考】
建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています|厚生労働省
時間外労働の上限規制わかりやすい解説|厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
残業が発生している現場を詳しく見ると、特定の業務が時間を大量に消費していることがほとんどです。工務店でよく見られる4つのパターンを整理しました。自社の状況と照らし合わせながら確認してみてください。
現場終わりに紙の日報を記入し、帰社後にExcelや管理台帳へ転記する。このような二重作業が毎日繰り返されている工務店は少なくありません。記入・転記・確認というプロセスが重なるほど、退社時間は後ろ倒しになります。
また、担当者によって記入様式がまちまちだったり、手書きの文字が読み取りにくかったりすることで、確認作業に余分な時間がかかるケースも多く見られます。
工事の進捗写真は、施主への報告や竣工書類のためにまとめて整理する必要があります。しかし、スマートフォンで撮影した写真をパソコンに移し、フォルダ分けしてコメントを付記するという作業は、想像以上に時間がかかります。
特に複数の現場を同時進行している場合、写真の量も多くなりがちで、整理が後回しになり月末に一気に処理しなければならない状況が生まれることもあります。
Excelで見積書を作成している場合、プランの変更があるたびにファイルをコピーして数字を打ち直す作業が発生します。建築工事の見積書は項目数が多く、何度も改訂が生じるケースもあり、その都度の修正・チェックに多くの時間が取られます。
さらに、粗利管理のための数式を組み込んだExcelファイルは複雑になりやすく、入力ミスが発生した場合の修正作業も大きな負担になります。
「現場の状況はどうなっているか」を確認するために、電話をかけたり現場に足を運んだりする時間が積み重なると、本来の事務作業が後ろ倒しになります。特に現場担当者への確認が複数件続く日は、それだけで半日近くが費やされることもあります。
進捗情報がリアルタイムで共有されていない環境では、この「確認のための時間」が慢性的に発生し続けます。
残業削減に取り組む際、最初から全業務を一気に変えようとすると現場の混乱を招き、かえって負荷が増えることがあります。以下の3ステップで段階的に進めることが、実践的かつ継続しやすい方法です。
まず、どの業務にどれくらいの時間がかかっているかを記録することから始めましょう。「何となく忙しい」という感覚ではなく、見積作成・日報記入・写真整理・請求書作成など、業務ごとの所要時間を1〜2週間分書き出してみると、時間を奪っている作業が明確になります。
工程別に可視化することで、「どこから手をつければ効果が大きいか」の優先順位が見えてきます。全員参加で書き出すと、担当者しか知らなかった非効率なルーティンが浮かび上がることも多く、改善のきっかけになります。
いきなりすべての業務を変えようとすると、スタッフへの負担が大きく定着しません。まずは「この業務だけは紙をやめる」「この確認だけは電話をやめてチャットにする」というように、一つの業務から変えることが継続のコツです。
小さな変化でも、毎日繰り返される業務を一つ効率化できれば、月単位では大きな時間の節約になります。成功体験を積み重ねることで、次の改善ステップへのハードルも下がります。
最も残業削減に効果的なのは、現場と事務所がリアルタイムで情報を共有できる環境をつくることです。クラウド型の管理システムを導入することで、現場担当者がスマートフォンから入力した情報が即座に事務所で確認でき、電話・移動・転記の三重作業を一度になくすことができます。
情報の流れを一元化することで、確認ミスや伝達漏れも減り、修正作業に費やしていた時間もあわせて削減できます。
工務店向け業務効率化システムAnyONE(エニワン)は、見積作成・工事管理・顧客情報・請求書発行など、工務店の日常業務を一つのシステムで一元管理できるクラウド型ツールです。残業を生む「バラバラな情報管理」を根本から解消する仕組みが整っています。
大阪府東大阪市に拠点を置く株式会社エクシアスでは、店舗工事・新築・リフォームなど多岐にわたる工事を手がけています。AnyONE導入以前は、Excelによる見積作成と粗利管理に多くの時間を費やしていました。
同社では施主のご要望に丁寧に対応するため、1件あたり10回以上の見積改訂が発生することもあったといいます。その都度ファイルをコピーして数字を打ち直し、粗利確認のための数式を確認する作業は、担当者にとって大きな負担でした。
AnyONEを導入した結果、これまで2〜3時間かかっていた見積作成が約10分まで短縮されました。協力業者からのExcelデータをAnyONEにコピー&ペーストするだけで金額検証が完了し、過去の仕入れ履歴も参照できるため、見積の精度も向上しています。
見積作業にかかっていた時間が約9割削減されたことで、残業が発生しにくい業務体制を実現しました。現在は見積から請求まで一貫してAnyONEで管理し、さらなる業務全体の効率化を進めています。
詳しくは「見積作成にかかっていた時間が約9割削減。ミスも減少し精度が向上。」をご確認ください。
建設業の残業削減に取り組むうえで、経営者や経理担当者の方からよく寄せられる質問をまとめました。自社の状況と照らし合わせながら確認してみてください。
主な原因は3つです。
①現場と事務所の情報共有が電話・紙・Excelに依存しており二度手間が発生している、②慢性的な人手不足により一人あたりの業務量が多い、③長時間労働を容認する業界慣習が残っている、という構造的な要因が重なっています。
対策には、業務の可視化と情報共有の仕組み化が有効です。
残業代の削減には、残業時間そのものを減らすことが根本的な解決策です。具体的には、日報・見積・写真整理などの時間がかかる業務をシステム化・自動化する、現場と事務所の情報をリアルタイムで共有し電話・移動の往復をなくす、といった方法が効果的です。「残業代を払わない」ではなく「残業が発生しない仕組みをつくる」ことが重要です。
2024年4月以降、建設業でも法定の上限規制が適用されています。残業時間は原則として月45時間・年360時間以内とされており、月45時間を超えられるのは年6か月までです。
臨時的な特別の事情があり、労使合意(特別条項)を得る場合でも、以下の基準をすべて遵守しなければなりません。まず、休日労働を含まない時間外労働を年720時間以内に収める必要があります。その上で、休日労働を含む時間外労働については、単月100時間未満、かつ2〜6か月平均で80時間以内に抑えることが義務付けられています。
これらを超えた場合、使用者に罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科される可能性があります。早めに労働時間の実態を把握し、改善に着手することが必要です。
建設業の残業削減を実現するには、「意識改革」や「呼びかけ」だけでなく、業務の仕組みそのものを変えることが不可欠です。情報伝達の二度手間・人手不足・残業慣れという3つの構造的な原因を把握したうえで、時間を奪っている業務を一つひとつ見直していくことが、着実な改善につながります。
そのための有効な手段が、工務店向け業務効率化システム「AnyONE(エニワン)」の導入です。見積作成から工事管理・請求書発行まで業務を一元化することで、転記ミスや確認作業にかかる時間を大幅に削減できます。まずは資料請求または無料デモから、自社の業務フローに合った活用イメージをご確認ください。
髙沢 晃平(たかさわ こうへい)
ネクスパート法律事務所
企業法務部門Manager 弁護士
東京都立大学法科大学院修了。
上場準備中の企業(現・東証グロース市場上場企業)の管理部門において、IPO準備業務に従事。実務経験を積む中で新司法試験に合格し、最高裁判所司法研修所を経て弁護士登録(東京弁護士会所属)。
現在は、薬機法・医療法を中心とした規制対応、スタートアップ・ベンチャー法務、フランチャイズ法務を主な取扱分野とし、IPOを見据えた法務体制構築支援を行っている。
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