忙しいのに利益ゼロ?工務店が陥る赤字工事の原因と今すぐできる脱却法

忙しいのに利益ゼロ?工務店が陥る赤字工事の原因と今すぐできる脱却法

「現場は休む間もなく動いているのに、なぜか手元に現金が残らない」
「決算書を見て初めて、数ヶ月前の現場が赤字だったと気づいた」
工務店やリフォーム会社の経営者・管理職の方々にとって、こうした事態は大きな不安や危機感につながりやすいものです。

建設業界は現在、資材価格の激しい変動や深刻な人手不足、そして労務コストの上昇という、かつてない荒波の中にあります。
かつてのどんぶり勘定が通用した時代は終わり、現在は1%の利益を緻密に積み上げる『管理の質』が勝敗を分ける時代です。

本記事では、赤字工事が発生する構造的な原因を解剖し、ITツールを活用して利益が出やすい体制づくりに向けた具体策を整理します

 

赤字工事になるのはなぜ?

赤字工事は、突発的に起こるものではありません。
多くの場合、見積段階から完工までのプロセスのどこかに構造的な欠陥が潜んでいます。

原価の高騰・売上の低迷

2021年のウッドショック以降、建設資材の価格高騰は沈静化するどころか、円安やエネルギー価格の上昇に伴い、鋼材、設備機器、運送費などあらゆる項目で高止まりしています。
このような環境下では、従来の受注・見積もりの考え方のままでは、意図せず赤字工事を生み出してしまうリスクが高まります。

特に、次のような構造的な要因が、利益を圧迫しやすいポイントとして挙げられます。

  • 契約から着工までのタイムラグによる原価上昇
    契約時と着工時の間に資材単価が上昇した場合、その差額がそのまま粗利を圧迫します。
    例えば、半年前に契約した案件で資材価格が15%上昇すると、想定していた利益が大きく削られる可能性があります。
  • 価格転嫁の判断が難しいことによるコスト吸収
    施主との信頼関係や今後の取引を重視するあまり、追加費用の協議を避け、自社でコスト増を負担してしまうケースも見受けられます。
    その結果、利益率が大きく低下することがあります。
  • 競争激化による受注価格の下落
    販路が限られている工務店では、相見積もりで受注を確保するために、必要最低限の利益まで削って価格を提示してしまい、着工時点ですでに採算が厳しい状態となっているケースも少なくありません。

「限界利益」を理解できていない

経営指標として「売上」や「粗利」だけを見ていると、真の収益性を見誤ります。ここで重要なのが「限界利益」の考え方です。

限界利益=売上高-変動費(材料費、外注費など)

会社を維持するためには、この限界利益が「固定費(社員の給与、事務所家賃、車両維持費、広告宣伝費など)」を上回らなければなりません。

例えば、粗利が出る計算でも、その現場を終わらせるために過剰な残業が発生したり、ベテラン社員を長期間拘束したりすれば、会社全体で見れば赤字(固定費を回収できていない状態)になります。

「仕事がないよりはマシ」と低利益の案件を詰め込むと、固定費を賄うための限界利益が足りず、働けば働くほど現預金が減っていく状態に陥ります。

原価管理の甘さ

赤字工事が繰り返される背景には、単なる景気要因だけでなく、日々の業務プロセスに潜む管理上の課題が関係していることが少なくありません。

特に、原価や発注、変更管理が属人化している場合、問題が表面化しにくく、気づいた時には利益が大きく損なわれているケースもあります。

代表的な要因として、次の点が挙げられます。

  • どんぶり勘定の積算
    過去の類似案件のデータを使い回し、最新の単価や現場特有の条件(搬入経路の狭さによる手間増など)を考慮していない。
  • 発注ミスと二重発注
    現場監督の記憶や不透明なFAX、メールでのやり取りにより、余計な材料発注や返品コストが発生している。
  • どんぶり勘定の仕訳
    現場で発生した細かな仕様変更や追加工事を「サービス」で処理してしまい、最終的な原価に反映されない。

これらが積み重なり、完工して全ての請求書が出揃うまで損益が確定しない「後出しジャンケン経営」が、赤字の最大の温床です。

赤字が続く工務店は危ない?

「少しくらいの赤字なら次の現場で取り返せる」という楽観論は、建設業において最も危険な考え方です。
赤字の継続は、企業の基礎体力を奪い、回復不能なダメージを与えます。

資金繰り(キャッシュフロー)の悪化

建設業は「支払いが先行し、入金が後から来る」典型的なキャッシュアウト先行型のビジネスです。

赤字工事が発生するということは、協力会社やメーカーに支払う金額が、施主から受け取る金額を上回ることを意味します。
これが続くと、手元の現預金が枯渇します。たとえ受注残が豊富にあっても、次の工事の材料を仕入れる現金がなくなれば、事業はストップします。

いわゆる「黒字倒産」予備軍の状態です。

現場の士気が下がり離職が増える

赤字工事の現場は、以下のように常に「余裕」がありません。

  • コストを抑えるためにギリギリの人数で回す
  • 安価だが質の低い外注先を使わざるを得なくなる
  • 不備が発生しても手直し予算がなく、現場が疲弊する

このような環境では、現場監督や職人のプライドはズタズタになり、やりがいを感じられなくなります。
特に若手社員は「この会社に未来はない」と敏感に察知し、他社へ流出します。
人手不足の今、優秀な監督が辞めることは、数千万円規模の損失に匹敵します。

倒産リスクが増加する

赤字工事が慢性化すると、単年度の利益だけでなく、企業としての財務体質そのものに影響が及びます。
特に、金融機関は継続的な収益力や自己資本の状況を重視するため、赤字の積み重ねは信用力の低下に直結します。

その結果、次のような影響が生じやすくなります。

  • 倒産リスクの増加
    赤字が累積し、債務超過に近い状態になると、金融機関からの格付けが大きく下がり、資金調達環境が一気に厳しくなります。
  • 新規融資の謝絶
    運転資金や先行投資のための融資が受けられなくなり、資金繰りの選択肢が大きく制限されます。
  • 金利条件の悪化
    借入が可能な場合でも、金利が引き上げられ、利息負担が経営をさらに圧迫する要因となります。
  • 信用保証協会の利用枠縮小
    保証枠が減少することで、金融機関との取引条件がさらに厳しくなります。

これらの要因が重なると、突発的な支払い(大型クレーム対応や事故対応など)に耐えられなくなり、経営リスクが連鎖的に高まります。
さらに、資金不足を補うために経営者個人の資産を切り崩す状況が続くと、公私の区別が曖昧になり、組織としての健全な意思決定や自浄作用が失われていく恐れもあります。

赤字脱却!工務店がやるべきこと3選

負のスパイラルから抜け出し、筋肉質な経営体質へと転換するためには、以下の3つの施策を「同時並行」でおこなう必要があります。

1.正確な原価算出

まずは「勘」を排除し、徹底的に数値を可視化することです。

単なる「材料費+外注費」ではなく、現場までの交通費、駐車場代、廃棄物処理費、さらには自社職人の工数(人件費)までを細かく分解して算出します。

特に「実行予算(その工事で使ってよい上限額)」を契約前に確定させ、現場監督と共有することが不可欠です。

予算を超えそうな場合は、その時点で対策を講じる仕組みを作ります。

2.根拠のある見積り提示

施主に対して「高い」と言われることを恐れてはいけません。

原価高騰のデータや、自社が提供する品質・アフターフォローの価値を論理的に説明し、適切な粗利を乗せた見積りを提示します。

「なぜこの金額なのか」を内訳明細でしっかり示すことで、信頼関係が構築され、不当な値引き要求を退けることができます。

逆に、根拠のない値引きに応じることは、自社の首を絞めるだけでなく、手抜き工事を誘発するリスクさえあることを自覚すべきです。

3.業務のムダを徹底的に削減

利益を増やす方法は「売上を上げる」か「コストを下げる」かの2つです。

特に注目すべきは、以下のような「目に見えないコスト」です。

  • 事務所に戻ってからの膨大な入力作業
  • 現場と事務所を往復する移動時間
  • 言った・言わないのミスによる手戻り工事

これらの「移動・重複・ミス」を削減することは、外注費を叩くよりも遥かに健全で効果的なコストダウンになります。

手作業の見積り・原価管理を卒業

いまだにExcelや手書きの台帳で管理をおこなっている工務店も多いですが、複雑化する現代の経営において、アナログ管理はもはやリスクでしかありません。

属人化を防ぎミスをゼロに

「あの現場の詳細はAさんしか知らない」といった属人化した状況は、担当者の不在や異動が発生した際に、業務停滞や判断ミスを招きやすく、組織として大きなリスクを抱えることになります。

現場情報や判断基準が個人の経験や記憶に依存している限り、ミスや抜け漏れを完全に防ぐことは難しくなります。

こうした属人化を解消するためには、情報を誰でも確認できる形で共有し、業務の進め方を標準化することが欠かせません。

その有効な手段の一つが、ITツールを活用した情報の一元管理です。現場写真や進捗、原価情報を集約して管理することで、担当者が不在でも状況を把握しやすくなり、計算ミスや発注の重複といったトラブルの防止にもつながります。

標準化されたフローで業務をおこなうことで、誰が担当しても一定の品質と利益を確保しやすい体制を構築できます。

リアルタイムで利益を把握

アナログ管理の最大の欠点は「完工後の答え合わせ」になることです。

経営に必要なのは「今、この現場はいくら利益が出ているか(着地予想)」というリアルタイムの数字です。

発注の段階で予算との差をチェックできれば、赤字になる前に仕様変更や追加請求の交渉、工程を再調整するなど手を打つことが可能になります。

現場の負担を減らす働き方改革

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、現場監督や職人一人ひとりの業務負担をどう軽減するかが、これまで以上に重要な経営課題となっています。
単に残業時間を減らすだけでは、現場が回らなくなる恐れがあるため、業務の進め方そのものを見直す必要があります。

そこで有効なのが、ITツールを活用した業務の効率化です。
スマホやタブレットから現場写真をアップし、見積りを作成し、日報を送信できるようにすることで、事務所に戻ってからおこなっていた作業を大幅に削減できます。

こうした「どこでも仕事ができる環境」を整えることは、結果として残業時間の抑制につながるだけでなく、現場の負担軽減、離職防止、さらには求人時の訴求力向上にも寄与します。

 

AnyONEで赤字工事を未然に防ぎ、利益が「見える」経営へ

多くの工務店が赤字工事から抜け出せない背景には、「いつ・どこで・どれだけ利益が削られているのか」を把握できていないという共通課題があります。

こうした課題に対する現実的な解決策として、工務店・リフォーム会社を中心に導入が進んでいるのが、工務店向け業務効率化システムAnyONE(エニワンです。

AnyONEの特長は、見積もり・実行予算・発注・原価実績といった情報を一元管理し、各工程で利益がどのように推移しているかをリアルタイムで把握できる点にあります。

工事が進んでから「想定より原価が膨らんでいた」と気づくのではなく、進行中の段階で異変を察知し、早めに手を打てる体制を整えられます。

また、数字が担当者ごとの感覚や経験に依存せず、共通の画面で可視化されるため、現場・事務・経営層の認識ズレを防げるのも大きなメリットです。

結果として、赤字工事の発生を抑えながら、利益を積み上げていく経営判断がしやすくなります。

AnyONE導入事例:原価と粗利をリアルタイムで把握できる体制へ

福島県郡山市の株式会社ダイエーホームでは、エクセル管理での原価集計に課題を抱えていました。
導入以前は、原価を確認するのに経理担当へ依頼してから1〜2日を要し、集計結果も正確でないことがありました。
しかしAnyONEを導入してからは、0秒ですぐに正確な原価や粗利を確認可能に。
営業判断のスピードが上がっただけでなく、社員全体でコスト意識が高まり、利益を守る仕組みが定着しました。

詳しくはAnyONE導入事例「正確な原価と粗利がリアルタイムで確認可能に。社員間のコスト意識にも繋がりました。」をご覧ください。

 

赤字工事に関するよくある質問

工務店経営者からよく寄せられる、赤字に関する疑問にお答えします。

「なぜ忙しいのに利益が残らないのか」「どこから手を付けるべきか」といった実務的な悩みを、現場と経営の両面から整理していきます。

わざと赤字にする理由は?

公共事業の入札参加資格(ランク)を維持するためや、将来的に数億円規模の受注が見込める大手企業との初取引など、ごく稀に「戦略的赤字」を選択するケースはあります。

しかし、これらはあくまで「次で必ず回収できる」裏付けがある場合のみです。地場工務店が「忙しく見せるため」に赤字受注をするのは、自死行為に等しいと言えます。

赤字なのに潰れない理由は何ですか?

主な理由は「借入金のサイクル」にあります。新しい工事の前受金で、古い工事の材料費を支払う「自転車操業」の状態です。

また、経営者個人の資産を補填し続けている場合もありますが、どちらも長くは続きません。金利上昇や融資の引き締めが始まった際、真っ先に立ち行かなくなるのがこのタイプです。

会社を潰す社長の特徴は?

企業が厳しい経営環境の中で持続的に成長していくためには、経営者自身の意思決定や姿勢が大きく影響します。

ここで挙げるのは、特定の人物を指すものではなく、多くの工務店経営で見受けられる「陥りがちな考え方や行動パターン」です。
こうした傾向に心当たりがある場合、早めに軌道修正することが重要になります。

  • 現場主義の履き違え
    「良いものを作っていれば利益は後からついてくる」と言い、数字を見ようとしない。
  • 情報遮断
    現場の不都合な数字やミスが耳に入らない雰囲気を作っている。
  • 変化への拒絶
    「うちは昔からこのやり方だ」と言い、ITツールや新しい管理手法を導入しない。

まとめ

赤字工事は、現場の努力不足だけで起こるものではありません。それは、不透明な価格設定、アナログな管理体制、そして「リアルタイムの数字」を見ようとしない経営姿勢が引き起こす、いわば「病気」です。
しかし、その病気は適切な「道具(ITツール)」と「仕組み(原価管理)」によって、必ず完治させることができます。
AnyONE(エニワンは、全国3,600社以上の導入実績から培ったノウハウで、「利益が出る仕組み作り」を強力にサポートします。
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