【2026年最新】下請法改正で工務店はどう変わる?手形廃止・新法への実務対策
自社の求める利益を残すためには、正しい利益計算が欠かせません。しかし工務店の経営者の中には、正しい利益計算ができておらず、求める利益を残せていない方も少なくありません。
今回は、建設業での利益計算が複雑な理由や正しい利益計算の方法、利益を残す工事原価の考え方を解説します。
INDEX
建設業における利益率は、会社の存続と成長を左右する最重要指標です。どれだけ売上が大きくても、粗利率が低ければ経営は不安定になります。逆に、少ない案件でも粗利をしっかり確保できれば、資金繰りや人材育成に余裕を持てるでしょう。
とくに工務店のように人件費や外注費の比率が高い業態では、粗利率の管理が利益改善の第一歩となります。
一般財団法人建設業情報管理センターの「建設業の経営分析(令和4年度)」によると、建設業全体の平均粗利率(売上高総利益率)は約25%前後です。

【引用】建設業の経営分析(令和4年度)
「売上=利益」と錯覚してしまうと、資金繰りの悪化や黒字倒産のリスクに直結します。そのため、粗利を常に意識し、数字で管理することが欠かせません。
建設業は特有の性質上、他業界と比べて利益計算が複雑となっています。建設業の利益計算が複雑となる理由は、下記の2つです。
建設業は、契約から完成・納品までの期間が長く、工事によっては数年かかることもあります。
簿記の考え方では、製品を作るためにかかった材料費や外注費などは、納品されるまでは原価として計上できません。
原価が確定しないと、正確な粗利益を把握することは難しくなります。
この「原価発生から納品までの長い期間」が、建設業の利益計算を複雑にしている要因のひとつです。
前述した原価の計上方法は「工事完成基準」といいますが、建設業には「工事進行基準」という原価計上の方法もあります。
工事進行基準とは、工事の進捗に併せて売上や原価を計上する方法です。
工事進行基準は竣工前に売上や原価を計上できるため、利益や赤字がどの程度発生しているか把握しやすいというメリットがあります。
また、追加工事を依頼された場合でも都度請求をおこなえるため、請求漏れが発生しづらいです。
しかし、工事進行基準は売上や原価の計上回数が増えるため手間が増え、ミスが増える原因にもなります。
また、工事の進捗度を客観的に説明できる環境にしなければならず、会社全体で体制を整えなければなりません。
工事進行基準には「早期に利益や赤字を把握できる」メリットがあります。しかし担当者の手間が増えてしまい、利益計算が複雑となるデメリットも存在するため、工事進行基準を採用する場合はITツールの導入など、担当者の負担を軽減する仕組みの導入が必要です。
利益率と一口に言っても、複数の指標があります。それぞれの意味と計算方法を理解しておくと、自社の経営状態を多角的に把握できます。
計算式:売上高総利益率(粗利率)=売上総利益(売上高-工事原価) ÷ 売上高 × 100
売上高総利益率(粗利率)とは、原価を差し引いた後に残る利益率です。施工現場の効率や仕入れ交渉力によって大きく左右されます。工務店にとって最も基本的かつ重要な指標です。
計算式:売上高営業利益率=営業利益 ÷ 売上高 × 100
売上高営業利益率とは、粗利から販売費・管理費(販管費)を引いた利益率です。広告費や人件費のバランスが反映されるため、営業活動の効率性を測る指標となります。
計算式:売上高経常利益率=経常利益 ÷ 売上高 × 100
売上高経常利益率とは、営業利益に加えて、借入金の利息や受取利息などの営業外収益・費用を含めた利益率です。資金調達の仕方や借入金の負担度合いがここに現れます。
計算式:自己資本経常利益率(ROE)=経常利益 ÷ 自己資本 × 100
自己資本経常利益率(ROE)とは、株主資本に対してどれだけ利益を生み出したかを示す指標。
工務店規模では株主は経営者自身であることが多いですが、自己資本に対する効率性を確認できます。
計算式:総資本経常利益率(ROA)=経常利益 ÷ 総資本 × 100
会社全体の資産を活用してどれだけ利益を生み出したかを示す指標。資産効率を測るうえで重要です。
※計算式は全て「建設業の経営分析(令和4年度)」を参考にしています。
利益率が下がる原因は主に以下の3つです。
建設資材や塗料、燃料などの原価の価格は外部要因で変動します。原油価格や為替の影響を受けやすく、近年は資材費の上昇が続いています。材料費が上がっても販売価格に転嫁できなければ、粗利率は簡単に下がります。
地域の競合工務店との競争によって価格を下げざるを得ないケースがあります。安さで受注を狙えば、一時的に売上は伸びても粗利率は下がり、長期的に経営を圧迫します。
自然災害や天候の影響による工期延長や追加工事、施工不良によるやり直しなど、現場では予期せぬコストが発生します。特に人件費や外注費は工期が延びるほど膨らみ、利益を圧迫します。
利益率を改善するには、工事ごとの原価を正確に把握するだけでなく、コストをどこまで削減できるかを検討する姿勢が欠かせません。人件費や材料費、運搬費など、日々の工事にかかる支出は積み重なれば大きな差となって表れます。
効果的にコストを抑えるためには、まず自社の固定費と変動費を整理し、削減できる余地があるかをチェックすることが重要です。たとえば、現場ごとに発生する資材の配送回数を減らす工夫や、レンタル機材の利用方法を見直すだけでもムダを削れます。
このように、日常的に「どの費用が本当に必要か」を問い直すことで、少しずつ着実に工事原価を抑え、利益率改善につなげられます。
外注職人への依存度が高いと人工単価が上昇します。自社職人を育成し、適正に配置することで長期的にコストを抑えられます。
品質や保証内容を明確に打ち出し、「安さ」でなく「価値」で選ばれる営業戦略を徹底しましょう。三段階見積を提示することで、中間グレードが選ばれやすくなり単価アップにつながります。
原価や工期を紙やExcelで管理していると、どうしても情報の遅れや抜け漏れが生じ、結果として利益を取りこぼしがちです。
見積から発注、請求、支払いまでを一元管理できるITツールを活用すれば、案件ごとの利益率をリアルタイムで把握できます。これにより、赤字リスクの早期発見や、原価の最適化につながります。
単なる業務効率化ではなく、利益を守る仕組みづくりとしてITを位置付けることが重要です。
ここまで紹介した改善策を実行するには、勘や経験に頼るのではなく、数字をリアルタイムで管理できる仕組みが欠かせません。
工務店向けの業務効率化システム AnyONE なら、見積から実行予算、発注、支払い、請求までを一元管理できます。案件ごとの利益率を即座に把握できるため、経営判断の精度が上がり、資金繰りの安定にもつながります。
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詳しくはAnyONE導入事例「正確な原価と粗利がリアルタイムで確認可能に。社員間のコスト意識にも繋がりました。」をご覧ください。
建設業における平均粗利率は25%前後と決して高くはなく、原価高騰や競争激化によって利益は簡単に削られてしまいます。しかし、原価管理の徹底や外注費の見直し、単価の適正化、ITツールの導入によって改善の余地は十分にあります。
重要なのは、感覚ではなくデータで管理すること。AnyONEを活用すれば、現場と経営をつなぐ数字がリアルタイムに見える化され、利益を守る意思決定が可能になります。
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