【2026年最新】下請法改正で工務店はどう変わる?手形廃止・新法への実務対策
建設業界で働く皆様、日々の現場管理や事務作業、本当にお疲れ様です。2024年4月から建設業にも「働き方改革関連法」による時間外労働の上限規制が全面的に適用されました。
「これまでのやり方では法律違反になってしまうかもしれない」「新しい36協定届はどう書けばいいのだろう」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、建設業における36協定の変更点や具体的な規制内容、違反した場合のリスクについて、実務の視点からわかりやすく解説します。
読み終わる頃には、法改正への対応策が明確になり、自信を持って業務に取り組めるようになるはずです。
INDEX
建設業界は長年、長時間労働が常態化しやすい環境にありましたが、ついに大きな転換期を迎えました。
ここでは、いわゆる「2024年問題」として恐れられていた法改正が、実際の現場にどのような変化をもたらしているのかを解説します。
これまでの常識が通用しなくなっている点を、まずはしっかりと認識しましょう。
働き方改革関連法自体は2019年から順次施行されていましたが、建設業については業務の特殊性や人手不足の現状を考慮し、時間外労働の上限規制適用に5年間の猶予が与えられていました。
しかし、その猶予期間は2024年3月31日をもって終了しました。
現在は、一般企業と同様に、法律に基づいた厳格な労働時間の管理が求められています。
これまでのように「納期が厳しいから」「天候が悪かったから」といって無制限に残業をさせることは、法律上認められなくなりました。現場代理人や管理職の方は、意識を大きく切り替える必要があります。
参考:厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」
これまでの36協定(時間外・休日労働に関する協定届)では、限度基準告示による上限はありましたが、それには法的拘束力が伴っていませんでした。しかし、今回の改正によって、時間外労働の上限規制は法律そのものに規定されました。
つまり、36協定を結ばずに残業をさせた場合や、協定で定めた上限時間を超えて働かせた場合には、労働基準法違反として明確な罰則が科されることになります。これは単なる努力目標ではなく、企業として必ず守らなければならない義務であることを理解しておくことが大切です。
参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
参考:富山労働局(厚生労働省)「36協定の様式が変わります! 建設業」
「上限規制といっても、具体的に何時間まで働けるのか」という点が最も気になる部分でしょう。ここでは、原則的なルールと、忙しい時期に適用される特例ルールについて詳しく見ていきます。
数字が細かくなりますが、管理業務において非常に重要な基準となるため、整理して理解しておきましょう。
法律で定められた法定労働時間は「1日8時間・週40時間」です。
これを超えて残業をさせるためには36協定の締結が必要ですが、その場合でも原則として守らなければならない上限があります。それが「月45時間・年360時間」です。
まずはこの数字を基本として、毎月の労働時間を管理していく必要があります。
例えば、1日2時間の残業を月に22日行うと44時間となり、これだけで上限ギリギリになります。日常的な長時間労働を前提とした工程表は見直しを迫られることになるでしょう。
| 項目 | 規制内容 |
| 原則の上限(月) | 45時間以内 |
| 原則の上限(年) | 360時間以内 |
| 対象期間 | 1年間の変形労働時間制などを採用している場合も含む |
参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
参考:厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」
建設現場では、工期の切迫や急な仕様変更、トラブル対応などで、どうしても原則の上限を超えて作業しなければならない月が発生することがあります。
そのような臨時的な特別の事情がある場合に限り、労使で合意を結ぶことで「特別条項付き36協定」を適用できます。この特例を適用すれば、年720時間以内、単月で100時間未満(休日労働含む)までの労働が可能になります。
ただし、これはあくまで「臨時的」な措置であり、恒常的に適用できるものではありません。
| 項目 | 特例の規制内容 |
| 年間の上限 | 年720時間以内(休日労働を含まない) |
| 単月の上限 | 月100時間未満(休日労働を含む) |
| 複数月の平均 | 2〜6ヶ月平均で月80時間以内(休日労働を含む) |
| 原則超過の回数 | 月45時間を超えられるのは年6回まで |
参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
建設業特有の事情として、災害時の復旧・復興作業があります。災害は予測不可能であり、迅速な対応が社会的に求められるため、これらに関連する業務については一部の規制が適用除外となります。
具体的には、災害の復旧・復興の事業を行う場合に限り、「月100時間未満」および「2〜6ヶ月平均80時間以内」という規制は適用されません。
しかし、この場合でも「時間外労働と休日労働の合計」について配慮する必要はありますし、あくまで緊急時の対応であることを忘れてはいけません。
参考:厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」
法改正に伴い、労働基準監督署に提出する36協定届の様式も変更されています。古い様式を使ってしまうと受理されない可能性があるため注意が必要です。
ここでは、建設業の実務担当者が特に気をつけたい書類作成のポイントについて解説します。
2024年4月以降、建設業で特別条項付きの36協定を締結する場合、一般企業とは異なる専用の様式を使用することになりました。具体的には「様式第9号の4」という書類です。
この様式には、建設業特有の事情や、災害時の例外規定に関するチェックボックスなどが設けられています。厚生労働省のホームページからダウンロードできるため、必ず最新のものを入手してください。
通常の一般条項のみ(月45時間・年360時間以内)で届け出る場合は、これまで通りの様式(様式第9号)を使用することも可能です。
参考:厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)」
参考:東京労働局(厚生労働省)「時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)」
36協定届には「業務の種類」を記載する欄がありますが、ここをあいまいに書くのは避けるべきです。例えば単に「土木工事」と書くのではなく、「土木工事における施工管理業務」や「現場での重機オペレーター業務」のように、具体的な業務内容がわかるように記述します。
特に、時間外労働が必要となる具体的な理由(「工期の切迫」や「突発的な仕様変更」など)との整合性が取れているかが重要です。労働基準監督署は、その業務に本当に残業が必要なのかを確認するため、具体性を重視しています。
36協定届は、紙の書類を窓口に持参したり郵送したりする方法以外に、インターネットを通じた電子申請(e-Gov)も可能です。電子申請を活用すれば、わざわざ労働基準監督署へ出向く移動時間を削減できますし、過去のデータを流用して次回の申請を作成することも容易になります。
特に複数の現場や事業所を抱える建設会社にとって、事務手続きの効率化は大きなメリットです。最初は操作に戸惑うかもしれませんが、一度覚えてしまえば更新作業が非常に楽になります。
「少しぐらいオーバーしてもバレないだろう」と軽く考えていると、取り返しのつかない事態になりかねません。法改正によって罰則規定が明確化された今、コンプライアンス違反は企業の存続に関わる重大なリスクとなります。
ここでは、違反した場合に具体的にどのような不利益を被るのかを解説します。

改正労働基準法では、36協定の上限規制に違反した場合、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という刑事罰が定められています。これは、違反した現場の責任者だけでなく、法人としての企業や経営者自身も処罰の対象となる両罰規定です。「知らなかった」では済まされない重いペナルティです。
また、36協定を結ばずに残業させた場合も同様の罰則が適用されます。法律が明確なラインを引いている以上、これを越えることは犯罪行為とみなされるのです。
参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
刑事罰以上のダメージとなり得るのが、社会的信用の失墜です。厚生労働省は、労働基準法違反で送検された企業名を公表しています。企業名が公表されると、元請け企業からの取引停止や、公共工事の入札参加資格の停止(指名停止)につながる恐れがあります。
さらに、銀行からの融資が受けにくくなったり、ブラック企業というイメージがついて採用活動が困難になったりと、経営全体に深刻な悪影響を及ぼします。
建設業にとって「信頼」は命綱ですから、これを守るためにも法令遵守は不可欠です。
長時間労働が疑われる場合や、労働者からの通報があった場合、労働基準監督署による臨検監督(立ち入り調査)が行われます。調査が入ると、タイムカードや日報、賃金台帳などの帳簿類を徹底的にチェックされます。そこで未払い残業代や36協定違反が発覚すれば、是正勧告を受けることになります。
是正勧告への対応には膨大な時間と労力がかかり、現場の業務がストップしてしまう可能性もあります。
日頃から適正な管理を行っておくことが、最大のリスクヘッジになります。
法律を守らなければならないことは理解できても、「現場の仕事量は減らないのに、どうやって時間を減らせばいいのか」と悩むのが現実でしょう。
精神論だけで労働時間は減りません。ここでは、建設業が取り組むべき具体的かつ現実的な業務改善のアプローチを紹介します。
現場監督の長時間労働の大きな原因の一つが、日報作成や写真整理、図面管理などの事務作業です。
これらを効率化するために、建設業向けの業務管理システムや施工管理アプリの導入を検討してください。現場でスマートフォンやタブレットを使って写真をアップロードしたり、日報を入力したりすることで、事務所に戻ってからの残業時間を削減できます。ITツールの活用は、単なる時短だけでなく、情報の共有漏れを防ぐ効果も期待できます。
こうした業務効率化を実現する手段として、建設業向けの業務管理システムを導入する企業も増えています。
例えば、建設業向け業務管理システムAnyONE(エニワン)では、
といった業務を一つのシステムでまとめて管理できます。
これまでExcelや紙で行っていた作業をデジタル化することで、現場監督の事務作業を大幅に削減し、残業時間の削減につながるケースも少なくありません。
労働時間の上限規制への対応として、こうしたITツールの導入を検討する企業も増えています。
自社の社員だけですべての業務をこなそうとすると、どうしても特定の個人に負荷が集中してしまいます。
そこで、積算業務や図面作成、申請書類の作成など、切り出し可能な業務については積極的に外注(アウトソーシング)を活用することを検討します。専門家に任せることで品質も安定し、社員は現場管理や品質管理といったコア業務に集中できるようになります。
コストはかかりますが、残業代の削減や社員の疲弊を防ぐメリットを考えれば、投資対効果は高いと言えます。
労働時間を根本的に削減するには、週休2日制(4週8閉所)の実現が不可欠です。そのためには、着工前の段階で適正な工期を設定し、発注者や元請け企業の理解を得る努力が必要です。
無理な工程表は長時間労働の元凶です。余裕を持った工程を組むこと、そして天候不順などによる遅れが出た場合の調整ルールを事前に決めておくことが重要です。
業界全体で「休むときは休む」という意識を持ち、適正な工期での受注を徹底していく姿勢が求められます。
36協定の上限規制に対応するためには、単に労働時間を管理するだけではなく、日々の業務そのものを効率化することが重要です。
特に建設業では、見積作成や工程管理、写真整理、請求書作成などの事務作業が多く、現場監督の残業時間が増える原因になりがちです。
こうした業務負担を減らす方法として、建設業向けの業務管理システムを活用する企業も増えています。
建設業向け業務管理システム AnyONE(エニワン)では、下記の業務を1つのシステムで一元管理することが可能です。

現場で入力した情報をそのまま事務所で共有できるため、
につながり、現場監督や事務担当者の業務負担を軽減します。
36協定への対応や働き方改革を進めるうえで、業務の効率化は重要なポイントです。
「残業時間を減らしたい」
「現場と事務所の情報共有をスムーズにしたい」
とお考えの方は、ぜひ一度サービスをご確認ください。
この記事の要点をまとめます。
法改正は一見すると厳しい制約に見えますが、長時間労働を是正し、社員が健康で長く働ける環境を作るための良いきっかけでもあります。法律を正しく理解し、適切な対策を講じることで、会社としての競争力を高めていきましょう。
監修:AnyONE編集部
AnyONE編集部は、建設業界向け業務支援システム「AnyONE」を運営する株式会社エニワンの編集チームです。
公的資料や業界情報をもとに、建設業に関する基礎知識や実務に役立つ情報を、わかりやすく整理・解説しています。
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