【建設業】法定福利費の算出方法とは?ざっくり費用を割り出す方法や書き方
紙での工程表作成や管理は、修正や共有に手間がかかり、非効率になりがちです。
こうした課題を解決する方法として、エクセルを活用した工程表の作成が注目されています。
エクセルなら、導入コストを抑えながら柔軟なカスタマイズやファイルの共有が可能です。
この記事では、エクセルを使って工程表を作成するメリットやデメリット、作成に適した表の種類、具体的な作り方や無料テンプレートの情報までをわかりやすく解説します。
INDEX
エクセルでの作成によるメリット・デメリットは、下記の表にまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
経費削減になる | 互換性がない |
従業員が使いやすい | リアルタイムで共有できない |
連携しやすい | 更新管理がむずかしい |
カスタマイズしやすい | 属人化してしまう |
工程表をエクセルで作成するメリットは、下記の4つです。
すでにエクセルを導入している工務店であれば、改めてツールの導入費用を支払う必要がありません。
仮にエクセルソフトを購入する場合でも、2025年3月現時点では22,370円で導入が可能です。(【参照】Microsoft)
エクセルは、ビジネスに限らず、個人や家庭など一般的に使われているソフトウェアです。
日常的に使用している従業員も多いため、工程表作成時に操作方法でつまずくことはほとんどありません。
エクセルは、他のシステムと連携をしやすいです。エクセルで作成したデータを他のツールへ流用やカレンダーアプリとの連携など、幅広い使い方ができます。
そのため工程表をメールで共有したり、社内ネットワーク内であれば共有で閲覧できます。
関数やマクロなど、エクセルの専門知識があれば自由にカスタマイズできます。
カスタマイズによって自社に最適な工程表を自作可能です。
工程表をエクセルで作成するデメリットは、下記の4つです。
使用するパソコンのOSや、エクセルのバージョンによっては、作成した工程表を開けなくなることもあります。
特に、最近はモバイル端末でファイルを使用する場合もあり、ファイルが開けないと工程表の共有にも支障をきたします。
エクセルは複数人で編集できません。1人が編集していると他の担当者が情報の更新がおこなえないため、リアルタイムで情報共有が難しいです。
工程表を複数人で閲覧すると重くなったり、同時に複数人が編集して工程表の内容に齟齬やミスが生まれるリスクがあります。
工程表をいくつも作成すると、最新版の把握が難しくなります。
「工程表名には更新日付を必ず記載する」「工程表を更新できる担当者を決める」といった対策が必要です。
担当者のエクセルスキルにばらつきがある場合、作成者以外が工程表にに変更・修正を加えることが難しくなります。
特に担当者が急に退職や異動などしてしまうと、引き継ぎが十分におこなえず工程表のメンテナンスを誰もおこなえなくなる可能性が高いです。
工程表は、業務内容や目的によって選ぶべき種類は異なります。
例えば、下記のような目的が考えられるでしょう。
●進捗状況を管理する
●タスクを確実におこなう
●作業間の関連性を知りたい
●工事全体の工程を管理したい
●週間の工程を管理したい
ここでは、エクセルで工程表を作成する際に、おすすめの工程表の種類をご紹介します。
バーチャート工程表とは、「横軸の作業項目」「縦軸の時間」記載する工程表です。作業開始から終了までの時間を棒で示します。
メリットは、「作成が容易なこと」「全体の時間の把握ができること」です。
おおまかな全体の流れをビジュアルで、把握することができます。
一方で、各作業の依存関係や詳細な手順までは把握しづらく、「どの作業が遅れると全体に影響するのか」といった点は読み取りにくいという弱点もあります。
ガントチャート工程表とは、図表を時間ごとに分け、作業項目の時間の実績を記入する工程表です。バーチャート工程表と横軸、縦軸の項目は同じです。
メリットは、計画と実績の両方を記入するため、作業の進捗状況が一目で把握できることです。
デメリットは、実績を適宜記入する手間が起こることです。
より詳しく工程表について知りたい方は、工程表に関する記事をご参照ください。
エクセルを使って工程表を作成する方法は、大きく分けて以下の2つです。
●自分で一から作成する(関数や条件付き書式、マクロなどを使う)
●無料のテンプレートを活用する
エクセルにある程度慣れている人であれば、関数や条件付き書式を活用することで、オリジナルの工程表を作成できます。
ここでは、シンプルな「ガントチャート風の工程表」を例に、作り方の基本的な流れを紹介します。
A列に作業タスク、B列に開始日、C列に終了日を入力します。
その右側に、横軸として日付(例:4/1〜4/30など)を1日ごとに設定していきます。
次に、D列以降に日付を1日ずつ横並びで入力します。
D2セルを選択し、「条件付き書式」→「新しいルール」→「数式を使用して…」を選びます。
数式の例(D2セルの場合)
=AND(D$1>=$B2, D$1<=$C2) |
→ この式の意味:「列見出しの日付(D1)が開始日(B列)以上」かつ「終了日(C列)以下」
この設定により、該当期間のセルだけが塗りつぶされる設定になっています。
数式を入力したあと、「書式」ボタンから好みの塗りつぶし色を設定します(例:青など)。
D2セルをコピーし、他の作業行・日付列にも書式を貼り付けます。
(例:D2〜Z10 まで選んで「形式を選択して貼り付け」→「書式」)
これで、各作業の期間にバー(色付きセル)が表示されるガントチャート風工程表が完成します。
あとはエクセルの見栄えを整えましょう。
●セル幅をやや狭めて、横長の棒に見えるようにする
●休日や締切日に色をつける
●作業の種類ごとに色分けする
こういった調整で、視認性や実用性がアップします。
作業内容が毎回似ている場合や、複数の現場で同じ形式の工程表を使いたい場合は、エクセルのマクロを活用することで作業の自動化も可能です。
例えば、入力された開始日と作業日数に応じてバーを自動表示させたり、休日を自動で除外したりといった処理を組み込むことができます。
ただし、マクロの記録やVBAの知識が必要になるため、エクセルの操作に慣れていない方は無理に導入しなくても問題ありません。
まずはテンプレートや条件付き書式から始めて、業務に合わせて少しずつ機能拡張していくとよいでしょう。
「関数やマクロは苦手」「作成時間を短縮したい」という場合は、既存の無料テンプレートを活用する方法がおすすめです。
テンプレートには、基本的なレイアウトや関数がすでに組み込まれているものが多く、ダウンロードして項目を入力するだけで使えるものも豊富にあります。
用途に応じて、工事工程用・製造業用・オフィスワーク用など、さまざまなテンプレートが公開されています。
必要最低限の内容が入ったテンプレートであれば、エクセルに詳しくない人でも短時間で工程表を完成させられます。
テンプレートは後述の「おすすめテンプレート」パートで紹介しているので、自社に合ったものを選んでみてください。
無料で使えるおすすめの工程表のテンプレートについてご紹介します。
エニワン株式会社が、住宅業界や工務店向けに配布しているテンプレートです。テンプレートには、下記の4種類があります。
・見積書
・工事請負契約書
・工程表
・工事台帳
A4・A3サイズに対応しており、エクセルに限らずPDF形式でもダウンロード可能です。
エニワン株式会社は、関西圏で建材販売トップシェアを誇るナカザワ建販株式会社のグループ企業。
住宅業界や工務店に特化した仕様となっているため、カスタマイズの手間もほとんどなく業務に使用できます。
ダウンロードはこちらから行えます。
Officeシリーズを展開するMicrosoft社の提供している無料テンプレートです。
ガントチャートから作業リストまで、さまざまなテンプレートを用意しています。
また、エクセルに限らず、ワードやパワーポイントといった他のOfficeシリーズにも対応しています。
ダウンロードはこちらから行えます。
ビジネス系テンプレートで人気のビズ研では、プロジェクト管理に使える工程表テンプレートが無料で公開されています。
こちらのテンプレートは、ガントチャート形式で設計されており、進捗管理やタスクの割り当てなどがしやすい構成です。
●作業タスクと日付の連動
●担当者の割り当て欄あり
●日程別に多様な種類をDLできる
ダウンロードはこちらから行えます。
工程表は作成するだけでなく、現場で適切に運用することが重要です。以下のポイントを押さえると、エクセルでの工程管理がスムーズになります。
●ファイル名に更新日を明記する
●編集・更新の担当者を決めておく
●情報共有の手段を統一する
●シート分割や色分けで可視化する
特に工事現場では複複数の関係者が関わるため、ファイル管理や共有方法を明確にしておくことが重要です。
管理方法などをルール化しながら、効率の良い工程表管理を目指しましょう。
エクセルでの工程表作成についてよくある質問をまとめました。
テンプレートによる作成が最も手軽な方法です。すでに日付や作業項目を入れるセルが整っている工程表の雛形を使えば、必要項目を入力するだけで工程表を作れます。
どちらも工程を棒グラフで示す形式ですが、ガントチャートは「進捗」や「実績」も記録できます。ガントチャートはより詳細なスケジュール管理に向いています。
OneDriveやGoogle Driveなどのクラウドストレージを使えば、最新版を共有しやすくなります。リアルタイム編集にはGoogleスプレッドシートの活用も検討しましょう。
本記事で紹介したように、Microsoft公式やエニワンなど、無料で使えるテンプレートが複数あります。用途に応じて選びましょう。
工務店業務を知り尽くした「AnyONE」のテンプレートが最もおすすめです。
エクセルでの工程表作成は、低コストかつ柔軟にカスタマイズできる点が魅力です。
ガントチャートやバーチャートといった代表的な工程表も、関数やテンプレートを使えば誰でも作成できます。
一方で、リアルタイム共有や更新管理などの課題もあるため、ファイルの扱い方や運用ルールを整えることが重要です。
とくに工事現場など多くの関係者が関わる現場では、クラウド共有や役割分担などの工夫が求められます。
まずは、使いやすいテンプレートを活用しながら、自社に合った工程表の形を見つけていく方法がおすすめです。
また、住宅業界や工務店の方は、工程表の作成に限らず営業や施工管理、カスタマーサポートなど幅広い業務をおこないます。
これらの業務をまとめて効率化するためには、業務支援ツールの活用がおすすめです。
ただ、住宅業界・工務店向けの業務支援ツールはさまざま登場しており、「どのツールが適しているか分からない」「ツールごとの違いが分からない」という方もいるでしょう。
そこで、各社システムの機能の違いを分かりやすくまとめました。
詳しくは、下記の「他社システムの機能比較」をご参照ください。
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