【建設業】法定福利費の算出方法とは?ざっくり費用を割り出す方法や書き方
2024年4月に時間外労働の上限規制が建設業にも適用され、これまでと同じような長時間労働が難しくなる見込みです。従業員や職人の労働時間を把握するためには、正確な職人管理(出面管理)が重要です。
しかし多くの工務店ではアナログな職人管理をしており、正確な労働時間を把握できていると自信を持てる方は少ないのではないでしょうか。
本記事では職人管理(出面管理)の必要性、職人管理をおこなうための情報、アナログな職人管理の問題点、職人管理の方法について解説します。
正確な職人管理をおこないたい、効率的に職人管理をおこないたいと考えている方の参考になれば幸いです。
INDEX
建設業界では長時間労働が長年問題視されていました。2024年4月からは時間外労働の残業規制が始まるため、正確な職人の出面が求められています。
はじめに以下3つの観点から職人管理(出面管理)の必要性について解説します。出面管理の必要性について理解していない方は、参考にしてください。
●職人の賃金の把握
●労務管理
●安全管理
出面管理は出面表や出面帳を用いておこなわれます。出面表や出面帳では以下のことを記載します。
●どの職人が
●どこの現場で
●何時間
●どの作業をしているのか
上記の情報を元にして、職人ごとの賃金を計算します。つまり出面管理が適切におこなわれていないと、職人に正しい賃金を払えません。
また出面管理が適当だと、本来の賃金よりも多い金額を職人に払ってしまう恐れがあり、工事原価を上昇させる原因にもなります。そのような事態をなくすため、出面管理は重要です。
出面管理は労務管理をおこなう際にも重要です。労働基準法では、労務管理をおこなう場合、以下の書類を作成することが義務付けられており、5年間保存しなければいけません。
●労働者名簿
●賃金台帳
●出勤簿
【参考】労働基準法107・108・109条
また協力会社との契約方法には「請負契約」と「常傭(じょうよう)契約」の2つがあります。
請負契約とは工事や現場ごとに結ぶ契約で、事前に契約した工事の完了を持って報酬が支払われるのが特徴です。請負契約の場合、人件費だけでなく材料費など工事に必要な費用を全て含めた金額で契約します。
ただ請負契約は、契約金額を決めてから作業に取り掛かるため、工事完了後の手直しの取り扱いが難しいことがデメリットです。
場合によっては無償対応を求められる恐れがあるため、手直しの取り扱いは事前に契約書で規定しておきましょう。
常傭契約とは、契約で定められた時間内に仕事をおこない、作業時間に対して報酬を受け取る方法です。材料など工事に必要なものは元請会社が用意するのが一般的で、人件費のみを受け取ります。
請負契約よりも契約金額が少なくなりますが、材料の発注ミスなどがなくなるため、1案件あたりのリスクは小さくなることがメリットです。
出面管理は安全管理のためにもおこなわれます。工事現場に「無災害労働日数◯日」と掲げられているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
出面表には作業員の人数や労働日数が記載されているため、何日災害が起こっていないのか、いつ災害が起こったのかをすぐに確認可能です。現在日本では安全管理の重要性が特に叫ばれており、無災害労働日数は非常に重要な指標です。
また出面表を活用すると、職人の働きすぎもすぐに確認できます。出面表にはどの作業員が何時間働いたかが記載されているため、あまりに時間が多い職人に事前の声かけによって、労働災害を防止することも可能です。
ここでは職人管理(出面管理)に必要な以下5つの情報について解説します。出面管理が適切にできていないと、悩んでいる方は参考にしてください。
●現場名
●職人の氏名
●職種
●労働形態
●働いた日と時間
現場名は必ず記載しましょう。複数現場で作業をしている場合、現場名がわからないと、管理がしづらくなってしまうためです。
また複数現場を管理している元請会社としても、現場名がわからない出面表は取り扱いに困ってしまいます。出面表を管理できないと、正確に労務費や外注費を計上できないため、工事現場ごとの適切な利益が算出できなくなってしまいます。
そのような事態を避けるために、現場名は必ず記載しましょう。
職人の氏名も必ず記載しましょう。また記載する際は必ずフルネームで記載することが重要です。現場が大きくなれば同じ苗字の職人が、同じ現場で働くこともあります。
同じ苗字の職人が大勢いると、苗字だけでは個人ごとに管理ができないため、必ずフルネームでの記載を義務付けましょう。
職人ごとの職種も必ず記載しましょう。建築工事は土木工事よりも職種の数が多く、同時期に複数の作業が並行して工事が進行します。
職種を記載していると、誰が・いつ・何の工事をおこなったかが明確になり、出面管理が簡単になります。
出面管理には労働形態の記載も重要です。労働形態とは以下のことを指します。
●通常労働
●休日労働
●時間外労働
●深夜労働
通常労働以外の形態で働くと、元請会社は賃金を上乗せする必要があり、工事原価に大きな影響を与えます。また職人の収入にも大きな影響を与えるため、労働形態は必ず記載するようにしましょう。
働いた日と時間も必ず記載しましょう。特に記載が漏れるケースは、スポットで現場に入った場合です。
●納期まで時間がなく人手が足りない
●手直しに時間がかかる
長期のような理由で、短期間のスポットで現場に入場する際は記載が漏れやすいです。出面表への記載を忘れてしまうと、職人の賃金が支払われなくなってしまいます。
また元請会社は本来支払うべきお金の支払いが漏れてしまいます。そのような事態を防ぐためにも、働いた日と時間は必ず記載しましょう。
ここまでで職人管理(出面管理)の必要性はご理解いただけたかと思います。ただ多くの現場では、まだまだ紙を用いてのアナログな手法で職人管理をしており、課題が多いです。
ここではアナログな職人管理の3つの課題について解説します。
●効率が悪い
●不正が横行しやすい
●保存や再利用に向いていない
紙をはじめとしたアナログな職人管理は、非常に効率が悪いです。手書き出面表を作成している場合、集計をはじめとしたデータ利用のためには、人の手でエクセルや業務効率化システムに入力しなければなりません。
入力の際に入力ミスが発生する可能性もあり、非常に効率が悪いです。2024年4月から時間外労働の上限規制が始まるため、このような無駄な作業を減らしていかないと、労働時間を短くすることは非常に困難です。
アナログな出面管理は、以下のような不正が横行しやすいことも問題です。
●登録されていない作業員が、別の作業員の名前を借りて入場する
●作業時間を誤魔化せる
●出面表へ記載して帰ることもできる
上記のような不正が横行してしまうと、適切な賃金を計算できません。また必要以上に工事原価が増加してしまうため、工事の利益率も悪化してしまいます。
紙の出面表は、保存や再利用に向いていません。紙での保存は、ファイルに綴じる、保存スペースを用意するなど手間がかかります。また紙は劣化するため、一定期間保管すると、記載されてない用の判別がつかなくなる恐れもあります。
また先述したように紙で出面表を作成していると、集計やデータ分析などで再利用することが難しいです。データを再利用するためには、人力でエクセルやITツールに情報を入力しなければなりません。
後述するエクセルや業務効率化システムで出面管理をおこなっていれば、保存や人力で入力する手間はかかりません。
代表的な職人管理(出面管理)の方法は以下の3つです。
●手書き
●エクセル
●業務効率化システム
手書きは多くの工務店で利用されている出面管理の方法です。手書きは用紙とペンさえあればすぐに出面管理をおこなえます。
現場数や従業員数が少ない工務店であれば、先述した手書きの問題点を感じにくいかもしれません。しかし「これから規模を拡大させたい」「すでに多くの現場を抱えている」といった工務店は、手書きの出面管理から後述する2つの方法への移行を考えましょう。
エクセルは関数・計算式の活用で、手書きよりも効率的に出面表の作成が可能です。またテンプレートを活用することで、エクセルの知識がなくても誰でも簡単に出面表の作成ができます。
ただしエクセルは、入力者に最低限のITスキルが必要で苦手意識を持つ方に利用を促すのが難しいです。エクセルに詳しい方がいないと、出面表の改善や修正がおこないにくいこともデメリットです。
職人管理(出面管理)をエクセルよりも効率化したい場合は、業務効率化システムを活用するのがおすすめです。システムを活用すると一度必要な情報を入力すれば、ワンクリックで労務計算など手間のかかる作業が自動的に実施されます。
また近年主流になっているクラウド型のシステムを利用すれば、スマホやタブレットから出面表の作成・管理がおこなえるため、効率的に業務を進められます。
さらに操作に不明な点があってもシステム提供会社に確認すれば、すぐに疑問点を解決できるため、社内にITに詳しい人材がいなくても、使えることがメリットです。
ただ業務効率化システムは有料のため、利用料や導入費がかかります。費用感はシステムによって異なるため、機能や自社の予算と照らし合わせて、自社に適したシステムを選びましょう。
工務店業務を効率化したい方に最もおすすめする業務効率化システムは「AnyONE」です。AnyONEを導入している企業は3,300社を超えており、継続率は驚きの99.4%に達しています。
現在AnyONEは以下の工務店業務に対応しています。
【AnyONEの機能】
顧客管理
帳票管理
見積書の作成
工事管理
物件管理
実行予算管理
支払い管理
請求・入金管理
図面・写真管理
アフター・メンテナンス管理
特に人気のある機能が「見積書の作成」です。AnyONEは必要な箇所に数字を入力すると自動的に計算してくれるため、エクセルよりも手間がかかりません。また計算式を使用していないため、計算式が反映されていないというミスも起こりません。
AnyONEを活用したお客様の中には、以下のように効果を感じている方がいます。
●見積書作成の時間が9割減った
●1日かかっていた見積書が半日で作成できるようになった
またAnyONEは入力した情報を元に、原価管理や実行予算作成をおこなえるため、粗利管理も手間なくおこなえます。AnyONEはあらゆる業務を効率化できるため、労働時間を減らしたいと悩んでいる工務店経営者におすすめです。
さらにAnyONE新機能の開発にも積極的です。2023年11月現在はシステムリリースから、5,300件以上のバージョンアップをおこなってきました。
現在は職人管理(出面管理)機能の開発を進めています。AnyONEで出面管理がおこなえると、労務管理も一気通貫でできるようになるため、工事現場の管理が一層楽になります。
AnyONEは導入後も、ユーザーの声を受けて新機能の開発や不具合の修正をおこなうため、どの工務店にもおすすめできる業務効率化システムです。
この記事では職人管理(出面管理)の必要性、職人管理をおこなうための情報、アナログな職人管理の問題点、職人管理の方法について解説しました。
現在多くの工務店では紙を使ったアナログな職人管理がおこなわれています。アナログな職人管理の問題点は以下の3つです。
●効率が悪い
●不正が横行しやすい
●保存や再利用に向いていない。
これらの問題点を解決するためには、エクセルや業務効率化システムの導入がおすすめです。特におすすめするのは業務効率化システムです。
AnyONEの職人管理機能は開発する前の段階ですが、他にも便利な機能が揃っています。職人管理以外も効率化したい方には、非常におすすめできるシステムとなっています。
ただ「AnyONEが自社に本当に適しているかわからない」と悩む方もいるでしょう。そのような方は複数システムと比較検討して、自社に合うものを選びましょう。下記の資料では、複数システムの機能を比較しているため、気になる方はダウンロードしてください。
記事監修:佐藤主計
保有資格:1級造園施工管理技士、2級土木施工管理技士
建設業界に携わり30年。公共工事の主任技術者や現場代理人をはじめ、造園土木会社の営業マン・工事担当者として、数万円から数千万円の工事まで幅広く担当。施工実績は累計約350件にものぼる。
チャットでお問い合わせください。