【工事】原価管理とは?必要性やシステムの選び方を解説

【工事】原価管理とは?必要性やシステムの選び方を解説

企業の財務の健全性を保つため、現場のリスクを未然に防ぐため、欠かせないのが『原価管理』です。
「多忙でする時間がない」「エクセルなどの管理が面倒」などさまざまな理由で、工事現場で原価管理を行っていない企業もあります。
しかし、その結果、大きなトラブルにつながる可能性もあるでしょう。
今回は、原価管理の概要やメリット、課題、トラブル、コツ、原価管理に役立つおすすめのソフトなどについて解説します。

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工事における原価管理とは?

工事における原価管理とは?

原価管理とは、コスト改善を目的に、商品・サービスを提供するためにかかる原価を計算し、分析などを行うことです。
一般的にエクセルや手書き、ソフトなどを使用し、原価管理を行います。

 原価管理を行うことのメリット

原価管理を適切に行うと、財務面で大きなメリットを得られます。例えば、下記2点のようなメリットがあります。

・無駄なコストを把握し、利益を確保できる
原価管理では、原価の構成内容を把握できます。無駄なコストを見つけて、削減することもできるでしょう。

工事現場の利益は、「売上ー原価」で計算されます。
売上は一定であっても、無駄なコストを減らすことで原価を抑え、利益増加を目指しましょう。

・損益分岐点を把握できる
損益分岐点とは、黒字と赤字がわかれるボーダーラインのことです。
損益分岐点をあらかじめ把握することで、原価に応じた利益額の見込みも立てやすく、経営判断もスムーズになるでしょう。

 原価管理を行う上での課題

財務面でメリットのある原価管理ですが、行っていない工務店や工事現場もあります。

「工期に間に合わせるのがやっとで、原価管理に手を割く余裕がない」
「原価管理のエクセル・ソフトは操作・管理が難しく、挫折してしまう」
「現場監督に任せていて、経営層は実態を把握していない」

事情はさまざまですが、原価管理を工事現場で行うハードルが高くなってしまっているのが現状です。

 原価管理をしていないことで発生するトラブル

原価管理を行っていない工務店や工事現場もありますが、原価管理を放置していると経営問題にもなりかねません。
例えば、「見積り時にあったはずの利益が、完成時にはゼロになっていた」、「部材を重複して仕入れてしまった」、「人手不足により、外注費がかさんだ」などということになります。このようなトラブルが発生すると、赤字の工事現場が発生するかもしれません。
赤字の工事現場が自社内で増えると、当然ですが、経営も傾きかねません。

一般に、原価管理は経理業務だと思われがちですが、実態は異なります。
経理業務は工事現場で生じた請求書を月ごとに工事台帳で集計します。
原価管理は、経理業務を行う前段階で行い、実情を把握、原価を予測し、現場の改善によって赤字を防ぎます。
つまり、経理業務は「実績・結果をまとめるもの」、原価管理は「予測・対策するもの」であり、根本的に性質が異なります。
黒字経営を目指すために、欠かせないのが原価管理です。

また、原価管理に基づき経営判断するのは経理部門ではなく、経営部門が基本です。
経理部門が口出しすることはほとんどなく、経営部門の独断により意思決定がなされる場合には、注意しなければなりません。
周りが意見する環境がなければ、判断に偏りが生じたり、本人の経験・カンに依るものとなりかねないためです。

工事原価管理の具体的な流れ

工事原価管理のコツ

工事原価管理を適切に行うには、どのような流れで管理が進められるのか具体的な流れや仕組みを把握することが重要です。

工事原価管理は大きく分けて以下の流れで進みます。

・標準原価の設定
・原価計算
・差異分析
・改善行動

標準原価の設定

標準原価の設定とは、原価管理の基準となる「標準原価」を概算で決めることです。
設定した標準原価をもとに、1工事あたりでどのくらいの利益があげられるのか計算できるため、重要な数値といえます。

標準原価は、あくまでも工事前の段階で設定する大まかな数値であるため、実際に工事でかかる原価との間に差が生まれるケースが一般的です。
この実際にかかった原価のことを「実際原価」といいます。

標準原価と実際原価の差が大きすぎると、企業は利益を上げられないため、標準原価は市場調査を入念に行い、相場を踏まえ、利益とのバランスを考慮したうえで設定することが大切です。

原価計算

正確な利益を把握するためには原価計算を行う必要があります。
この原価計算には大きく分けて「標準原価計算」「実際原価計算」「直接原価計算」の3種類があります。
それぞれの概要は以下の通りです。

工事原価管理の具体的な流れ

原価計算に算出された数値は、企業の意思決定の材料となる重要なもの。原価に含まれる要素を抜け・漏れなくカウントすることが大切です。

差異分析

差異分析とは、標準原価と実際原価の違いを分析することです。
原価計算ができたら、標準原価と実際原価を比べて違いを確認してください。
例えば、標準原価よりも実際原価のほうが高いと利益が減っていることを示します。

比較した結果を踏まえ、「どのくらいの差が生まれているのか」という事実だけでなく、「なぜその差が生まれたのか」、原因を分析することが大切です。
差異分析により、工事の課題を洗い出すことができるため、改善策を練ることもできます。

改善行動

差異分析の結果を踏まえて、改善行動につなげていきます。
標準原価と実際原価に差がある場合は、標準原価を引き下げるために、工事の無駄や非効率な部分を取り除きます。
例えば、仕入価格が高いために差が生まれているのであれば、仕入れる数を増やして単価を下げてもらうようにする、仕入業者を選定し直すといったことができるでしょう。
また、価格設定の見直しも有効です。
標準原価と実際原価の差が生まれる理由は一つではないため、さまざまな視点から原因を検討し、改善に取り組むことが重要です。

工事原価管理のコツ

原価管理をエクセルで行う工務店もあります。エクセルをすでに業務で使用している工務店なら、無料で利用できるため、導入しやすいでしょう。
しかし、エクセルは内容の更新を手入力で行うため、ミスが発生しやすく、集計にも膨大な時間がかかります。
また、当然ですが、担当者がエクセルで入力作業を終えるまで、最新の原価管理情報に更新されません。
常に最新情報を参考にし、経営判断を行いたい場合には不向きです。

その点、工事原価管理システムなどのツールは、エクセルからデータを取り込んだり、クラウドでリアルタイムの情報を取れるため、ミスを抑えて、効率的に業務を進めやすくなります。
限られた時間で原価管理を行うためにおすすめです。

工事原価管理システムの選び方|価格・機能だけではない!

工事原価管理システムの選び方

工事原価管理システムやソフトの導入を検討される場合、どれを選ぶか迷われるかもしれません。そこで、選び方のポイントを解説します。
システム・ソフトの選び方は価格だけではありません。機能や仕組みを踏まえて、工事原価管理システムの参考にしてください。

 利用目的の明確化

原価管理システムを導入する際には、その目的を固めておきましょう。
「赤字の工事現場をゼロにしたい」「財務の透明性を図りたい」「実行予算を把握したい」など、目的に応じて適切な工事原価管理システムが決まります。
「目的を達成するために必要な機能を備えているか」、「臨機応変なカスタマイズが可能か」を含め、検討しましょう。

 一元管理機能

原価管理を担当者ごとに行っていると、エクセルファイルや手書き資料がバラバラになり、会社全体での状況を把握するのが難しくなります。
工事原価管理システムでは、インターネットを活用し、原価管理に必要な情報をまとめて管理できます。
また、インターネット接続できる環境であれば、時間・場所を問わず、いつでも・どこでも管理することも可能です。

 クラウド型

工事原価管理システムに使用するサーバは、「オンプレミス型」と「クラウド型」に分けられます。
オンプレミス型は社内のサーバを、クラウド型はインターネット上のサーバを、それぞれ利用します。
オンプレミス型は、社内に設置するハードを利用するため、セキュリティ面に強い一方で、サーバの管理・保守を自社で行う必要があります。
クラウド型は、ハードの保守・メンテナンスが不要かつオンラインに対応できますが、外部からの攻撃の危険性にさらされるため、セキュリティ面が弱点です。
そのため、クラウド型の中でもセキュリティを強化した「プライベートクラウド」を利用するとより安心です。

業務支援システムの種類を解説!

 導入時のサポート体制

導入した工事原価システムを社内の従業員が運用できるかどうかにも注意が必要です。
特にITツールの苦手な従業員の中には、上手く操作できるか不安に感じられる方もいるでしょう。
操作で難しい部分をしっかりサポートしてくれるかも、工事原価システムを選ぶうえでのポイントです。
疑問点や不明点がある際に、適切なサポートもパッケージに含まれるサービスを選びましょう。

まとめ

冒頭でお伝えした通り、原価管理は安定経営やリスク管理に欠かせないことをご理解いただけたでしょう。
企業ごとの事情はあるかもしれませんが、積極的に原価管理を行うことをおすすめします。
エクセルや手書きでの管理が難しければ、工事原価管理システムの導入を検討してみましょう。
下記、工事原価を管理できる4つのサービスの機能を比較した資料を参考にしてみてください。

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