【塗装工事】請求書の作り方・書き方|インボイス対応・人工費の計算方法・作成手順を解説

【塗装工事】請求書の作り方・書き方|インボイス対応・人工費の計算方法・作成手順を解説

塗装工事の請求書は、工事内容や金額だけでなく、人工費や使用材料など工事特有の情報を正確に記載する必要があります。
さらに、インボイス制度や2024年問題における対応も求められるため、正しい作り方を押さえておくことが重要です。

本記事では、塗装工事の請求書に必要な項目と書き方、人工費の算出方法、作成時の注意点を解説します。
手書き・Excel・システム別の作成方法や、業務効率化のヒントもご紹介します。

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請求書とは

請求書は代金を請求するための書類であると同時に、取引内容を証明し、トラブル防止にもつながる重要な書類です。
特に塗装工事では材料費や人工費など複数の要素が絡むため、正確かつわかりやすい請求書作成が欠かせません。

ここでは、塗装工事における請求書の基本的な役割や意味について解説します。

塗装工事で請求書を作成する理由

塗装工事で請求書を作る最大の理由は、支払いに関するトラブルを避けるためです。
外壁や屋根の塗装は高額になりやすく、口頭でのやり取りだけでは、後から金額や作業範囲を巡って揉めるケースがあります。

また、塗装工事では、請求のタイミングが着手金・中間金・完工後と複数回になる場合もあります。
どの時点でどの金額を請求するのかを明確にし、文書として残すことが、信頼関係を築く第一歩です。

塗装工事の請求書に記載する項目と書き方

請求書はただ金額を記載するだけの書類ではなく、発注者との信頼関係を保ち、法的に正しい形で取引を記録する重要なツールです。

ここでは、塗装工事の請求書に必ず記載すべき10項目と、書き方・記入例を紹介します。

1.請求書の宛先

請求先の会社名や個人名を正式名称で記載します。法人の場合は「株式会社」などを省略せずに書き、部署宛なら「御中」、個人宛なら「様」を付けます。

【記入例】

株式会社〇〇製作所 御中

〒123-4567 東京都練馬区1-2-3
営業部 田中太郎 様

 

2.請求内容

どのような工事や作業を行ったのか、品目ごとに単価・数量・金額を明記します。塗装面積や使用塗料の種類、足場や養生シートなども分けて書くと分かりやすくなります。

【記入例】

工事名:外壁塗装工事(株式会社〇〇製作所本社ビル)

契約金額:700,000円
└外壁塗装工事(シリコン塗料使用):200㎡×2,500円=500,000円
└仮設足場設置:200㎡×800円=160,000円
└養生シート:200㎡×200円=40,000円

 

3.消費税の表示

税率ごとに区分して記載します。標準税率(10%)と軽減税率(8%)が混在する場合は、項目ごとに税率を示します。

【記入例】

小計(10%対象):700,000円
消費税(10%):70,000円
消費税(8%):0円

合計:770,000円

 

4.発行日

請求書の発行日を記載します。多くは工事完了後や契約で定めた締め日に発行しますが、取引先の指定がある場合もあります。

【記入例】

発行日:2025年8月31日

 

5.支払期日

支払い期限はトラブル防止のために必ず記載します。契約時に決めた条件(例:末締め翌月末払い)を明記し、振込手数料の負担先も記すと親切です。

【記入例】

支払期日:2025年9月30日
※振込手数料は貴社ご負担でお願いします。

 

6.発行者

発行元が誰なのかを明確にするため、会社名・所在地・電話番号・メールアドレスを記載します。

【記入例】

株式会社〇〇塗装
〒000-0000東京都葛飾区1-2-3

TEL:03-1234-5678
E-mail:sato@example.com

担当:佐藤一郎

 

7.振込先

銀行名・支店名・口座番号・口座名義を記載し、加えて銀行コードや支店コードも添えると安心です。

【記入例】

振込先:第一銀行葛飾支店
普通預金口座番号:1234567
口座名義:カ)マルマルトソウ

銀行コード:0001
支店コード:002

 

8.特記事項

支払い条件、保証内容、注意事項など補足情報を記載します。工事保証やアフターサービスの内容を書くと、発注者の安心感につながります。

【記入例】

  • 工事完了後5年間の塗膜保証付き
  • 保証対象は外壁塗装部分のみ
  • 天災による損傷は保証対象外

 

9.請求書番号

請求書の通し番号を付けると、社内管理や取引先からの問い合わせ対応がしやすくなります。

【記入例】

請求書番号:2025-08-001

 

10.適格請求書(インボイス)に必要な項目

インボイス制度に対応するため、登録番号や税率区分など追加の記載が必要です。登録番号は「T+13桁」の形式で記載します。

【記入例】

登録番号:T1234567890123
消費税:(10%対象)70,000円
消費税:(8%対象)0円 ※軽減税率対象品目なし

 

【NG例】請求書作成で気を付けるポイント

以下のような不備は、支払い遅延やクレームの原因となります。

  • 宛先や金額に誤りがある
  • 税率ごとの区分がなくインボイス制度に非対応
  • 人工費や材料費などの内訳がなく「一式」としか書かれていない
  • 支払期日が未記載

特に建設業では、内訳の透明性が信頼に直結するため、詳細な記載が不可欠です。「ざっくり一式で出しておきました!」これは最も避けるべきケースです。

塗装工事の請求書テンプレート

弊社が提供しているエクセル形式の請求書テンプレートです。
ダウンロードして、必要事項を入力してご使用ください。
なお、ご請求額、小計、消費税、合計は自動計算されます。

 

塗装工事の請求書に記載する人工費とは?

人工費(にんくひ)とは、工事にかかった人件費と技術料を合わせた費用のことです。
建設業や塗装工事ではよく使われる用語ですが、他業種の請求書にはあまり登場しません。

人工費は、作業した人数と日数を掛け合わせて算出し、単価を設定して計算します。
例えば、職人1人が1日あたり30,000円で作業する場合、2人が4日間作業すると「2人×4日=8人工」となり、人工費は30,000円×8人工=240,000円です。
この単価には、単なる時給計算ではなく、技術力や経験、作業効率なども含まれています。

請求書に人工費を記載する際は、「人数」「日数」「単価」「小計」「消費税」まで明記すると、発注者が納得しやすくなります。

【記入例】

人工費2人×4日×30,000円=240,000円(税込264,000円)

 

【参考】塗装の1人工の単価

地域や職人の技量によって差がありますが、一般的には1日あたり20,000円〜30,000円程度が多いです。
経験豊富な職人や特殊塗料の施工など、高度な技術を必要とする場合は35,000円を超える場合もあります。
単価は材料費と混同せず、人件費として明確に記載しましょう。

塗装工事の請求書を作成する方法

請求書の作成方法には、いくつかのパターンがあります。
ここでは「手書き」「Excel・Word」「業務効率化システム・会計ソフト」の3つを比較し、それぞれの特徴や注意点を解説します。

手書き

市販の請求書用紙に直接記入する方法で、文房具店や100円ショップでも購入でき、パソコンがなくてもすぐに作成できます。

ただし、金額計算や住所・社名などを毎回手書きする必要があり、同じ取引先に継続して発行する場合は手間がかかります。
計算ミスや記入漏れのリスクも高く、実際に「あれ?合計金額が合わない!」なんてことも起きがちです。
小規模な取引には向きますが、件数が多い場合は非効率です。

Excel・Word

インターネット上にはExcelやWordの無料テンプレートが多数あり、社名やロゴ、印鑑データを挿入できるため、見た目の統一感も出しやすいです。
Excelの場合は計算式を組み込めるため、数量や単価を入力すると自動で小計や合計が反映されます。
Wordはレイアウトの自由度が高く、デザイン性を重視する場合に便利です。

ただし、テンプレートによっては必要項目(インボイス番号や税率区分など)が不足しているケースがあるため、自社仕様に編集して使うことが必要です。

業務効率化システム・会計ソフト

発行件数が多い場合や、インボイス制度に対応したい場合は、業務効率化システムや会計ソフトを使う方法が有効です。
例えばクラウド型の請求管理サービスでは、取引先情報や工事内容を一度登録すれば、次回から自動反映されます。

以前は「帰ってからまとめるのが面倒…」なんて声が多かったですが、今はスマホからその場で入力できます。
支払状況の管理や売掛金の自動仕訳連動など、経理作業の負担を大幅に軽減できるのが強みです。

塗装工事に関してよくある質問

人工費の相場、請求書で避けるべきミス、必要な関連書類など、実務で迷いやすいポイントについて、Q&A形式で解説します。

塗装工事に必要な書類一覧を教えてください。

そのほか、塗装工事に必要な書類は以下の通りです。これらの書類をきちんと揃えることで、工事の透明性と信頼性が高まります。

  • 見積書(工事内容と金額の事前提示)
  • 工事請負契約書(契約条件の明文化)
  • 請負契約約款(契約内容の詳細規定)
  • 請負代金内訳書(各工程や材料の内訳)
  • 請求書(代金請求)
  • 工事保証書(塗膜保証などのアフターサービス内容)

 

2024年問題の影響で塗装工事の請求書作成はどう変わりますか?

建設業界では2024年問題と呼ばれる働き方改革関連法の影響が大きくなっています。

これは、時間外労働の上限規制が建設業にも適用され、長時間労働が制限されるようになったことを指します。
それに伴い繁忙期などに請求書作成が立て込んでも「残業しにくい」という声が現場から上がることも考えられます。
こうした変化に対応するためには、従来の手作業から、デジタルを活用した効率的な方法への移行が避けられない課題となっています。

請求書制作をデジタル化するなら「AnyONE」

工務店向けクラウド業務サービスAnyONEでは、見積書・請求書の作成から送付、保管、共有までをクラウド上で一元管理できます。

過去の書類や修正履歴も自動保存されるため、いつ・誰が・どのような変更を行ったのかが明確に把握でき、情報管理の精度が格段に向上します。
さらに、アクセス権限の設定やダウンロード期限、パスワード保護などのセキュリティ機能も充実。重要な取引データも安心して管理できます。

日々の請求業務を効率化し、業務負荷を大幅に軽減します。

まとめ

塗装工事の請求書は、単に金額を伝えるだけでなく、工事内容の証明やトラブル防止、税務管理の役割も担っています。
特に人工費は塗装業ならではの項目であり、人数・日数・単価を明確に書くことが重要です。

作成方法は手書き・Excel/Word・業務効率化システムの3つがあり、取引規模や業務フローに合わせて選ぶのがポイントです。
また、インボイス制度に対応した書式を整え、必要書類を一式揃えておくことで、発注者との信頼関係をより強固にできます。

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記事監修:大﨑 志洸/株式会社Limited 取締役
兵庫県出身。施工実績は累計5,000件以上。
総工費10億円規模のプロジェクトに従事し、施工管理の実務経験を積む。
その後、商社の建設事業部にて総工費3億円規模のビル改修やオフィス・店舗内装を手掛け、同事業部の立ち上げを主導。
現在は、2024年2月に株式会社Limitedを代表の吉田と共同設立し、内装工事の受注に加え、施工管理の派遣・人材紹介業務に関するコンサルティング事業を展開している。

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