建築ソフトのおすすめは?CAD・BIM・業務管理まで種類別の選び方
工務店DXとは、デジタル技術とデータを活用して見積・原価・工程などの業務を作り変え、少ない人数でも利益を残せる体制へ転換する取り組みです。
人手不足と2024年問題に直面するいま、これは大手だけのテーマではなく、従業員10〜30名規模の工務店ほど効果が大きく表れます。
「人手は増えないのに、書類も現場も増える一方」。そんな状況に限界を感じている工務店の経営者や現場責任者は少なくありません。
DXという言葉は耳にするものの、何から手を付ければよいのか、自社の規模で本当に必要なのか、判断がつかないまま後回しになっているケースも多いはずです。
そこで本記事では、次の点を整理します。
読み終えるころには、自社が次に取るべき一歩が具体的に見えてくるはずです。
INDEX
まず、工務店DXという言葉の意味と、混同されやすいIT化との違いを整理します。ここを押さえておくと、後半の優先順位や効果測定の話が理解しやすくなります。
工務店DXとは、デジタル技術とデータを活用して見積・原価・工程・顧客管理などの業務を作り変え、少ない人数でも利益を残せる体制へ転換する取り組みです。
単に紙をパソコンに置き換えることではなく、仕事の進め方そのものを見直す点が本質になります。
経済産業省は、DXを企業がデータとデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデル、さらに業務や組織、企業文化までを変革し、競争上の優位性を確立することと位置づけています。
(参照:経済産業省 デジタルガバナンス・コード)。
工務店に置き換えれば、デジタル化を通じて少人数でも工事をさばき、利益を確保できる会社へ変わることがゴールです。
IT化が個々の作業を効率化する手段であるのに対し、DXはその先にある業務全体や経営の変革を指します。
わかりやすいように、目的と例示、ゴールを表にまとめました。
| 観点 | IT化・デジタル化 | DX |
|---|---|---|
| 目的 | 個別作業の効率化 | 業務全体・経営の変革 |
| 例 | 紙の日報をアプリ化する | 蓄積データで原価と工程を改善する |
| ゴール | 作業が速くなる | 利益が残る仕組みになる |
IT化はDXの入り口です。たとえば、日報や写真をデジタル化するだけであればIT化にすぎません。そこで貯まったデータを経営判断に生かす段階まで進めて、はじめてDXと呼べます。
工務店にDXが必要な理由は人手不足と2024年問題により、少人数で利益を出す仕組みづくりが避けられなくなったからです。
ここからは、工務店にDXが不可欠な理由を背景を含めて解説します。
働き手が構造的に減り続けていることが、DXを急ぐ最大の理由です。
国土交通省の資料によると、建設業の就業者数はピークだった1997年の685万人から、2024年には477万人まで減少しています。
(参考:最近の建設産業行政について)
年齢構成の偏りも深刻で、2024年時点で55歳以上が約36%を占める一方、29歳以下は約12%にとどまります(全産業はそれぞれ約32%、約17%)。
(参考:国土交通白書2025)
つまり、ベテランの大量引退が目前に迫る一方で、若手の補充が追いついていません。限られた人数で従来どおりの仕事量をこなすには、業務そのものを効率化するほかない状況です。
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。これがいわゆる2024年問題です。
原則として月45時間・年360時間が時間外労働の上限となり、残業でカバーしてきた工期が回りにくくなりました。その結果、1人あたりがこなせる現場数は減少傾向にあります。
人を増やせず、残業も減らさなければならない。この板挟みを解く現実的な手段が、移動や転記、二重入力といった付帯業務をデジタルで削ることといえるでしょう。
DXの効果は小規模な工務店ほど大きく表れます。業務が属人化しやすく、一つの改善が会社全体に波及しやすいためです。
まずは自社の状況を確認し、次の項目に複数当てはまるなら、DXの効果が見込めるサインです。
上記の項目に当てはまる項目が多いほど、改善できる余地は大きいといえます。
とくに、人手不足に悩んでいるのであれば、工務店DXの導入を検討する価値はあるでしょう。
工務店DXのメリットは業務の効率化や生産性アップですが、一方でコストや定着までの労力がかかる点はデメリットです。
工務店DXが自社にとって最善策なのか、メリットとデメリットを理解したうえで判断しましょう。
工務店DXの最大のメリットは、少ない人数でも利益を残せる体制が作れることです。具体的には次のような効果が期待できます。
一方で、DXには初期コストと定着までの労力がかかります。ツールの導入費用や月額利用料が発生し、現場が新しいやり方に慣れるまでには一定の時間が必要です。
ただし、これらは進め方しだいで抑えられます。次章以降の優先順位づけ、補助金の活用、段階的な導入によって、負担を最小化しながら効果を出す方法も同時に意識しましょう。
ここからが本記事の核心です。
DXでつまずく典型的な原因は、あれもこれもと一度に手を広げて頓挫することです。何から着手し、何を後回しにしてよいかを一覧で確認できるよう、業務別に整理しました。
工務店の主要業務ごとに、よくある課題とデジタル化で解決できることを並べます。
| 業務 | よくある課題 | DXでできること |
|---|---|---|
| 見積作成 | 作成に時間がかかる、過去案件を探せない | テンプレートと過去データで作成を高速化 |
| 原価・粗利管理 | 案件ごとの利益が見えない | 入出金と紐づけ、リアルタイムで把握 |
| 工程管理 | 遅延や手戻りが多い | 進捗を可視化し、遅れを早期に検知 |
| 日報・作業報告 | 紙や口頭で集計に手間がかかる | スマホ入力で即共有・自動集計 |
| 図面・写真共有 | 最新版が分からなくなる | クラウドで一元管理し検索性を向上 |
| 顧客管理 | 追客が属人化し、漏れが出る | 履歴を共有し追客漏れを防止 |
| 請求・入金管理 | 二重入力、計上漏れが起きる | 見積から請求まで連携し転記を削減 |
これらの課題に共通するのは、情報が紙やエクセルに分散し、転記や属人化を招いている点です。
裏を返せば、各業務の情報をデジタルで一元的に扱えるようにするだけで、多くの課題はまとめて解消に向かいます。
次の項目では、これらの業務をどの順番で手がけるべきか、優先度を整理しますので、導入の参考にしてください。
工務店でのDXでは、効果が出やすく着手しやすい業務から段階的に進めることでリスクを抑えながら効率化を進めていきます。
優先度順に業務を並び替え、無理のない範囲で進めていきましょう。
具体的に、工務店の業務の優先度と対象の業務をまとめました。
| 優先度 | 対象業務 | 理由 |
|---|---|---|
| 今すぐ | 日報・写真共有、見積作成 | 効果が早く、現場が変化を実感しやすい |
| 中期 | 原価・粗利管理、工程管理 | データ蓄積後に経営判断へ活用できる |
| 後回しでよい | 高度な分析、VR・AI活用 | 基盤が整ってから検討で十分 |
まずは現場の負担が大きい日報や写真共有から着手し、データが貯まってきた段階で原価や工程の管理へ広げると、無理なく定着します。
高度な分析やVRなどは導入コストも高いため、まずは日次の業務から進めていき、余裕が出た段階で導入を検討しましょう。
工務店DXの効果は、KPIを決めて導入前後の数値を比較することで測定します。
測定は、決める・計測する・見直すの順で進めると形骸化しません。
工務店DXの効果測定を始めるためには、自社の課題に直結するKPIを2〜3個リストアップしましょう。
この際に、KPIを多数決めるのはおすすめしません。あれもこれもと追うと、計測そのものが負担になり続きません。
残業が多いなら残業時間、見積が遅いなら見積作成時間というように、解決したい課題と指標を1対1で対応させると、改善の効果が見えやすくなります。
工務店DXのKPIを決めたら、導入前後の数値を実際に計測して比較します。業務ごとに見るべき代表的な指標は次のとおりです。
| 項目 | 見るべき指標 |
|---|---|
| 日報管理 | 報告作成時間、未提出件数 |
| 写真共有 | 写真検索時間、確認依頼の回数 |
| 原価管理 | 案件別粗利率、予算超過件数 |
| 見積作成 | 見積作成時間、修正回数 |
| 顧客管理 | 追客漏れ件数、商談化率 |
| 工程管理 | 工期遅延件数、手戻り件数 |
なお、計測する数値は毎月の推移で見るのがコツです。効果はすぐに表れるとは限らないため、短期で判断せず、一定期間は継続して記録しましょう。
工務店DXでもっとも多い失敗が、ツールを導入したのに使われず、結局もとのやり方に戻ってしまうことです。
なぜそのような事態が起きるのか、その原因を知っておけば、ほとんどは事前に避けられます。
工務店DXに失敗する原因の多くは、ツール選びではなく進め方の部分に原因があります。ここでは、代表的なパターンと回避策を紹介します。
| よくある失敗 | 回避策 |
|---|---|
| 多機能なツールを一度に全部入れる | 優先度の高い1〜2業務から小さく始める |
| 経営者だけが旗を振り、現場が置き去り | 現場の意見を聞き、使う人を巻き込む |
| 効果を測らず、続ける根拠が曖昧 | KPIを決め、数値で成果を確認する |
| 導入後の運用ルールを決めていない | 入力のタイミングと担当を明文化する |
工務店DXに失敗した企業の多くが、最初に多機能ツールを一度に取り入れて現場が混乱、定着に支障をきたしています。
また、経営者だけが工務店DXに意欲的で、現場との温度差があるケースも少なくありません。
このようなケースを避けるには、工務店DXを少しずつ進めて現場の混乱を抑えること、また現場の意見を常に取り入れる姿勢をもつことです。
また、経営者層としてはKPIを決めて数値で成果を確認し、現場が混乱しないようにシステムの運用ルールをしっかり決めておくようにしてください。
工務店DXで取り入れるツールを定着させるには、現場の使いやすさを最優先に考えることです。
たとえば、ツールを取り入れる際にも使い方をマニュアル化し、入力のタイミングや運用までルールで決めておきましょう。
そうすれば、システムやツールに苦手意識がある人でもマニュアルを見れば安心して作業ができる環境が整います。
また、定期的に現場から使い勝手について意見を聞き、常に改善する意識をもつことも必要です。
必要であればツールのアップグレード、機能の追加をおこない、現場スタッフが喜んでツールを使える環境を構築しましょう。
工務店DXを実現するにはデータを一元管理できる環境を整え、連携させることが重要です。そのためにどのようなツールを導入すればいいか迷う場合は、『AnyONE』をおすすめします。
建設業向け業務管理システムのAnyONE(エニワン)は、工務店の主要業務を1つのシステムで扱えます。記事前半で挙げた優先度マップの業務が、そのまま機能として揃っているイメージです。
これらが連動することで、転記や二重入力が減り、案件の状況をリアルタイムで把握できるようになります。
また、DXでつまずきやすいのが、導入したツールが現場に定着しないことです。
AnyONEはエクセルに似た操作性で、職人やベテラン社員でも扱いやすいよう設計されています。専任のシステム担当を置きにくい小規模工務店でも、複数の業務を1つにまとめて運用しやすい点が特長です。
導入後の定着を支えるサポート体制も用意されており、自社にツールを根づかせたい工務店にとっても現実的な選択肢といえるでしょう。
実際にAnyONEで工務店DXを推進した事例をご紹介します。
大阪市で無垢の家づくりを手がける株式会社Homeplus様では、受発注から入金、台帳までをエクセルで個別に管理しており、情報が分散して属人化していました。
AnyONE導入後は情報を一元化し、業者から届いたエクセルの見積をそのまま取り込めるようにしたことで、1棟あたり丸1日かかることもあった見積作成が大幅に短縮されています。
その結果、1週間に3件が限界だった見積提出が、より多くの件数をこなせる体制へと変わったといいます。
見積作成の効率化は、本記事の優先度マップでも今すぐ着手すべき業務に挙げた領域です。効果が出やすい業務から始めることで、現場が変化を実感しやすくなる好例だといえます。
詳細はこちらの事例ページからご覧ください。
詳しくは以下ページをご確認ください。
工務店DXについて工務店の経営者が抱きやすいよくある質問をまとめました。
IT化とDXの違いは、目的の範囲にあります。IT化は紙の日報をアプリにするなど、個別の作業を効率化することを指します。
一方でDXは、そうして集まったデータを活用し、原価管理や工程の改善といった業務全体や経営の変革にまでつなげる取り組みです。
IT化はDXの入り口にあたり、デジタル化で終わらせず経営判断に生かす段階まで進めて、はじめてDXと呼べます。
小規模工務店にもDXは必要です。むしろ人手が限られる小規模工務店ほど、1つの業務改善が会社全体に波及しやすく、効果は大きく表れます。
人手不足や2024年問題による工期・残業の制約は、規模の小さい工務店ほど影響を受けやすいためです。
少ない人数で利益を残す仕組みづくりという観点で、DXは規模を問わず取り組む価値があります。
工務店DXは、現場の負担が大きく効果が出やすい業務から始めるのがおすすめです。
具体的には、日報や写真共有、見積作成といった日々発生する業務が着手しやすい領域にあたります。
これらは成果を実感しやすく、現場の納得感を得ながらDXを進められます。データが貯まってきた段階で原価管理や工程管理へ広げていくと、無理なく定着します。
工務店のDXに活用できる補助金として、中小企業向けのデジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)があります。
業務効率化に向けたITツール導入を支援する制度ですが、補助率や上限額、申請期間は年度ごとに変わります。
対象となるツールは事務局に登録されたものに限られるため、導入を検討する際は公式サイトで最新の対象範囲と要件を必ず確認してください。
工務店DXは、人手不足と2024年問題に直面する中小工務店にとって、利益を守るための現実的な選択肢です。
DXはIT化の先にある業務全体と経営の変革であり、デジタル化で集めたデータを原価や工程の改善にまで生かすことです。
職人の高齢化と労働時間の制約が同時に進むいま、少ない人数で利益を残す仕組みづくりは、規模の小さい工務店ほど避けて通れません。
とはいえ、すべてを一度に変えるのは現実的ではないでしょう。まずは、日報や見積など効果が出やすい業務から段階的に着手し、KPIを決めて効果を数値で確かめながら、運用ルールで現場に定着させていく、この積み重ねが最終的な工務店DXにつながります。
そして、自社が何から始め、どの業務をどうつなげればよいかは、現場の実情によって変わります。
AnyONE(エニワン)は、見積・工程・原価・請求・顧客管理までを1つにまとめられる建設業向けの業務管理システムで、優先度マップで挙げた業務をまとめてデジタル化できます。
実際の画面で操作感を確かめられる無料デモや、機能や料金、導入事例をまとめた資料も無料でご用意していますので、自社のDXの第一歩を具体化したい方は、まずはお気軽にご請求ください。
監修:株式会社ケイ・ブリッジ 代表取締役CEO 金井 弘一朗(エンジニア・ライター)
ITベンチャーにて執行役員として務めながら、関西学院大学の客員研究員として様々なプロジェクトを運営。 メディアDXツールの開発で経済産業省主催のアクセラレーションに選ばれるなど、DXに関わる情報発信をしている。
参考:月間120万人が利用するDX/パソコンメディアである「パソコン博士の知恵袋」
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