工事進捗率の計算方法とは?工務店現場の「見える化」で利益を守るためのポイント
「協力業者への支払いで、立て替え分を相殺したいが、法的に問題ないのか不安」
「毎月の赤伝処理の計算が複雑で、請求業務に時間がかかっている」
建設業の経理担当者や現場監督の方で、このようなお悩みをお持ちではありませんか?
建設業界特有の商慣習である「赤伝処理(あかでんしょり)」は、効率的な資金決済手段である一方、運用を間違えると建設業法違反や下請法違反に問われる大きなリスクをはらんでいます。
口頭などで曖昧なまま処理していると、思わぬトラブルや行政処分を招き、会社の信用を損なうことになりかねません。
本記事では、赤伝処理の基本的な仕組みから、絶対にやってはいけないNG例、適正に処理するための具体的な手順について徹底解説します。
正しい知識を身につけ、リスクを回避しながらスムーズな精算業務を実現するために、ぜひ最後までご覧ください。
INDEX
赤伝処理とは、本来は経理業務において、間違って発行した伝票を取り消すために赤字で記載した修正伝票を発行することを指します。
(参考:よくわかる建設業法|国⼟交通省九州地⽅整備局)
しかし、建設業界ではこの言葉が少し特殊な意味で使われています。ここからは建設業界特有の赤伝処理について解説します。
建設業界における赤伝処理は、実質的に「代金の相殺(そうさい)」を意味しています。
なぜなら、建設現場では多くの協力業者がかかわるため、元請業者が下請業者の費用を一時的に立て替える場面が頻繁に発生するからです。
例えば、現場全体のゴミ処理費や共通の資材費を元請が一括して支払った場合、あとから下請業者へ現金を請求することは事務的な手間がかかります。
そこで、下請業者へ支払う工事代金から、立て替えた分をマイナスすることで精算を済ませます。これが建設業における「赤伝を切る」という作業です。
事務作業を効率化するための合理的な方法ではありますが、勝手に差し引くとトラブルのもととなるため、事前の合意形成が欠かせません。
赤伝処理によって工事代金から差し引かれるものには、主に現場運営にかかわる経費や資材費などが挙げられます。
これらは本来、下請業者が自分で負担すべき費用を、元請業者が代行して支払っているものです。具体的には、以下のような項目が代表的です。
| 項目名 | 内容・詳細 |
|---|---|
| 産業廃棄物処理費 | 現場作業で出たゴミの処分費用 |
| 安全協力会費 | 安全大会の運営費や労働災害保険料など |
| 駐車場代・水道光熱費 | 現場で使用した共通の設備費用 |
| 支給資材費 | 元請が用意して支給した材料の代金 |
なにが差し引かれるかは現場や契約によって異なります。請求時に混乱しないよう、事前に内訳を確認しておくことが大切です。
赤伝処理は事務作業を効率化する便利な方法ですが、やり方を間違えると建設業法違反になるリスクをはらんでいます。
このリスクには、主に以下の3つのパターンがあります。

これらはすべて、元請という強い立場を利用して、下請業者に不利な取引を強いることを防ぐために法律で規制されています。
「昔からの慣習だから」や「口頭で言ったから」という理屈は通用しません。
法的なトラブルを避けるために、それぞれの違反リスクについて見ていきましょう。
最も注意すべきなことは、下請業者の同意を得ずに勝手に代金を差し引くことです。建設業法では、元請と下請は対等な立場で合意することを原則としています。
そのため、いくら元請が費用を立て替えていたとしても、事前の話し合いや合意なしに支払金額を減らす行為は、法律違反となる可能性が高いです。
例えば、現場のゴミ処理費などを「当然払うべきものだから」といって、相談もなく差し引くことはNGです。
あとから「聞いていない」というトラブルになるのを防ぐためにも、必ず事前に、どのような費用を、いくら差し引くのかを説明し、相手の納得を得ておく必要があります。
赤伝処理で差し引く金額が、実際にかかった費用(実費)よりも高い場合も問題となります。これは、元請業者がその地位を利用して、下請業者に不当な金銭負担を強いる行為とみなされるからです。
考えられるケースとしては、立て替えた実費に対して、根拠の不明確な事務手数料や管理費などを過剰に上乗せして差し引く場合などが挙げられます。
もし手数料を請求する場合は、その計算根拠を明確にし、下請業者が納得できる適正な金額でなければなりません。
なお、銀行振込手数料の天引きは「合意の有無にかかわらず差し引いてはならない」との整理があるため、赤伝項目に入れない運用が安全です。
(参考:建設業法令遵守ガイドライン(第12版))
利益を出すために多めに引くといった行為は、公正な取引を害するものとして下請代金支払遅延等防止法(下請法)などで禁止されています。
赤伝処理の内容を口約束だけで済ませ、書面に残さないことも法令違反のリスクがあります。
建設業法では、工事の請負契約を結ぶ際に、具体的な取引条件を書面(契約書)に記載して交付することが義務づけられているからです。
つまり、「赤伝処理でなにを差し引くか」という条件も、本来は見積書や注文書、契約書などに明記しなければなりません。
「現場で決まったことだから」といって書面を交わさずに処理を進めると、トラブルにつながるだけでなく、書面交付義務違反として行政処分の対象になる可能性があります。
「AnyONE(エニワン)」などのシステムを使えば、見積書や発注書、請求書などの帳票作成から管理までを一貫して行えるため、こうした記載漏れや書類の紛失リスクを大幅に減らせます。
必ず形に残る書類で条件を明確にしておきましょう。
理屈ではわかっていても、現場の忙しさや「いつものことだから」という油断から起きてしまうのが赤伝処理のトラブルです。
ここでは、よくある失敗事例をもとに、なにが問題だったのか、どうすれば防げたのかを具体的に見ていきましょう。特に注意が必要なケースは以下の2つです。
どちらも、「うちは大丈夫」と思っている会社ほど陥りやすい落とし穴といえます。他社の失敗を教訓にして、自社の業務フローを見直すきっかけにしてください。
例えば、下請業者が現場の資材を壊してしまった際、元請が「修理費として〇〇万円引いておく」と勝手に決めて、入金時に差し引くことは大変危険です。
なぜなら、過失の割合や損害額の計算方法は、双方の見解が食い違うことが多いからです。
合意がないまま無理やり相殺をおこなうと、下請代金支払遅延等防止法(下請法)や建設業法に触れる恐れがあります。
損害金が発生した場合は、まず話し合いで責任の所在と金額を確定させ、書面で合意してから処理を進めるのが鉄則です。
赤伝処理の内容が悪質だと判断されると、公正取引委員会や監督官庁から行政処分を受ける可能性があります。
特に気をつけたいのが、おこなった赤伝処理が無効だと判断された場合です。この場合、本来払うべき代金を払っていないとみなされ、「下請代金の支払遅延」として処分の対象になりかねません。
また、元請が指定する高額な安全用品を強制的に購入させ、その代金を天引きするような行為も「不当な経済上の利益の提供要請」として厳しく問われます。
行政処分を受けると、社名の公表や公共工事からの締め出しなど、会社の信用に大きな傷がつきます。軽い気持ちでおこなう処理が、経営を揺るがす事態を招くリスクがあることを忘れないでください。
トラブルを避け、法律を守りながら赤伝処理をおこなうには、適正な手順を踏むことが不可欠です。
重要なことは、あと出しにしないことです。最初から条件を明確にし、お互いが納得したうえで進める必要があります。正しい進め方のポイントは以下の3つです。

それぞれ具体的なアクションを見ていきましょう。
赤伝処理をおこなう際は、工事が始まる前の見積りや契約の段階で、どのような計算でその金額になるのかを明確にしましょう。
例えば、安全協力会費を差し引く場合、「一式5万円」とどんぶり勘定で書くことは避けてください。
「請負金額の〇%」や「人工(作業員の人数)×〇〇円」といったように、誰が見ても計算できる具体的な算定根拠を示すことが大切です。
なにに対していくらかかるのかが透明であれば、下請業者も安心して見積り作成でき、また請求時の認識ズレも防げます。
契約書や見積条件書には、必ずこれらの計算式や単価を明記するようにしてください。
契約時だけでなく、実際に現場作業が始まる前にも、改めて担当者同士で話し合う場を設けましょう。
現場の状況によっては、契約時には想定していなかった費用が発生することもあります。例えば、以下のように具体的にルールを確認しておくと良いでしょう。
ルールを確認し、必要に応じて「元請が立て替えて、あとで赤伝処理をおこなう」という合意をしっかり取り付けておくことが重要です。
口頭での確認だけでなく、施工体制台帳の確認や着工前会議などの機会を活用し、議事録などの記録に残しておくと、より確実なトラブル防止に繋がります。
工事が進むにつれて、工期の延長や、処理すべき廃棄物量が増加し、当初の予定より費用が変わることはよくあります。
金額が変わった場合、事前の合意があるからといって、変更分を勝手に差し引いてはいけません。必ず変更しても良いかを確認し、改めて合意を得る必要があります。
合意内容は必ず、以下のような書面で残しておきましょう。
メールやFAXでも構いませんが、日付と内容、双方の了承が確認できる形で保存しておくことで、「言った・言わない」を防げます。
なお、「AnyONE」のようなシステムを活用すれば、こうした合意書類や変更履歴を案件ごとにクラウド上で一元管理でき、紛失リスクを防いでスムーズな精算業務が可能です。
赤伝処理は、ただでさえ計算や確認事項が多く、複雑になりがちな業務です。
これを個人の記憶やバラバラのメモ書きで管理していると、計算ミスや手続きの漏れが起きることは時間の問題です。
そこでミスや漏れを防ぐ業務管理がどれだけ重要かを事例を交えて解説します。
多くの建設会社では、いまだに紙の伝票やエクセルを使って赤伝処理を管理していますが、これがトラブルの温床になりがちです。
エクセルは手軽な反面、誰でも数値を書き換えられるため、「いつの間にか数字が変わっている」「どれが最新のファイルかわからない」といった混乱が頻発します。
また、現場監督が口頭で決めた変更内容が、経理担当に正しく伝わっていないケースも少なくありません。
その結果、請求書と実際の合意内容にズレが生じ、「言った・言わない」という水掛け論に発展してしまいます。
情報が一元管理されていないアナログな手法では、ミスの防止や変更履歴の証明に限界があることを認識する必要があります。
近年の法改正により、赤伝処理に伴う事務作業の負担は以前よりも格段に増しています。
特に影響が大きいのが「インボイス制度」です。赤伝処理をおこなう場合、それは会計上「売り上げの値引き」や「返品」と同様の扱いとなります。
そのため、基本的には消費税額を正確に計算し、「適格返還請求書(返還インボイス)」を発行・保存する義務が生じます。(1万円未満の値引きや返還については交付義務が免除されるため、金額規模で使い分けると良いでしょう)
また、建設業法の改正によりコンプライアンスへの監視も厳しくなっており、正しい手順で書類を作成・保管しなければなりません。
これらすべてを手作業で完璧にこなすには、多大な時間とコストがかかります。
手作業を続けることは、業務効率を落とすだけでなく、法的なリスクを抱え続けることにもなりかねません。
赤伝処理のミスや法的リスクをなくすには、工務店業務に特化した一元管理システム「AnyONE」の導入が効果的です。
一般的な会計ソフトやエクセルでは、工事ごとの細かい相殺処理や、過去の合意内容を紐づけて管理するのが難しく、どうしても抜け漏れが発生しがちなためです。
しかしAnyONEなら、以下の業務をひとつのシステムで一括管理できます。
これにより、「いつ、どんな理由で赤伝処理を合意したか」という履歴がデータとして明確に残り、言った・言わないのトラブルを未然に防げます。
また、複雑なインボイス制度にも対応しており、赤伝処理に必要な適格返還請求書の発行もスムーズです。
書類作成の手間を大幅に減らしながら、建設業法などのルールもしっかり守れるため、現場監督も経理担当者も、安心して本来の業務に集中できます。
赤伝処理とは、元請業者が立て替えた費用を下請業者の工事代金から差し引くことですが、正しい手順を踏まないと建設業法違反になるリスクがあります。
トラブルを避けるためには、一方的に差し引くのではなく、以下の2点を徹底しなければなりません。
また、計算ミスや書類の紛失を防ぎ、煩雑な処理を正確におこなうためには、エクセルなどの手作業から、建設業専用のシステム管理へ移行することも非常に有効な手段です。
適正な赤伝処理をおこなうことは、下請業者との信頼関係を守り、ひいては自社の社会的信用を高めることに繋がります。
ぜひこの機会に、自社の業務フローを見直してみてください。
記事監修:大﨑 志洸
株式会社Limited 取締役
兵庫県出身。施工実績は累計5,000件以上。
新卒で大手ゼネコンに就職し、大型プラント工場の施工管理を担当。
総工費10億円規模のプロジェクトに従事し、施工管理の実務経験を積む。
その後、商社の建設事業部にて総工費3億円規模のビル改修やオフィス・店舗内装を手掛け、同事業部の立ち上げを主導。
その実績が評価され、同社グループの内装会社の代表に就任。
現在は、2024年2月に株式会社Limitedを代表の吉田と共同設立し、内装工事の受注に加え、施工管理の派遣・人材紹介業務に関するコンサルティング事業を展開している。
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