【建設業】法定福利費の算出方法とは?ざっくり費用を割り出す方法や書き方
内装工事をスムーズに進めるには工程表の活用が欠かせません。
配線・軽量鉄骨・クロス・床仕上げなど、複数の作業が複雑に絡み合う内装工事では、工程ごとの段取りや作業順序の明確化がトラブル防止のカギとなります。
この記事では、工程表の基本的な役割から作成のポイント、現場での活用方法やおすすめツールまでわかりやすく解説します。
Link_【テンプレート付き】工程表とは–工程表の種類や工程管理の目的を解説
INDEX
内装工事における工程表の基本的な役割と、工務店にとってのメリットを解説します。
工程表とは、内装工事における各作業の順番・期間・担当者を整理したスケジュール表です。
配線、軽量鉄骨、クロス貼り、床仕上げなど多様な工程を時系列で管理し、作業の重複や手戻りを防ぎます。
たとえば、配線前にボードを貼ってしまうと、壁を壊してやり直さなければなりません。こうしたミスを防ぐには、作業順序の可視化が大切です。
また、工期が短い内装工事では、数日の遅れが全体の納期に影響するため、工程表で日ごとに進捗を把握すれば、突発的な変更にも柔軟に対応できるでしょう。
なお現場では「月間工程表」や「部分工程表」などを使い分け、作業内容に応じて工程を管理すると良いでしょう。
工程表には「段取りの見える化」「手戻り防止」「品質管理」といったメリットがあります。
工程表によって各工種の作業時期が明確になるため、職人の手配や資材の搬入がスムーズにできます。
たとえば、配線が終わった直後にクロス業者を呼ぶといった計画が立てやすくなり、外注業者や職人との連携もスムーズになります。
工程表によって作業の前提条件が守られれば、やり直しのリスクも大幅に減少します。
工期の短縮や無駄なコスト削減にもつながるでしょう。
短期間で確実な仕上がりが求められる内装工事では、工程表が品質管理の要にもなります。
チェックポイントを工程表に組み込めば、品質のばらつきを防げます。
ここでは、一般的な内装工事の工程を時系列に沿って紹介し、作業内容や標準的な所要日数を整理します。
内装工事の工程 | 日数 |
---|---|
墨出し | 半日〜1日 |
配線・配管工事 | 1〜3日 |
軽量鉄骨工事 | 1〜3日 |
ボード貼り | 2〜4日 |
クロス貼り・塗装工事 | 1〜2日 |
床仕上げ工事 | 1〜2日 |
建具・設備の取り付け | 1〜2日 |
工程表作成時の目安として参考にしてください。
内装工事の各工程は、次のとおりです。
墨出しとは、床や壁、天井に寸法の基準線を引く作業です。
工事全体の設計図を現場に落とし込むために重要な作業となります。
ここでのミスが後の工程に大きく影響するため、ミリ単位の精度が重要です。
なお、墨出し作業には一般的には半日から1日程度の作業時間を確保します。
墨出しが完了したら、次に電気・水道・空調などの配線・配管工事に入ります。
建物内の見えない部分に関わるため、この段階での確認不足は致命的なミスにつながりかねません。
日数は1日〜3日が目安で、配線の量や設備の複雑さに応じて変動します。
軽量鉄骨工事の工程では、壁や天井の下地となる軽量鉄骨を組み立てます。
骨組みの精度が仕上がりの質に直結するため、慎重な作業が必要です。
資材や道具が多いため、他業者との作業が重ならないよう注意します。作業期間は1〜3日程度です。
ボード貼りは、LGSの上に石膏ボードなどを固定する作業です。この工程が終わると、ようやく空間の形が見えてきます。
ボードは重量があるため、落下や接触によるケガにも注意が必要です。通常2〜4日ほどを見込むのが一般的です。
壁や天井の表面仕上げを行います。クロス貼りや塗装は、部屋の印象を決める大切な作業なため、埃や汚れが付かないよう丁寧な施工が必要です。
作業はおおよそ1〜2日で完了しますが、現場の規模や乾燥時間によってはさらに日数がかかる場合もあります。
床仕上げでは、フローリングやタイルなどの仕上げ材を貼ります。クロスや塗装のように見た目に関わる部分でもあるため、下地処理を丁寧に行ったうえで施工を進めます。
工事中のゴミや埃の影響を受けやすいため、最後に回すのが基本です。1〜2日で完了するケースが多いです。
最後に、ドアや棚、照明器具、エアコンなどの建具や設備を設置します。内装の仕上がりを左右する作業なため、位置のズレやキズには細心の注意が必要です。
搬入時の養生や作業スペースの確保も含めて、1〜2日程度を確保すると安心です。
内装工事は、それぞれの作業が滞りなく進むよう、順序や作業期間を適切に調整する必要があります。
ここでは、工程表を作成する際に押さえておきたい重要なポイントをご紹介します。
内装工事の工程表には、誰が・どこで・いつ・何をおこなうのかが一目でわかる情報が必要です。最低限、以下の項目は入れておきましょう。
内装工事では、業者同士のスムーズな引き継ぎが工期短縮と品質維持のカギを握ります。
特に以下の3点は、工程表を作成する際に意識しておきましょう。
内装工事の工程表作成時には、バッファ期間を設けることを意識しましょう。
たとえば配管・配線が完了してから軽量鉄骨工事に移る際、1日程度の予備日を入れれば、遅延が生じた場合にも次工程へ影響を与えにくくなります。
同じ空間に複数業者が同時に入ると作業効率が落ちたり、事故のリスクも高まります。
そのため、「月〜火は電気工事、水〜木はボード貼り」といった形で調整すると、安全かつ効率的に作業を進められます。
クロス貼りや塗装工事などで高所作業が必要な場合、仮設設備の撤去時期を誤ると工事が進められなくなります。
全作業の完了後ではなく「最後に必要な作業が終わったタイミング」での撤去を設定しましょう。
新築と比べて、改修・リフォーム工事には特有の注意点があります。工程表の作成にあたって、以下の点に気をつけなければなりません。
マンションや住宅での改修工事では、住民の生活時間に配慮する必要があります。
事前に居住者と打ち合わせをし、作業をしてはいけない時間帯や曜日を確認し、それを反映させた工程表を作成しましょう。
解体や既存設備調査は慎重に実施しましょう。
実際に壊してみるまでは、壁の中がわからない場合があるためです。
たとえば、予想以上に古い配管が見つかるケースも多いです。
こうした現場での発見に対応できるよう、最初にしっかり調査日を設けましょう。
想定外のトラブルが起きたときに備え、全体の1〜2割程度の予備日を工程表に組み込むと安心です。
特に、施主検査前に「是正対応」が必要になる場合もあるため、最後に数日空けておくと柔軟に動けます。
工程表を一から作るには手間がかかりますが、近年は便利なテンプレートやツールが豊富です。
ここでは、すぐに使える素材や管理システムをご紹介します。
エクセルを使った工程表作成は、もっとも手軽でコストもかかりません。
インターネット上には無料でダウンロードできるテンプレートが数多く存在します。
ただし、エクセル工程表はオンライン共有が難しく、複数人で同時に編集する場合には不向きです。
現場に常駐していない担当者とリアルタイムでやり取りしたい場合は、次に紹介するツールの導入がおすすめです。
内装工事の工程表を効率的に管理したい方には、クラウド型施工管理ツール「AnyONE」がおすすめです。
ガントチャート形式で各工種の予定と実績を一元管理でき、進捗の見える化とリアルタイム共有が可能です。
AnyONEは現場ではスマホやタブレットから操作でき、写真付きの報告や業者間の連携もスムーズに行えます。
さらに、工程表だけでなく、工事写真・日報・図面などもまとめて管理できるため、現場全体の情報を一括で把握できます。
工程表を有効活用するためには、現場全体での「見える化」が重要です。
もっとも基本的な活用は、朝礼での掲示です。
A3やA4サイズに印刷して毎朝のミーティングで確認すれば、認識のズレを防げます。
また、LINEなどのチャットアプリでの共有も実用的です。
PDF化した工程表をグループに送れば、変更時もスムーズに情報が伝わります。
さらにデジタル化するならクラウドストレージへの保存とURL共有も検討しましょう。
更新した工程表をクラウドストレージやWeb上に保管しておけば、誰でも最新版を確認しやすくなります。
実際にどのように工程表を使って内装工事の現場を円滑に進めているのか、具体的な活用例をご紹介します。
多くの現場では、掲示した工程表をもとに朝礼で当日の作業内容と翌日の予定について確認します。
「今日は軽量鉄骨、明日はボード貼り」といった流れを明確に伝えられれば、職人の準備もスムーズです。
なお、作業員が多い現場では、フロア別や部分工程表も併用すると、より的確な情報共有が可能です。
現場監督が予定と実績のズレを確認するためにも、工程表は不可欠です。
たとえば配線が遅れた場合には後続工程への影響を避けるため、早めのスケジュール調整が必要です。
天候や資材遅延など予期せぬ事態や無理な詰め込みを避けるためにも、あらかじめ「予備日」を設けておきましょう。
現場用の工程表と、施主に提出するスケジュール表は目的が異なります。
現場用は作業ごとの詳細な日程や担当名を記載しますが、施主向けは「解体」「内装」「仕上げ」など工程の概要を簡潔に示すのが一般的です。
複雑な内容をそのまま伝えると誤解を招く可能性があるため、施主には見やすく整理した資料での説明を心がけましょう。
ここでは、内装工事の工程表に関連してよくある質問を取り上げます。
内装工事には、建物の内部空間を整えるためのさまざまな作業が含まれます。
代表的なものとしては、壁・天井の下地作り(軽量鉄骨工事)、ボード貼り、クロスや塗装による仕上げ、床材の敷設、照明やコンセントといった設備の取り付けなどです。
住宅やオフィス、店舗といった建物の種類によって多少異なりますが、基本的には「住める・使える状態に仕上げる」までの工程をすべて内装工事と呼んでいます。
工程表とガントチャートは、どちらもスケジュール管理のためのツールですが、見た目や使い方に違いがあります。
一般的に「工程表」というと、作業項目が縦軸、日付が横軸に並んだバーチャート形式を指します。
一方、ガントチャートは工事の進捗を管理するために使われる表で、作業項目が縦軸、横軸に進捗率を表した形式です。
工程を確認する際にはバーチャート形式の工程表を、進捗を確認する場合にはガントチャートを使うなど、それぞれの特徴に応じて工程表を確認しましょう。
内装工は、建物の内部空間を仕上げる職人を指します。
軽量鉄骨の組み立て、石膏ボードの貼り付け、クロスや塗装での仕上げ作業、床材の施工などが主な仕事です。
内装工の作業は、建物の完成後に人の目に最も触れる部分を仕上げる重要な工程であるため、丁寧さと正確さが求められます。
内装工事における工程表は、現場の円滑な進行と高品質な仕上がりを支える重要な管理ツールです。
工程表を作成する際には項目の整理や工種ごとの調整が必要で、エクセルテンプレートやクラウドツールを活用すれば、より効率的な管理が実現できます。
日々の現場運営では、ミーティングや進捗管理において工程表を活用し、現場全体で工程と進捗を共有することが重要です。
工程表の活用で品質管理や工程管理を徹底できれば、施主との信頼構築にもつながります。
記事で紹介した内装工事の工程表作成のコツをぜひ実践してみてください。
記事監修:佐藤主計
保有資格:1級造園施工管理技士、2級土木施工管理技士
建設業界に携わり30年。公共工事の主任技術者や現場代理人をはじめ、造園土木会社の営業マン・工事担当者として、数万円から数千万円の工事まで幅広く担当。施工実績は累計約350件にものぼる。
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