外構工事見積書の書き方は?記入例と作成時の注意点を解説

外構工事見積書の書き方は?記入例と作成時の注意点を解説

外構工事の見積書は、顧客の信頼を得るためにわかりやすい書き方をしなければなりません。

正確かつ分かりやすい見積書の作成は、工事内容や費用を明確に説明でき、トラブル防止にもつながります。

本記事では、外構工事見積書の基本構成や書き方、記載のポイントをわかりやすく解説します。

外構工事見積書とは?役割と必要性

外構工事には、門扉やフェンス、カーポート、玄関アプローチ、庭の整備など、住まいの外側に関わるさまざまな施工が含まれます。

外構工事の見積書は、施主と施工業者が工事の内容や費用について共通認識を持つための重要な資料です。

見積書が必要な理由は、次の通りです。

●トラブルの防止
見積書には、工事内容や工事範囲、費用などが明記されるため「言った・言わない」のトラブルを防げます。
●金額の事前確認
外構工事はオーダーメイドが多く、費用もケースバイケースで変わるため、事前に金額の確認が必要です。
●信頼関係の構築
詳細で丁寧な見積書を作成する業者は、顧客に対して誠実な姿勢を示している証拠となります。

外構工事見積書の基本構成と記載項目

外構工事見積書は、主に以下の5つの要素で構成されます。各項目には重要な役割があり、必要な情報を正確に記載する必要があります。

 表紙・タイトル(工事名・見積作成日・会社情報)

見積書の表紙には、工事名、見積書作成日、会社の情報などを記載し、書類としての信頼性を確保します。

また、見積書に記載義務はありませんが、インボイス対応事業者かどうかを示すための登録番号を記入すると、取引がスムーズです。

【記入例】

●工事名:山田邸外構工事
●見積作成日:2025年4月1日
●会社名:XYZ外構工事株式会社
●所在地:東京都渋谷区1-2-3
●電話番号:03-1234-5678
●担当者名:鈴木一郎
●登録番号:T1234567890123(適格請求書発行事業者)

 工事概要(工事内容・工期・施工場所)

工事概要には、どのような工事を行うのか、工期や施工場所などを具体的に記載します。

【記入例】

●工事内容:
駐車場の土間コンクリート施工
フェンス設置(YKKAP製ルシアスF04型高さ80cm)
門扉設置(LIXIL製アクシィ2型高さ120cm)●工期:2025年5月1日~2025年6月15日
施工場所:東京都品川区1-2-3

 内訳明細(材料費・人件費・諸経費の詳細)

内訳明細は、工事にかかる費用の詳細を記載します。

【記入例】

●材料費
コンクリート(厚さ100mm):31㎡×4,900円=151,900円
YKKAP製フェンス(ルシアスF04型):10m×5,500円=55,000円
●人件費
作業員:2名×5日×25,000円=250,000円
●諸経費
現場管理費(工事費の5%):23,190円
重機運搬費:35,000円

 合計金額(消費税・支払条件を明記)

合計金額には、税抜金額、消費税額、税込金額を記載しましょう。

また、支払方法や支払期日、分割払いの場合は、回数や金額を詳細に明記します。

見積書への消費税額の記載は2025年2月時点では義務ではありませんが、インボイス制度の導入により事前金額の時点で消費税額の確認のために税額を記載する方法が一般的です。

【記入例】

●工事費用小計(税抜):500,000円
●消費税(10%):50,000円
●合計金額(税込):550,000円
●支払条件
着工時:50%(275,000円)
完成時:50%(275,000円)
支払方法:銀行振込(手数料は施主負担)

 特記事項(注意事項・保証内容・補足説明)

特記事項には、見積内容に関する補足説明や注意事項を記載します。

【記入例】

●工事期間中、悪天候の場合は工期が延長される場合があります。
●追加工事が発生する場合は、事前に施主様の了承を得た上で対応いたします。
●施工後1年間の品質保証をいたします。
●見積金額に含まれていない工事内容については、別途お見積りを提示いたします。

記入のルールやフォーマットに決まった形式はありませんが、どの担当者でも同じクオリティの見積書を発行するために、雛形を作っておく方法がおすすめです。

特に雛形がない場合は、便利な見積書テンプレートを利用しましょう。工務店向けのエクセルテンプレートであれば、DLしてすぐにカスタマイズして見積書発行が可能です。

エクセルダウンロード(工程表)

外構工事の主な費用項目

外構工事の項目を理解すれば、見積書の内容を正しく把握でき、不要なトラブルを防げます。

以下に、外構工事でよく見られる主な費用項目を説明します。

 現場測量費

現場測量費とは、工事を始める前に敷地の形状や高低差を正確に把握するための費用です。

測量を怠ると、工事計画に誤差が生じ、後々のトラブルの原因になります。

測量費は現場の条件や敷地面積により異なりますが、一般的に数万円程度が相場です。

 仮設工事

仮設工事は、工事現場の作業を安全かつ効率的に進めるために必要な準備作業です。

作業員のための仮設トイレの設置や、建物を保護するための養生、足場の設置などが含まれます。

費用は工事内容や敷地条件によって異なりますが、通常は工事費全体の3〜5%程度を見積ります。

 土工事

土工事は、地面を掘削したり、不要な土を搬出したりする作業です。

例えば、駐車場を設置するために土を掘削し、平らに整地する作業が該当します。

土工事の費用は、土の状態や残土処分費などによって大きく変動します。

 下地工事

下地工事は、タイルやコンクリートなどの仕上げ材を敷設する前に行う作業です。

外構工事の品質や耐久性を決定する重要な工程で、鉄筋やコンクリートを使って地盤を強化します。

下地工事は、施工面積や資材の種類により費用は変動します。

 重機運搬工事

重機運搬工事では、掘削や整地などに使用する重機を現場に運搬します。

特に狭い道路や山間部では、搬入が困難なため追加料金が発生する場合があります。

費用は重機の種類や運搬距離によって異なりますが、通常は数万円程度です。

 現場管理費

現場管理費とは、工事現場の進行状況を監督し、品質や安全を管理するための費用です。

現場監督者の人件費や必要な書類の作成費などが含まれます。

一般的には工事費全体の5〜10%が目安となります。

 金物工事

金物工事は、門扉やフェンス、手すりなど金属製の部材を設置する作業です。

設置する部材の種類や加工の有無により、費用が変わります。

アルミフェンスの場合、1メートルあたり5,000円から1万円程度が相場ですが、塗装や特殊なデザインが必要な場合は、追加費用がかかるケースもあります。

 仕上工事

仕上工事は、工事の最終段階で行う仕上げ作業です。

塗装、タイル貼り、植栽など、外構の見た目や機能性を整えます。

玄関アプローチに天然石を貼る場合、1平方メートルあたり1〜3万円前後の費用がかかります。

正確でわかりやすい外構工事見積書を作成するポイント

見積書が不明瞭だと、施主とのトラブルや追加費用の発生につながる可能性があります。

ここでは、正確でわかりやすい見積書を作成するためのポイントを説明します。

 数字は明確に記載

見積書に記載する数字は「おおよそ」や「約」といったあいまいな表現は避け、具体的な数値を記載します。

【記入例】

●コンクリート打設:31㎡×4,900円=151,900円
●重機運搬費(バックホー):1往復×35,000円=35,000円

 専門用語には簡単な説明を追加

外構工事には、業界特有の専門用語が数多く使われるため、施主が理解しやすいように、必要に応じて簡単な説明を加えます。

【記入例】

●遣り方(やりかた):建物の位置や高さを正確に決定するために設置する仮設の基準
●土間コンクリート:駐車場やアプローチに施工される、平坦で滑らかなコンクリート仕上げ
●メッシュ筋:コンクリート内部に配置される鉄筋で、強度を高める役割を持つ

 工事範囲を具体的に記載

工事範囲は「門扉設置工事」などと一言で済ませずに、設置場所や使用する材料、数量まで詳細に記載します。

【記入例】

●門扉設置工事:LIXIL製アクシィ2型(高さ120cm、幅100cm)
●施工範囲:玄関前(東京都品川区1-1-1)
●工事内容:基礎コンクリート施工、門扉取り付け、インターホン配線工事

外構工事見積書作成時の注意点とよくあるミス

見積書に誤りがあると、施主との信頼関係が崩れたり、追加費用を請求する事態になったりする可能性があります。

ここでは、見積書作成時に気を付けたい代表的なミスについて解説します。

 単価や数量の記載漏れ・計算ミス

「土間コンクリート工事」の数量が30㎡であるべきところを誤って20㎡と記載した場合、工事費用に大きな差が生じます。

さらに、計算ミスが発生すると、見積額が実際の工事費用と異なり、契約後に追加料金が発生する原因になります。

見積書を作成した後は、必ず複数回の見直しと確認が大切です。

 工事内容の記載不足による誤解・トラブル

「フェンス設置工事」とだけ書かれている場合、施主がアルミ製フェンスを想定していたのに対し、業者がスチール製フェンスを設置するという誤解が生じるかもしれません。

このようなトラブルを防ぐためには「YKKAP製ルシアスF04型アルミ製フェンス(高さ80cm)」のように、材質や仕様を具体的に記載する必要があります。

 見積書提出時の説明不足

外構工事が初めての施主にとっては、見積書の専門用語や項目を理解するのが難しい場合があります。

「土工事」や「金物工事」などの項目については、簡単な言葉で説明し、どのような作業が含まれるのかを具体的に伝えます。

外構工事の見積書に関するよくある質問(FAQ)

外構工事の見積書について、初めて作成する方や依頼する方からよく寄せられる質問をまとめました。理解を深めるための参考にしてください。

 外構工事見積書に必ず記載する項目は?

外構工事の見積書には、以下の項目を必ず記載します。

●工事名:どのような工事を行うのかを明記
●見積書作成日:作成日を記載し、見積りの有効期限を設定
●会社情報:施工業者の会社名、所在地、連絡先、担当者名を記載
●工事内容の概要:工事の目的や内容を簡潔に説明
●工事費用の明細:材料費、労務費、諸経費を項目ごとに詳細に記載
●合計金額:税抜金額、消費税、税込金額をそれぞれ明記
●支払条件:支払い方法や支払期日などの条件を記載

見積書の内訳はどこまで詳細に書くべき?

見積書の内訳は「〇〇工事一式」とまとめるのではなく、次のように具体的な作業内容や使用する資材の種類、数量、単価の記載が望ましいです。

●門扉設置工事:LIXIL製アクシィ2型、高さ120cm、幅100cm、1台
●土間コンクリート工事:面積31㎡、厚さ100mm、メッシュ筋D10使用、単価4,900円/㎡
●フェンス設置工事:YKKAP製ルシアスF04型、高さ80cm、延長10m、単価5,500円/m

外構工事でかかる諸経費とは?

諸経費とは、工事に直接関わる費用以外の、工事を進めるために必要な間接的な経費を指します。主な内容としては次のような項目があります。

●現場管理費:現場監督の人件費や管理業務に必要な費用
●通信費:工事に関連する連絡や書類作成に伴う費用
●保険料:工事中の事故やトラブルに備えた保険費用
●機材の減価償却費:使用する機械や工具の減価償却に関わる費用
●書類作成費:申請書や報告書などの作成にかかる費用

 インボイス制度の導入により外構工事の見積作成で注意すべきポイントは?

見積書の時点ではインボイス制度に対応した書き方、書式を用意する必要はないとされています。

しかし、取引先としても事前にインボイス情報を確認したいと思う可能性があるため、適格請求書発行事業者番号や消費税額の明記などをしておくと、その後の契約や請求書においてお互いに管理しやすくなります。

まとめ

外溝工事の見積書には、施工内容や費用内訳、支払い条件などを正確に記載する必要があります。

また、専門用語を分かりやすく説明し、追加料金の発生条件を明記すれば、後々のトラブルを防げます。

しかし、これらを手作業で作成するには時間がかかり、見落としや計算ミスのリスクも伴うでしょう。

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記事監修:佐藤主計
保有資格:1級造園施工管理技士、2級土木施工管理技士
建設業界に携わり30年。公共工事の主任技術者や現場代理人をはじめ、造園土木会社の営業マン・工事担当者として、数万円から数千万円の工事まで幅広く担当。施工実績は累計約350件にものぼる。


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