内装工事見積書の書き方と記入例!信頼を得る見積書の作成ポイント

内装工事見積書の書き方と記入例!信頼を得る見積書の作成ポイント

内装工事の見積書は、正確な内容とわかりやすい記載が信頼につながるため、施主から見てわかりやすい書き方を心がけることが重要です。

必要な項目を整理して費用内訳を明確に記載すれば、顧客からの信頼を得ると同時にトラブルを防げます。

本記事では、見積書の基本構成や作成手順、記入例をわかりやすく解説します。

INDEX

内装工事の見積書とは?基本の役割と重要性

内装工事の見積書は、発注者と施工業者が工事内容や費用について共通の理解を持つために作成される書類です。

見積書には、施工内容の具体的な項目や必要な材料、人件費、諸経費などが記載されており、これをもとに工事の進行が決定されます。

また、見積書は単に金額を提示するだけではなく、契約の条件や支払い方法、工期などの詳細も記載するため、後々のトラブルを防ぐ役割も担います。

正確でわかりやすい見積書の作成は、顧客からの信頼を獲得し、工事を円滑に進めるための第一歩となるでしょう。

内装工事の見積書の基本構成・記入例

ここでは、見積書の基本的な構成を一つずつ解説し、具体的な記入例もご紹介します。

 見積書タイトル・作成日・見積り有効期限

見積書の冒頭には、書類の種類を示すタイトルや作成日、見積りの有効期限を記載します。

有効期限は通常、発行日から1か月程度に設定されるケースが多いですが、工事の性質や取引先との調整に応じて変更する必要があります。

【記入例】

● タイトル:御見積書
● 作成日:2025年6月1日
● 有効期限:2025年7月1日
● 見積書番号:20250601-001

 依頼主情報(氏名・住所・連絡先)

工事を依頼する発注者の情報を記載します。

契約先を明確にすれば、見積書の誤送付や認識違いを防げます。

また、インボイス登録を済ませている場合は、見積書の段階で登録番号を記載しておくとその後の契約がスムーズになるでしょう。

【記入例】

● 依頼主:株式会社ABCインテリア
● 担当者名:山田太郎
● 住所:〒123-4567東京都新宿区1-2-3
● 電話番号:03-1234-5678
● メールアドレス:yamada@abc-interior.co.jp
● 登録番号:T1234567890123(適格請求書発行事業者)

 施工内容の詳細(項目ごとに明確に記載)

施工内容の詳細は、内装工事における作業内容や必要な工程を明確に示します。

各施工内容で紹介している書き方の例のように、施工面積や単価を明記して金額をわかりやすく記載しましょう。

  LGS(軽量鉄骨)・ボード工事費

LGS(軽量鉄骨)・ボード工事費とは、天井や壁の下地をつくる工事です。

【記入例】

● LGS工事費:壁下地施工100㎡×2,000円/㎡=200,000円
● ボード張り工事費:天井ボード施工80㎡×1,800円/㎡=144,000円

  下地補強工事費

壁面や天井に重量物を設置する際に必要となる工事です。

【記入例】

● 下地補強工事費:壁面補強50㎡×3,000円/㎡=150,000円

  塗装工事費

天井や壁、木部などの表面に塗料を塗布し、美観や耐久性を高める工事です。

【記入例】

● 塗装工事費:壁面塗装(水性塗料)120㎡×1,500円/㎡=180,000円

  左官工事費

モルタルや漆喰などを用いて壁や床を仕上げる工事です。

【記入例】

● 左官工事費:厨房床モルタル仕上げ30㎡×5,000円/㎡=150,000円

  クロス貼り工事費/クロス張り替え工事費

壁や天井にビニールクロスや布クロスを貼る工事です。

【記入例】

● クロス貼り工事費:壁面クロス張り(ビニールクロス)150㎡×1,200円/㎡=180,000円
● クロス張り替え工事費:既存クロス撤去150㎡×500円/㎡=75,000円

  タイル貼り工事費

耐水性や耐久性を必要とする壁や床にタイルを貼る工事です。

【記入例】

● タイル貼り工事費:トイレ床タイル貼り20㎡×7,000円/㎡=140,000円

  雑補修費用

施工中に発生する小規模な補修や調整作業のために計上される費用です。

【記入例】

● 雑補修費用:内壁小修繕一式50,000円

  空調工事費/ダクト工事費

空調設備や換気用ダクトを設置する工事です。

【記入例】

● 空調工事費:天井埋込型エアコン設置2台×200,000円/台=400,000円
● ダクト工事費:換気ダクト設置15m×5,000円/m=75,000円

  電気工事費用(電工費)/電設工事/電気配線工事費

電気配線や照明器具の取り付けなどを行う工事です。

【記入例】

● 電気工事費:コンセント・照明器具設置一式350,000円

  ガス工事費/ガス配管工事

厨房や給湯設備へのガス配管工事です。

【記入例】

● ガス工事費:厨房設備用ガス配管工事一式200,000円

  水道工事費/給排水工事費

シンクやトイレなどの水道設備、給排水管を設置する工事です。

【記入例】

● 水道工事費:トイレ・シンク給排水工事一式300,000円

  給排水衛生設備費

給排水の設備を整え、衛生環境を確保するための工事です。

【記入例】

● 給排水衛生設備費:給水・排水設備設置一式250,000円

  設備工事費(電気設備工事/空調設備工事/給排水設備工事)

建物の機能を支える各種設備を設置する工事です。

【記入例】

● 設備工事費:エアコン・電気・給排水設備一式500,000円

  大工工事費/木工造作工事費/組立設置費

木材を使ったカウンターや棚などを造作する工事です。

【記入例】

● 大工工事費:カウンター造作一式350,000円

  家具工事費

オリジナルの造作家具を製作・設置するための費用です。

【記入例】

● 家具工事費:テーブル・棚の造作設置一式400,000円

  建具工事費(木製建具工事費/金属製建具工事費)

ドアや窓枠などの取り付け工事です。

【記入例】

● 建具工事費:木製ドア・金属製サッシ取り付け一式250,000円

  サイン工事費

店舗やオフィスの看板や案内板を設置する工事です。

【記入例】

● サイン工事費:店舗ロゴ看板設置一式150,000円

  金物工事費/金属工事費

棚受けや手すりなど、金属製の部品を設置する工事です。

【記入例】

● 金物工事費:手すり・棚受け設置一式120,000円

  ガラス工事費/ガラス加工取り付け工事費

窓や間仕切りにガラスを設置する工事です。

【記入例】

● ガラス工事費:間仕切りガラス設置一式300,000円

 費用内訳:材料費・人件費・諸経費・消費税の記載ルール

費用の内訳は、項目ごとに詳細内容を正確に示します。

内容や数量、単価、金額を項目に分けて記載すると、施主にわかりやすく、安心感のある見積書を作成できます。

なお、消費税額については法的義務はありませんが、発注側が消費税額を正しく認識できるように、税率ごとに分けて記載するのが一般的です。

  内装工事費用

内装工事全体にかかる費用です。

【記入例】

● 項目名:内装工事費用
● 内容:内装全般の施工費(天井・壁・床の仕上げ、造作工事含む)
● 数量:100㎡
● 単価:15,000円/㎡
● 金額:1,500,000円

  店舗設計費用/図面設計費用/デザイン費用

店舗のデザインやレイアウト設計、必要な図面作成にかかる費用です。

【記入例】

● 項目名:店舗設計費用
● 内容:平面図・立面図・展開図・設備図の作成
● 数量:一式
● 金額:300,000円

  仮設費:仮設工事費・共通仮設費・直接仮設費

工事中に必要な仮設物や設備にかかる費用です。

足場や仮囲いなどが該当します。

【記入例】

● 項目名:仮設工事費
● 内容:資材搬入用仮設足場、養生、仮設電源設置
● 数量:一式
● 金額:250,000円

  運搬費/運搬交通費

材料や機材の運搬にかかる費用です。

【記入例】

● 項目名:運搬交通費
● 内容:資材搬入および搬出に伴うトラック輸送費
● 数量:5回
● 単価:10,000円/回
● 金額:50,000円

  運搬搬入費/移動作業費

資材や設備を現場まで搬入する作業に伴う費用です。

【記入例】

● 項目名:運搬搬入費
● 内容:資材・機材の現場搬入・設置作業
● 数量:一式
● 金額:80,000円

  解体撤去工事費/剥がし費用/処分費/残置物撤去費

既存の内装を撤去・処分するために必要な費用です。

【記入例】

● 項目名:解体撤去工事費
● 内容:既存内装の撤去、産業廃棄物の搬出・処分
● 数量:80㎡
● 単価:5,000円/㎡
● 金額:400,000円

  復旧・補修工事費

内装解体後に残った部分を補修・復旧するための費用です。

【記入例】

● 項目名:復旧・補修工事費
● 内容:壁面クロス剥離後の下地補修
● 数量:50㎡
● 単価:3,000円/㎡
● 金額:150,000円

  引き渡しクリーニング費用

工事完了後に現場を清掃するための費用です。

【記入例】

● 項目名:引き渡しクリーニング費用
● 内容:床・壁・天井・設備機器の清掃
● 数量:100㎡
● 単価:1,500円/㎡
● 金額:150,000円

  副資材

メイン資材以外に必要な金具、接着剤、養生シートなどの費用です。

【記入例】

● 項目名:副資材費
● 内容:ビス・ボンド・養生材など
● 数量:一式
● 金額:80,000円

  一般管理費

会社全体の管理に必要な費用です。

会社の役員や社員の給与や会社で管理する機械の維持管理費、水道光熱費等が該当します。

【記入例】

● 項目名:一般管理費
● 内容:本社管理部門の運営費
● 計算基準:工事費の5%
● 金額:100,000円

  現場管理費/現場諸経費/現場施工費

工事現場の運営に必要な人件費や資材管理費などの費用です。

【記入例】

● 項目名:現場管理費
● 内容:現場監督・作業員の管理費用、仮設トイレなどの維持費
● 計算基準:工事費の7%
● 金額:140,000円

  諸経費

上記に含まれない雑費などを計上する項目です。

【記入例】

● 項目名:諸経費
● 内容:現場にかかる雑費(消耗品、駐車場代等)
● 数量:一式
● 金額:50,000円

  出精値引き

顧客への割引や値引き額を示す項目です。

【記入例】

● 項目名:出精値引き
● 内容:顧客ご紹介特典
● 数量:一式
● 金額:-100,000円

  注意事項・特記事項・支払い条件・保証内容

見積書の最後には、特記事項や支払い条件、保証内容を記載します。

【記入例】

● 注意事項・特記事項・支払い条件・保証内容
○ 本見積書の有効期限は2025年7月1日まで。
○ 工事期間中の現場への立ち入りは事前連絡が必要です。
○ 支払い条件:契約時に30%、中間時に30%、工事完了後に40%をお支払い。
○ 工事の保証期間:引き渡し後1年間。
○ 追加工事が必要な場合は、別途見積りを提出し、お客様の同意を得たうえで実施します。

正しい書き方ができるか不安な場合は、見積書のテンプレートを使用すると良いでしょう。

テンプレートをダウンロードし、自社用に内容を変更するだけで体裁の整った内装工事見積書を発行できます。

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見積書作成の流れ|作業手順をステップごとに解説

内装工事の見積書作成には、明確な手順を理解し漏れなく進める必要があります。

ここでは、初めて作成する方でも迷わないようにステップごとにわかりやすく解説します。

 ステップ1:工事内容の確認・ヒアリング

見積書作成の第一歩は、工事内容の正確な把握です。

施主からの要望を詳しく聞き取り、工事の範囲、仕上げのイメージ、使用する材料などを確認します。

例えば、店舗の内装リニューアルであれば「壁のクロス張り替え」や「厨房設備の設置」など、具体的な工事項目を明確に記載します。

 ステップ2:現地調査・寸法測定

実際の現場を訪れ、寸法測定や現場の状況を確認します。

古い配管や電気設備の劣化状況を調査できれば、後から発生する追加工事を事前に見積もれます。

特に、築年数が経過した物件では古い配管や電気設備の劣化状況を見落としがちなため注意が必要です。

 ステップ3:見積書の構成を決定する

必要な項目をリストアップし、見積書の構成を決定します。

「LGS・ボード工事費」「塗装工事費」「電気設備工事費」など、工種ごとに分けて記載すれば、施主が内容を理解しやすくなります。

 ステップ4:工事費用の算出

材料費や人件費などのコストを計算します。

例えば「クロス張り替え工事:1,500円/㎡×50㎡=75,000円」など、単価と数量を明示すると見積書の透明性が高まります。

 ステップ5:見積書の作成・確認

算出した費用をもとに見積書を作成します。

税額や割引なども記載します。さらに、施主が不明点を持たないよう、専門用語の注釈を入れると親切です。

 ステップ6:見積書の提出・説明

完成した見積書を施主に提出し、内容について説明します。

費用項目や工事内容について、図面や写真を使って視覚的に解説すると理解が深まります。

信頼を得るための見積書作成のポイント

見積書はただの数字の羅列ではなく、信頼を築くための大切なコミュニケーションツールです。

ここでは、施主からの信頼を得るために重要な3つのポイントを解説します。

 費用の内訳を明確にする

内装工事の見積書において、よく見かける「一式表示」は施主に不信感を与える原因となります。

「一式:50万円」とだけ記載されていると「何にいくらかかるのか」がわかりません。

そのため、費用内訳は以下の記入例のように詳細に示す必要があります。

【記入例】

● クロス貼り工事費
○ クロス材料費:1,800円/㎡×30㎡=54,000円
○ クロス貼り工事手間賃:1,200円/㎡×30㎡=36,000円
○ 雑費(養生材・接着剤):5,000円
○ 合計:95,000円

 専門用語はわかりやすく説明する

内装工事には専門用語が多いため、業界用語を多用すると施主が混乱する可能性があります。

例えば「LGS」は「軽量鉄骨下地」の略称ですが、初めて内装工事を依頼する人には理解が難しい言葉でしょう。

そのため、見積書には専門用語の注釈や、説明の際の図面や写真の活用も効果的です。

【記入例】

● LGS・ボード工事費
○ LGS(軽量鉄骨下地):1,800円/㎡×40㎡=72,000円 ※
○ ボード(石膏ボード)張り:1,500円/㎡×40㎡=60,000円
○ 合計:132,000円※壁の骨組みを軽量な金属で作り、石膏ボードを取り付ける工程です(図面1)

 追加料金の発生条件を明記する

内装工事では、工事途中に予期しない事態が発生し、追加費用が必要になる場合があります。

例えば「壁の解体を進めたところ、内部の配管が腐食していて交換が必要になった」といったケースです。

このような場合、見積書に「追加料金の発生条件」を明記しておけば、トラブルを未然に防げます。

【記入例】

● 工事開始後に追加の配管工事が必要になった場合:実費にて対応(配管交換費用5,000円/m)
● 既存設備の撤去後、予想外の修繕作業が発生した場合:別途お見積りの上、ご承諾をいただいてから作業開始

まとめ

内装工事の見積書作成では「工事内容の詳細な記載」「専門用語のわかりやすい説明」「追加料金発生条件の明確化」が非常に重要です。

その結果、施主との信頼関係を築き、スムーズな工事進行につながります。

見積書作成を効率化し、ミスを防ぐためには、専用のソフトウェアを活用するのがおすすめです。

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記事監修:佐藤主計
保有資格:1級造園施工管理技士、2級土木施工管理技士
建設業界に携わり30年。公共工事の主任技術者や現場代理人をはじめ、造園土木会社の営業マン・工事担当者として、数万円から数千万円の工事まで幅広く担当。施工実績は累計約350件にものぼる。


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