工務店向けの節税対策完全ガイド|効果的な方法と具体例を徹底解説

工務店向けの節税対策完全ガイド|効果的な方法と具体例を徹底解説

建設業における節税対策は、企業の経営効率を高め、利益を最大化するための重要な取り組みです。しかし、適切な節税と法律違反となる脱税は紙一重であるため、正しい知識を持って対策を講じることが必要です。

本記事では、節税と脱税の違いを明確にし、建設業に特化した節税対策の基本と注意点を解説し、さらに具体的な施策や税制優遇制度の活用法もご紹介します。

効率的に税負担を軽減し、健全な事業運営を実現しましょう。

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節税と脱税の違い

節税と脱税の違い

節税と脱税は、いずれも税金の支払いに関わる行為ですが、その内容や結果には大きな違いがあります。節税とは、法律の範囲内で税金を軽減するための行為を指します。

【節税の例】

●   特定の控除を活用する。

●   必要な経費を適切に計上する。

節税は国が定めたルールに従って行われる合法的な手段であり、企業の利益を守るために重要な手法とされています。

一方で、脱税は法律を破り、納めるべき税金を不正に減らす行為です。

【脱税の例】

●売上の一部を意図的に計上せず、収益を少なく見せる。

●存在しない取引を経費として計上し、利益を減らす。

●架空の外注費を計上して利益を減らして課税所得を少なく見せる

●下請業者から受け取った謝礼金を計上せずに申告する。

●工事の完成引き渡し時期を意図的にずらし、売り上げを圧縮する。

脱税が発覚した場合には、追徴課税や罰金、さらに重加算税という厳しいペナルティが科される可能性があります。

脱税の疑いがかかると企業の信用を大きく損ない、取引先や顧客との関係にも悪影響をおよぼすでしょう。

建設業における節税対策の注意点

建設業における節税対策の注意点

建設業は取引金額が大きく、長期のプロジェクトが多いため、節税対策には業界特有の注意点があります。

例えば、工事収益の計上には「完成基準」と「進行基準」の2つの方法があり、完成基準は工事完了時に一括で計上し、進行基準は工事の進捗に応じて段階的に計上します。

どちらの方法でも処理が不適切だと、税務署から売上操作を疑われ、税務調査の対象になるリスクが高まるでしょう。

一方、経費計上では資材費や外注費、作業員の給与など多くの経費が発生するため、領収書や契約書を確実に保管し、証拠を残すことが重要です。

特に外注費を計上する場合、実態が外注であると示せなければ「給与」とみなされ、追徴課税の対象となる可能性があります。

建設業では収益の計上と経費の管理を正確に行い、証拠書類をきちんと揃えることで、リスクを避けつつ適切な節税対策が可能となります。

基本的な節税対策

基本的な節税対策

節税の方法には、どの業種にも適用できる効果的な対策がいくつかあります。ここでは、基本的な節税対策を紹介します。

 役員報酬を損金計上する

役員報酬を適切に設定すれば、損金(経費)として計上して企業の利益を圧縮し、結果として法人税の負担を軽減できます。

月額50万円の役員報酬を1年間続けて支給したとすれば、年間600万円を損金に計上できます。

ただし、役員報酬を経費として認められるには、「毎月一定額を支給する」という条件を守らなければなりません。

不定期のボーナスや変動する金額は、経費として認められないため注意が必要です。

 賃貸物件を借りて社宅にする

会社の福利厚生として賃貸物件を社宅として提供する場合、家賃の一部を経費に計上できます。

月額10万円の賃貸物件の場合、7万円を会社負担、3万円を従業員負担といった形が一般的ですが、この場合、会社負担の7万円分が経費として認められます。

ただし、社宅として認められるためには、家賃の適正基準の遵守が必要です。

もし不自然に安すぎる家賃にすると、税務署から「給与」とみなされ、追加課税のリスクがあります。

 社員旅行・健康診断を導入する

会社の社員旅行や健康診断を福利厚生として取り入れることは、従業員満足度の向上と節税の両立が期待できる方法です。

2泊3日の国内旅行で1人あたりの費用が10万円以内であれば、福利厚生費として認められることが多いです。

また、健康診断費用を会社負担とする場合も同様に経費化できます。

従業員の健康管理への投資は、長期的に見て生産性の向上にもつながるため、効果的な施策といえるでしょう。

 社用車を導入する

社用車の導入も有効な節税方法で、社用車の購入費用や維持費(ガソリン代、保険料など)は経費として計上できます。

600万円の車を購入した場合、法定耐用年数6年に応じて減価償却費として、毎年100万円を経費にすることが可能です。

ただし、社用車をプライベートで使用する場合は経費として認められないため、使用記録を詳細に残さなければなりません。

記録を明確に保管しておけば、税務調査時のリスクを軽減できます。

 決算賞与を支給する

従業員や役員への決算賞与の支給は、利益を圧縮し法人税の負担を軽減できます。

決算賞与を経費として認めてもらうには、次の条件を満たす必要がある点に注意してください。

●支給対象者や金額を明確に記載した書面を作成し、従業員に通知する。
●決算後1か月以内に実際に支給する。
●当期中に損金として経理処理する。

利益が500万円ある場合は、100万円を決算賞与として支給することで、課税対象となる利益を400万円に減らせます。

決算賞与の支給は、従業員のモチベーション向上にもつながるため、実行価値の高い節税対策といえるでしょう。

 30万円未満の減価償却資産を一括処理する

30万円未満の減価償却資産を購入した場合、通常の耐用年数に応じて分割で計上するのではなく、全額をその年の経費として一括計上できます。

例えば、25万円のパソコンや工具を購入した場合、購入年度に全額を経費に計上でき、利益を大幅に圧縮できます。

ただし、この特例を適用するためには「中小企業者等の固定資産の特例」の条件を満たさなければなりません。

また、年間で一括計上できる総額には制限があるため、計画的な購入が重要です。

参考:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

工務店が行いたい節税対策

工務店が行いたい節税対策

工務店は収益の変動が激しいため、適切な節税対策は経営の安定化に欠かせません。ここでは、工務店に特化した節税方法について解説します。

 工事収益計算を工夫する

工事収益計算において、複数年度にわたるプロジェクトでは「工事進行基準」と「工事完成基準」のどちらを採用するかで課税額が変わります。

【工事進行基準の例】

●   1億円の工事で進行基準を採用し、50%が初年度に完成した場合、初年度に5,000万円の収益を計上。

●   利益が均等化され、初年度の法人税負担を軽減可能。

【工事完成基準の例】

●   1億円の工事で完成基準を採用すれば、工事が完了した年に一括して1億円の収益を計上。

●   計上年度の法人税が高額になる可能性がある。

 業務を外注する

業務の一部を外注化することは、経費として計上できるため節税できる有効な方法です。

【具体例】

●   年間3,000万円の外注費を計上した場合、法人税の課税対象となる利益を減らすことが可能。

●   工務店が外注を検討する際には、短期的なプロジェクトや特定の専門スキルが必要な場面で活用するのが有効。

外注化する場合は、契約書をきちんと整備し税務署が求める適正な経費として認められるようにしましょう。

 契約書を電子契約にする

工務店では工事契約書など高額な契約が多いため、印紙税額も大きくなりがちですが、契約書を電子化すれば、印紙税の負担を軽減できます。

【具体例】

●   1,000万円の工事請負契約書には1万円の印紙税がかかりますが、電子契約を導入すれば発生しない。

●   年間50件の契約書がある場合、100万円のコスト削減を実現。

電子契約の導入により、契約書の保管や検索も効率化し、事務作業の負担も軽減します。

参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

 設備投資を特別償却にする

大型の機械や車両を購入する際に「特別償却」を活用すれば、購入年度に減価償却費として経費を計上でき、節税効果を得られます。

【具体例】

●   2,000万円の建設機械を購入した場合、同事業年度に購入金額の

特別償却は対象設備や適用条件が定められているため、購入前に確認することが大切です。

参考:No.5433 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)|国税庁

 税制優遇制度を活用する

「賃上げ促進税制」は、従業員の給与を一定以上増やした場合に法人税の一部が控除される制度です。

中小企業では特に控除率が高く設定されており、賃上げを積極的に行うことで大幅な節税ができます。

【具体例】

●   年間の給与総額を100万円増額した場合、法人税控除額は約15万円となる。

●   賃上げと節税が同時に実現できる。

※「賃上げ促進税制」は、2024年4月1日から2027年3月31日までの間に開始する各事業年度が対象です。

参考:No.5927-2 給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(中小企業者等における賃上げ促進税制)|国税庁

まとめ

建設業の節税対策は、税負担を減らすだけでなく、経営の安定や長期的な成長を支える重要な施策です。最新の税制改正に注意し、リスクを避けながら長期的な視点にたって計画を立てることが重要となります。

cta_電子契約もAnyONE

節税対策の一環として、効率的な業務運用を実現するツールとして注目されているのがAnyONEの電子契約機能です。

このツールの利用によって、契約書を電子化できるため、紙の契約書にかかる保管コストや手間を削減できます。

また、電子契約により印紙税も必要なくなるため、適法に節税ができる点もメリットです。

建設業では契約書の締結が頻繁に発生するため、電子契約の導入によって大幅な効率化が期待できます。

AnyONE自体が工務店向けに作成された業務効率化ツールで、以下のような機能で工務店の業務効率を向上させ、余分な人件費のカットや労働環境の改善にも貢献します。

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記事監修:佐藤主計
保有資格:1級造園施工管理技士、2級土木施工管理技士
建設業界に携わり30年。公共工事の主任技術者や現場代理人をはじめ、造園土木会社の営業マン・工事担当者として、数万円から数千万円の工事まで幅広く担当。施工実績は累計約350件にものぼる。


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