【建設業】法定福利費の算出方法とは?ざっくり費用を割り出す方法や書き方
建設現場の施工管理では、 ICT施工や働き方改革などの影響で5大管理「QCDSE」の見直しが注目されています。
QCDSEは、施工管理をするうえで重要な項目とされる、「Quality」品質、「Cost」コスト・原価、「Delivery」工程・工期、「Safety」安全、「Environment」環境の頭文字を連ねた言葉です。
この記事では、QCDSEの定義と施工管理における重要性を解説し、それぞれの効果的な管理方法についても説明しています。
精度の高い施工管理による業務の効率化と生産性の向上のため、ぜひ参考にしてください。
INDEX
施工管理を構成する「QCDSE」について、それぞれの定義と建設工事における重要性を解説します。
建設工事における品質とは、完成した建築物や構造物の規格や強度、機能などのことです。この品質は、発注者が設計図書や仕様書で示している品質基準を満たしていなければなりません。
品質基準が満たされているという判断材料となるのが、所定の各段階で行われる「品質検査」です。品質評価の対象となる項目について検査し、文書での記録とともに写真を撮って証拠を残します。
検査項目は工事の種別で変わりますが、大きくは、材料、施工、試験の各項目で行われます。それぞれで目視や立会い計測、試験成績書などの品質管理記録とともに、証拠となる管理状況写真が必要です。
施工管理でのコスト・原価の管理は、無駄なコストを削減し、企業として適正な利益を確保するための管理です。工事着手前に作成した「工事実行予算書」と、実際の工事でかかっているコストとの差異を管理します。
差異が発生している場合は、工事の労務費、資材の発注額、重機や機器のレンタル料などを精査して要因を突き止め対処します。
コスト・原価の管理は、あくまで収支と支出のバランスを取ることが重要であり、現場や取引先に強引なコストダウンの要求をすべきではありません。
工事における工程管理とは、決められた工期内に工事を完成させるための管理です。
建設工事は、数か月から数年までと長期に渡って施工されることがほとんどです。規模が大きく、工事内容が複雑になるほど、工程通りに工事を進める難易度は高くなります。
また、工事では不測の事故や天候の変化が工期に影響することが多々あります。このような場合の調整をうまく行うためには、日常的に工事の進捗を正確に把握し、できる範囲で工期短縮を実施して余裕をもつことが必要です。
いわゆる突貫工事のような工期短縮は、逆に労務費や建設機械費、車両費などの費用がかさむため、注意しなければなりません。
建設工事では、安全が何よりも優先されます。建設業はほかの業種と比較すると、事故や労働災害が多いだけでなく、命にかかわるような重大事故が発生しやすいです。そのため、作業者だけでなく、すべての関係者と現場周辺の第三者までを対象とした安全管理が求められます。
日々の安全管理では、現場巡回において危険要因の発見に努め、不安全が認められた場合は直ちに改善を行います。また、朝礼では常に注意喚起を行い、その日の作業における危険個所の共有も必要です。
作業者全員による安全協議会を定期的に開催し、ヒヤリハット報告やKY活動、5S運動などを通して安全遵守意識の向上を目指します。
建設業では、周辺の環境に影響を与える懸念があります。
環境とは主に自然環境や周辺環境、職場環境に分類されます。
工事による空気や水質、土壌の汚染、また周辺に与える騒音や振動、工事に係る作業員の労働環境は必ず守らなければなりません。
そのため工事を実施する際は周辺環境に配慮し、定期的な点検により環境負荷を下げる取り組みが必要です。
また、周辺住民の理解を得るための張り紙や挨拶回りなども実施します。
さらに、最後の労働環境を整えるために施工管理による適切な工期の設定、人員配置などが重要な要素となります。
建設業は、社会環境に大きく貢献できる業種ですが、同時に環境への影響を与えやすい業種です。自然環境や周辺環境には特別な配慮が必要であり、そこには職場環境も含まれます。
工事の現場で可能な環境への配慮としては、廃棄物の適切な分別と処分、省エネに向けた機器や設備の導入、騒音防止や水質汚濁防止のための施策などが挙げられます。
また、工事内容によっては現場の土壌や水質の状態、CO2排出量などを専門機関に調査依頼することも必要です。予期していた数値と乖離している場合は、工事内容の見直しが検討されることもあります。
ここからは、「QCDSE」の効果的な管理方法を解説します。
Quality(品質)の管理方法のポイントは、綿密な施工計画書の作成です。施工計画書は設計図書や仕様書に基づいて作成され、工事を管理していくためのベースとなります。
品質の管理方法で重要になることは施工方法です。施工方法には、工事の全体フロー、施工手順、施工時の配慮事項、品質基準、確認方法、検認の有無などを記載します。
これらの内容をもとに、実際の材料の受入検査の内容、各工程での段階確認の時期や検査内容、写真や数字による報告書の書式などを決めるため重要です。
施工計画書作成の精度を上げるため、自社がもつ過去工事の実績や技術、ノウハウの活用も求められます。
建設工事のCost(コスト・原価)の管理では、同種工事であっても、施工方法が変わればコストも違いが生じます。そのため、複数の施工方法を検討して品質基準とコストのバランスを考慮し、最も当該工事に見合った施工方法を選択することが重要です。
設計図書で施工方法が指定されている場合は、より効率的な運用の検討を行います。施工方法が決定したら、詳細な原価計算をして予算計画を組みます。施工が始まったら、この予算と実際にかかっている原価との差異を確認しながら工事を進めましょう。
補足として、差異が大きく生じる場合は、予算や施工方法の再検討や見直しが必要です。
Delivery(工期・工程)の管理で最初に行うことは全体工期の設定です。工期の設定では、自社のリソースを把握し、過去の同種工事の実績を参考にします。
全体工程表が完成したら、それをもとに部分工程表や週間・月間工程表を作成します。そのあと、現場作業者や工事関係者へ向けて工程表の周知を行います。
工程表の進捗管理では、施工管理と現場だけでなく、管理部門や取引先とのコミュニケーションも重要です。建設工事では、工期・工程の進捗が収支バランスや品質管理に影響することがあるためです。工程表と大きなズレが生じる可能性がある場合は、柔軟に見直しや改善を行いましょう。
Safety(安全)の管理では、工事期間を通しての日々の積み重ねが重要です。日常的に危険を予知し、対策を講じておくことが管理のポイントとなります。
具体的には、その日の作業内容に合わせた機材や工具の点検、施工手順や危険ポイントの確認、疲労や体調不良などのチェックによるヒューマンエラーの防止などです。
5Sと呼ばれる「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の継続も危険防止に大きく貢献します。
定期的な安全協議会の実施による、ヒヤリハット事例の共有や安全に関するコミュニケーションなども作業者の安全意識の向上には欠かせません。
Environment(環境)の管理は、自然環境、周辺環境、職場環境の3つにわけて考えることが多いです。それぞれの管理基準を明確にして、環境を損なう様相の確認と対策が必要です。
自然環境では、開発による地すべりや水害などの発生について、科学的な調査に基づく合理的な対策が求められます。
周辺環境では施工中の騒音や振動、悪臭などが管理対象となり、必要であれば周辺住民に説明会を開催しなければなりません。職場環境では、無理のない作業量の設定、熱中対策や寒さ対策など職場環境の整備がポイントとなります。
施工管理における「QCDSE」の優先順位は、一般的に以下の順番とされます。
1.Safety(安全)
2.Environment(環境)
3.Quality(品質)
4.Cost(原価)
5.Delivery(工期)
建設工事で常に最優先されることは「安全」です。工事中に作業者や関係者、第三者に人為的な事故や災害があった施工現場は高い評価を望めません。「安全という基本中の基本を軽視する現場では、品質や原価、工期なども優れたものはできない」と考えられることが多いです。
また、工事の現場が快適な環境で働きやすければ、作業者は業務に意欲的に取り組み、結果として「QCDSE」全体で評価の高い施工が可能となります。
この2つが優先されることが、建設会社や業界にとってもプラスの作用をもたらすことは間違いないでしょう。ただし、業界や職種が違うとQuality(品質)の優先度が高く、Environment(環境)が最も低いというケースもあります。
施工管理の5大管理「QCDSE」は、さまざまな業務が関連しており、効率化と「見える化」が求められます。
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ここまで、施工管理の5大管理「QCDSE」について、以下の内容で解説してきました。
●施工管理を構成する「QCDSE」の概要
●「QCDSE」の効果的な管理方法
●「QCDSE」の優先順位について
施工管理の業務をスムーズに行い、利益を確保できる工事を行うためには、品質管理から環境管理まで一元的に管理できる業務効率化ツールが有効です。
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記事監修:佐藤主計
保有資格:1級造園施工管理技士、2級土木施工管理技士
建設業界に携わり30年。公共工事の主任技術者や現場代理人をはじめ、造園土木会社の営業マン・工事担当者として、数万円から数千万円の工事まで幅広く担当。施工実績は累計約350件にものぼる。
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