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工程管理に携わる方の中には、全体工程表(総合工程表)の定義や目的、作成手順について再確認したいという方も多いでしょう。
この記事では、全体工程表の定義や種類、作成する目的や手順について詳しく解説しています。
効果的な工程管理を行うために、全体工程表の活用を検討している方は、ぜひ最後までご覧いただき参考にしてください。
Link_【テンプレート付き】工程表とは–工程表の種類や工程管理の目的を解説
INDEX
全体工程表とは、工事の着工から完成まですべての期間を対象として、現場全体の流れを確認できる工程表のことをいいます。
全体工程表は、工程管理のベースになるものであり、工種ごとの概要だけでなく各工種の関係性を時系列にまとめていなければなりません。
全体工程表には似た用語がいくつかあります。行程表、細部工程表、年間・月間・週間工程表などです。
混同を避けるために、これらの用語の違いを解説します。
工程表は主に工事関連で使用され、行程表は旅行の関係で使われることが多いですが、内燃機関の移動距離の意味で使われることもあります。
総じて、行程は主に旅行などでの移動の長さや順序のことで、日程や予定と同じような意味で使われる用語です。
細部工程表は、工事において工種ごとに作成されるもので、細部工事の作業内容とスケジュールをまとめた図表です。
工事期間が比較的短期間で、工事場所が狭いのに業者の数が多い場合などに使用されることが多いです。備考欄が大きく、打ち合わせでの結果を即時的に反映させながら工事を進めていきます。
年間・月間・週間工程表は、特定の期間にフォーカスして、工事内容や施工順序をまとめた工程表です。
短期の工事で使用されることも多いですが、長期工事の補足工事や、残工事、追加工事の工程表として使われることもあります。
全体工程表は、工事を計画的かつ適切に運営するためのベースとなります。
全体工程表は、対象となる工事の設計図書や仕様書、現場調査など、さまざまなデータをもとに検討して作成します。
それから、施工のフロー(作業手順)や工事期間を策定し、必要資材のリストアップなどを行います。
全体工程表を作成すると、工事全体の方向性に沿った施工フローの策定が可能になり、細かい工事調整がしやすいです。
例えば、課題となりそうな作業を事前に把握できると、必要になる人員や機材を適切に配置して施工に支障のない体制を準備することができます。
事前に工事内容を把握できると、現場で働く作業者に余裕が生まれ、工程管理だけでなく安全管理にもより配慮できます。
全体工程表の作成段階では、着工から竣工までのすべての作業が拾い出しされ、それぞれに適切な工事日程が割り当てられます。その細かな作業工程の積上げが、全体工程表の工事期間となります。
工事期間は詰め込みすぎないのが定石ですが、検討内容によっては工期の短縮も可能です。適正な理由があっての工期短縮はコストの削減となり、発注者からの信頼も得られます。
精度の高い全体工程表が完成すると、それをもとにした必要資材のリストアップと最適な時期での発注が可能となります。
工事の規模が大きくなるほど、必要になる資材も多大になり、資金的にも在庫的にも注意が必要です。
事前に正確な数量や価格が把握できれば、無駄を排除できるうえに、不用意に在庫を抱えるリスクをなくすことが可能です。
全体工程表を作成することで、工事の開始から完了までの流れを一目で把握できるようになります。
各工種がいつ始まり、どこで重なり、どのタイミングで次の作業へ進むのかが明確になるため、関係者全員が共通認識を持ちやすくなります。
特に、元請業者・協力会社・発注者の三者間で情報を共有する際、全体工程表があると認識のズレを防ぎやすく、打ち合わせもスムーズに進行可能です。
らに、工程表を定期的に更新・共有することで、現場の進捗に応じた柔軟な対応もしやすくなり、全体としての工期管理が安定します。
全体工程表があれば、どのタイミングでどの工種が動き、どれだけの人員や資材が必要になるのかを事前に見通すことができます。作業の前後関係や重複状況も把握できるため、作業員の過不足や資材不足などのトラブルを未然に防ぐことが可能です。
また、工種ごとの作業期間を明確にすることで、必要な専門職(例:鉄筋工・型枠工・電気工事士など)の手配や、資材搬入のスケジューリングも効率化できます。
とくに複数の協力会社が関与する大規模工事では、こうした「全体の見取り図」があることで、現場運営の精度とスピード向上に大きく貢献するでしょう。
全体工程表には、いくつか種類があり、それぞれの特徴を把握して使用しなければなりません。建築工事で使われる工程表と代表的なものを3つ説明します。
バーチャート工程表は、縦軸に作業名称、横軸に時間軸(日付など)を記載して、横棒で各作業の進捗度合いを表します。
短時間で作成できて、修正や管理も簡単です。現場スケジュールの概要がひと目で把握できるのが特徴となっています。
ただし、他の作業との関連性がわかりにくいため、大規模で複雑な工事には向いていません。
ガントチャート工程表は、縦軸に作業工程の名称、横軸に作業の進捗率を記載します。作業単位での期間や作業担当者、マイルストーンなどを記入して、工程の進捗を管理することもあります。
工事の全体像を可視化できるため管理がしやすくなります。トラブルや遅延の把握もしやすいです。
注意点は、作成に手間がかかること、工数を把握しにくい点などです。またトラブルや遅延が発生すると、工程を組み直す必要があるため変更の多い工事には向いていません。
バーチャート工程表やガントチャート工程表はエクセルでも作成しやすいですが、テンプレートを使うとさらに効率的に工程表の作成が可能です。
AnyONEで公開している無料エクセルテンプレートをダウンロードすれば、すぐにでも工程管理を開始できます。
ネットワーク工程表は、作業単位ごとにかかる日数、各作業の関連性などを視覚的に把握できます。規模が大きく、複数の工種がある建築工事で活用されることが多いです。
最も時間がかかる工事ルートを特定して、竣工までの最短期間を求めることができるため、工期の適切な短縮の検討にも役立ちます。
専門的な用語や表記ルールの理解が必要なため、作成の難易度は高くなります。各作業単位の進捗状況の把握は不向きであるため、ほかの工程表との併用が必要です。
工事現場では、全体工程表のほかにも複数の種類の工程表が使い分けられています。
目的や規模に応じて使うべき工程表が異なるため、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。
日々工程表は、現場の“今日・明日”の作業内容を正確に伝えるための工程表です。短期間での作業進捗を管理する目的で使用され、特に朝礼や職人同士のミーティングなど、現場での即時共有に重宝されます。
この工程表では、「誰が・どこで・何をするか」を細かく明記します。日付ごとの作業箇所や人員配置、重機の稼働状況なども記載されることが多いため、作業の重複や接触のリスクを避けるるでしょう。
簡易なスプレッドシートやホワイトボードで作成されるケースも多く、現場ごとの運用スタイルに合わせて柔軟に設計できるのが特徴です。
ネットワーク工程表は、各作業の前後関係や依存関係を視覚的に整理した工程表で、複雑なプロジェクトにおいて高い効果を発揮します。代表的な形式には「PERT(Program Evaluation and Review Technique)」や「CPM(Critical Path Method)」があります。
このタイプの工程表では、各作業をノード(点)と矢印でつなぎ、作業が完了するために必要な流れを図で表現します。これにより、どの工程が全体の工期に最も影響を与えるのか(=クリティカルパス)を把握でき、効率的なスケジュール調整が可能になります。
ただし、作成にはある程度の知識や経験が求められ、手作業での作成は手間がかかる点も否めません。そのため、建設プロジェクト管理ソフトなどの専用ツールを活用した方が作りやすいでしょう。
建築現場における適切な工程管理を行うために欠かせない、全体工程表(総合工程表)の作成手順を解説します。
全体工程表の作成で最初に行うべきことは、施工範囲を確定することです。設計図書と現場状況を十分に調査して過不足のないものにしなければなりません。
この確認作業にミスがあると工事全体に大きな影響があるため、作業の正確性が求められます。
全体工程表では、着工から竣工まですべての工程の精査が必要ですが、特に重要な施工ポイントの拾い出しも重要です。
拾い出した施工ポイントは余裕を持った日程で設定し、その後に、ほかの作業の施工日を収束させていくようにしましょう。
工事の設計図書や仕様書は、工事を進めるうえでのバイブルであり、発注者の意図を理解するための資料です。
ミスのない、発注者の意図にかなう工事を施工するためには、何度となく設計図書を確認することが欠かせません。疑問があれば、発注者に問い合わせたり協議したりすることも必要です。
全体工程表は、実際の現場状況を反映する必要もあります。そのためには実際の施工だけでなく、現場を運営するという視点で現場状況を確認することも大切です。
車両や建設機械の経路、交通誘導員の人数や配置位置、資材の仮置き場、産業廃棄物の分別場所などを適宜把握しておきましょう。
規模の大きな建築工事では、複数の専門工事業者が協力会社として工事に参加します。いわゆる重層下請(二次、三次など)会社も珍しくありません。
すべての協力会社が現場で施工を滞らせないために、入退場時期や搬出入経路などを協議しておくことは、全体工程表作成の必須要件です。
全体工程表の概要がまとまったら、現場作業者を含む工事に携わるすべての人に、全体工程表の周知をしなければなりません。
全体工程表の周知は、全員がひとつの工程表を共有することで、工事の竣工という共通の目標に向けた協同作業に参加するという意識を高めることにも繋がります。
全体工程表は、工事の工程管理において非常に重要なツールですが、できる限り効率的に作成したいという担当者や管理部門の方は多いでしょう。
普段使い慣れているエクセルで、テンプレートを活用して作成している方が多いですが、細かい部分を作成しようとすると難しくなります。
誰にとってもわかりやすく、他の業務との連携も考えるなら、システムを使った作成をおすすめします。
公共工事では全体工程表の作り方が厳密に決まっており、ルールに反すると差し戻しされる可能性があります。一般的な全体工程表と作り方が異なる場合があるため、ルールを事前に確認しておきましょう。
公共工事においては、工程表の提出が求められるだけでなく、その形式や内容にも一定のルールがあります。たとえば、作業の区分・作業名の記載方法、工期の表示形式などが細かく定められており、民間工事よりも厳格な対応が必要です。
自治体や発注者によってフォーマットが異なる場合もあるため、仕様書や要領書を事前にしっかり確認しておくことが求められます。形式の不備があると差し戻されるケースもあるため注意が必要です。
国土交通省は「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン(平成30年7月改正)」を公開しており、公共工事での工程表作成の基準や注意点が網羅されています。
実務上のチェックリストや作成例も掲載されており、非常に参考になります。
Excelでの工程表作成に不安がある場合は、無料テンプレートを活用するのが効果的です。多くの建設系サイトや業界向けツールでは、すぐに使えるフォーマットが公開されています。
すでに工務店向けに作られたテンプレートを使えば、企業や現場名など基本的な項目を変えるだけで、すぐに工程表の作成ができるため便利です。
AnyONEでも工程表作成に便利な無料テンプレートを公開しており、ダウンロード後にすぐにご利用いただけます。
全体工程表に関してよくある質問をまとめました。
全体工程表は、工事全体の流れを俯瞰して示す工事工程表です。一方で、工事工程表は特定の作業や期間に焦点を当てた詳細な計画表です。用途や共有対象に応じて使い分ける必要があります。
基本的には工事の計画段階で作成します。施工計画書や契約スケジュールとあわせて作成・共有することで、関係者全員の認識を揃えることができます。
全体工程表を含めた工事工程表の作成方法はExcel以外にも多くあります。
Googleスプレッドシートのようなクラウドツールや、AnyONEのような工程表作成が可能な業務ツールを利用すると良いでしょう。
見やすい工程表を作るには、以下のポイントを意識しましょう。
●工種ごとの色分け
●横軸(日付)と縦軸(作業項目)のグリッド整理
●マイルストーンの設定(例:中間検査・引渡しなど)
●担当者名や工区の記載
視認性を高めることで、共有ミスや作業の重複も防ぎやすくなります。
発注者の指定形式に従うことが最優先です。また、作業区分や日付の記載ルール、提出フォーマットなどは、事前に設計図書や自治体の要領書で確認しておくと安心です。
基本的には、週単位または工程変更の都度更新するのが理想です。現場の進行状況や気候・人員トラブルなどに合わせて、柔軟に修正できる体制を整えておきましょう。
工事の進捗状況や変更点に応じて、定期的に見直し、必要に応じて更新することが重要です。
全体工程表(総合工程表)を作成するなら、業務効率化ツールである「AnyONE」がおすすめです。
思い通りに工程表を作成できるツールが見つからないという方のために、ぜひ検討していただきたいのが「AnyONE」です。
企業ごとの作成方法に合った、さまざまなレイアウトが可能で、工事の詳細や周囲などのメモも記載できます。
AnyONEは、エクセルに保存された工事原価情報やCADの積算情報と連携できます。
さらにAnyONEはエクセルと似た操作感を持っており、ITツールが苦手な方でも操作方法に迷うことが少ないです。加えてAnyONEは以下の機能にも対応しています。
【AnyONEの機能】
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工事管理
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AnyONEは工事に関わるお金の管理を一括でおこなえるため、現場ごとの利益の推移を簡単に把握できます。予定よりも利益が少ない場合は、積算・見積り・実行予算いずれかの段階に原因があるケースが多いです。
AnyONEを活用すれば、各段階の利益推移を簡単に追えるため、低利益工事・赤字工事となった原因の分析が簡単に行える点も人気の理由となっています。
本記事では、全体工程表(総合工程表)の作成について、以下の内容で解説しました。
●全体工程表の概要
●全体工程表作成の目的
●全体工程表の種類
●全体工程表の作成手順
全体工程表は、工事の着工から完成まですべての期間を対象として、現場全体の流れを確認できる工程表です。
計画的で精度の高い全体工程表があれば、工程と実際の現場状況とのズレを確認しやすいため、軌道修正が楽にできます。不測の事態が生じて施工の遅延が起きても、どの工程で調整が可能か容易に判断可能です。
全体工程表(総合工程表)は、工事に携わるすべての人が共有すべきだといえるでしょう。
そのためには業務を効率化して、各部署が全体工程表のデータを共有し、できる限りリアルタイムで現場の状況が「見える」ことが重要です。そういう時、必要になるツールは業務効率化ツールです。
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記事監修:佐藤主計
保有資格:1級造園施工管理技士、2級土木施工管理技士
建設業界に携わり30年。公共工事の主任技術者や現場代理人をはじめ、造園土木会社の営業マン・工事担当者として、数万円から数千万円の工事まで幅広く担当。施工実績は累計約350件にものぼる。
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