【2024年問題】建設業が実施すべき働き方改革の内容と対応策を解説

【2024年問題】建設業が実施すべき働き方改革の内容と対応策を解説

建設業における2024年問題とは、2024年4月から施行される「働き方改革関連法」においての労働時間の上限規制などの施行により、建設業の労働力が減り従来通りの業務遂行が困難になること諸問題を意味します。

同法はスタートしており、各社はクリアするべく労務管理を整えているはずです。しかしこれを継続的に維持するための社内体制づくりが遅れているという会社も多いでしょう。

この記事では、2024年問題で建設業がやるべき働き方改革の内容と対応策について解説しています。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

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建設業の2024年問題(働き方改革)とは

2024年から建設業においても時間外労働の上限規制が適用されました。実際に対応を始めるにあたって、働き方改革のポイントを再度確認したいという建設会社の方のために内容について解説します。

建設業に適用される上限規制に先駆けて、平成30年3月に国土交通省によって策定された「建設業働き方改革加速化プログラム」を参考にしています。

国土交通省|建設業働き方改革加速化プログラム

長時間労働の是正

長時間労働是正の取り組みでのポイントは、週休2日制の徹底と適正な工期設定の推進です。

労働者の健康確保や将来の担い手の確保のためには、休日数を増やし働きやすい職場環境づくりが必要とされています。特に週休2日制の導入にあたっては、技能者の多くが日給月給であるということに留意しなければなりません。

国土交通省は、直轄工事で週休2日工事や週休2日交代制モデル工事が拡大し、共通仮設費や現場管理費の補正率を見直すとしています。また民間工事でも週休2日の確保についての働きかけが実施されているところです。

週休2日制とともに、女性の活躍を推進している企業や現場を「見える化」することも提案されています。

適正な工期設定の推進に関しては、受発注者双方の協力による取り組みと、各発注者による工期設定を支援するべく「工期設定支援システム」の周知が進められました。

技能や経験にふさわしい処遇

技能や経験にふさわしい処遇では、適切な水準の賃金確保と社会保険加入の徹底に向けた取り組みがポイントです。

国土交通省では、労務単価の改定が下請の建設会社まで行き渡るように、発注者・受注者双方の団体に労務単価の活用や適切な水準での賃金の確保をするよう要請しています。

上記に関連して、建設業の退職金共済制度を民間発注工事においても普及させるよう関係団体に働きかけています。

また全ての建設技能者(約330万人)が建設キャリアアップシステムに加入することを目指しており、これは技能や経験にふさわしい処遇を実現するための「能力評価制度」のベースになるものです。

社会保険加入の促進に関しては、全ての発注者に対して、社会保険加入業者のみに施工を限定するよう要請しています。同時に、社会保険に未加入の建設業者は、建設業の許可・更新を認めない仕組みの構築を実現するとしています。

生産性の向上

これまで長い間、建設業が抱える問題点として挙げられてきたのが、他産業と比べての生産性の低さです。生産性を向上させるためには、仕事の効率化、適切な人材配置、重層下請構造の改善が課題とされています。

この課題解決に向けた施策の中心的な役割を果たすとされている施策が、建設生産システムのあらゆる段階におけるICT(情報通信技術)の活用です。特に仕事の効率化では、ICTを活用した申請手続きの電子化や施工品質の向上と省力化を実現可能です。

適切な人材配置としては、現場技術者の減少を見据え、技術者要件の合理化が検討されています。また民間工事を含め、工事の施工時期の平準化(繁忙期・閑散期の緩和)が進められています。

重層下請構造を改善するため、実質的に施工に携わらない下請企業の排除など、下請次数の削減に向けた整備が検討されています。

建設業の2024年問題(働き方改革)の背景

建設業の2024年問題と働き方改革の背景には、労働人口の減少に伴う人材不足と長時間労働の常態化、就労者の高齢化など労働環境に関連する課題があります。これらの課題について解説します。

長時間労働の常態化

建設業で長時間労働が常態化し問題となってきた要因の一つが、36協定の特別条項だとされてきました。

時間外労働の上限(原則)の月45時間・年360時間、法定労働時間の1日8時間・週40時間というのは働き方改革による改正前も改正後も変わりません。

ただし、これまでは特別条項(36協定)により、残業の上限を超えても良いとされてきました。(1年につき6ヶ月まで)。しかし改正後は、年720時間、複数月平均80時間、月100時間未満までと規定されます。また改正前は、違反時は行政指導のみで罰金はありませんでしたが、改正後は罰金が課されるため注意が必要です。

慢性的な人手不足

建設業の就業者数は、1997年(685万人)をピークに減少が続いており、2022年は479万人でピーク時比69.9%です。建設技能者に限っても、ピーク時(1997年464万人)の65.7%となる305万人という現状になっています。

就業者数は減少していますが、建設業に対する需要は堅調です。震災復旧や老朽化した社会資本の更新、耐震補強工事や脱炭素化に向けた取組などが要因となっています。

就業者数の減少に歯止めがかからないのに対して、有効求人率は高止まりしているため慢性的な人手不足となっています。

国土交通省|建設業及び建設工事従事者の現状

就業者の高齢化と若手の不足

慢性的な人手不足だけでなく、就業者の高齢化と若手の不足も大きな懸念材料となっています。特に2025年には、高齢化による大量の退職者が出ることが予測されています。

建設業の就業者数は、55歳以上が35.5%、29歳以下が12.0%と高齢化が進行し、次世代への技術継承は大きな課題です。

建設現場を支える技能者数においても、60歳以上の技能者は全体の約4分の1(25.7%)を占めており、10年後にはその大半の引退が見込まれます。

若手の入職者の確保と育成は、建設業において重要な問題です。働き方改革を大きな契機とし、若手の処遇改善を急ぐ必要があります。

国土交通省|最近の建設業を巡る状況について

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建設業の働き方改革のための5つの対応策

建設業の働き方改革のための5つの対応策について、できる限り具体的な実例を挙げながら解説します。

職場環境と労務管理の適性化

職場環境と労務管理の適正化の対応策として、労働時間の可視化と、勤務形態や休暇制度の多様化の2つが挙げられます。

労働時間の可視化とは、たとえば各部署で月毎に労働時間の目標を設定し、労働時間の結果を開示することです。これを毎月のように繰り返すと、各部署の所属長は目標の達成率を意識するようになり、残業時間の削減への動機を高めます。

勤務形態や休暇制度の多様化としては、フレックスタイム制や朝型勤務制度の導入、繁忙期や閑散期に応じた休業日の設定、ノー残業ウィーク(ノー残業デー)の設定などが実質的な効果を上げています。

建設DXによる生産性の向上

建設DXによる生産性の向上とは、3Dモデルや点群データなどのデジタルデータをベースに、高度な技術を活用し工事や業務を効率化することです。

これらの技術は、設計や施工から維持管理・運用に至るまでの各段階で、BIM/CIMを踏まえた構造化されたデータの共有を可能にします。同時に建設技能者の労働生産性や安全性を向上させ、働き方改革の実現に大きく貢献します。

また労働人口が減少する中では、知識や経験のデジタル化や、ICT建機やドローン測量のための空間情報のデジタル化も生産性を向上させるために必要です。

待遇・福利厚生の見直しと改善

待遇・福利厚生の見直しと改善は魅力的な労働条件を創出し、採用募集時に人材が集まりやすくなります。また現在勤務している従業員の満足度は底上げされ、勤務先に対する愛着や関係性を深めます。

労働人口の減少は、国全体の大きな問題ですが、特に建設業界の人手不足は深刻です。若年層の就労者は減少を続け、職人離れも進んでいます。

まず着手すべきは、給与のベースアップですが、法定・法定外の福利厚生の充実も重要です。
厚生年金や雇用保険などの法定福利厚生の完備はもとより、通勤や住宅、有給休暇などの法定外福利厚生の充実も求められます。

またどのような見直しや改善が行われているかのアピールも欠かせません。若年層との親和性が高いSNSによる発信やインターネットを活用した求人を積極的に行うべきです。若年層を中心に3Kイメージが強い建設業の印象を、いかに払拭していくかは重要課題の一つであるといえるでしょう。

建設キャリアアップシステムの導入

国土交通省が推進する建設キャリアアップシステムは、建設業に関わる技能者の資格や就業履歴、社会保険加入状況などを登録・蓄積するものです。登録された情報は、技能者の適正な評価と、技能・経験にふさわしい処遇を整えるためのベースになります。

建設キャリアアップシステムの目的は大きく3つに集約できます。

●技能者のキャリアを見える化|技能者が適正な処遇を受けやすくなる
●将来にわたる技能者の確保|将来性のある職業であるという環境整備
●事業者の業務負担の軽減|事業者の現場管理の効率化が見込まれる

さらに技能者にとってはスキルアップの目標設定に役立ち、事業者は自社に所属する技能者のアピールに繋げることができます。

女性・外国人労働者の確保

働き方改革における人手不足対策として大きな期待を集めているのが、女性や外国人労働者の人材確保と定着です。

2020年1月、国土交通省は「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画」を策定しました。計画の柱としているのが、以下の3つのポイントです。

●女性が働きつづけられるための環境整備を進める
●女性に選ばれる建設産業を目指す
●建設産業で働く女性を応援する取組を全国に根付かせる

女性の定着支援や活躍促進のためのネットワークや、建設キャリアアップシステムの活用など、さまざまな取組が実施されています。

建設会社における外国人労働者の確保では、言葉や文化、宗教などに対しての社内的な理解が欠かせません。また在留資格や技能講習の種類などの理解が必要です。

外国人労働者の職場定着のための助成金を申請する事業主も増えていますが、支給には「就労環境整備計画」の作成・提出など、いくつかの取組が必須になります。

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まとめ

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本記事では、建設業における2024年問題として提起される「働き方改革関連法」に向けた対応策について、以下の内容で解説しました。

●2024年4月に施行された「働き方改革」の内容
●働き方改革が施工されるに至った背景
●働き方改革のための5つの対応策

これまで建設業は、労働人口の減少に伴う人材不足と長時間労働の常態化、就労者の高齢化などの問題を抱えてきました。

働き方改革は、この労働管理に関する問題を改善し、建設業界のさらなる発展を目指し施行されたものです。

工務店やハウスメーカーを含む、すべての建設会社にとって、業務を効率化し生産性を向上することは働き方改革に対応する重要な取り組みとなります。この取り組みには、業務効率化ツールの導入が効果的です。

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記事監修:佐藤主計
保有資格:1級造園施工管理技士、2級土木施工管理技士
建設業界に携わり30年。公共工事の主任技術者や現場代理人をはじめ、造園土木会社の営業マン・工事担当者として、数万円から数千万円の工事まで幅広く担当。施工実績は累計約350件にものぼる。


 

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