【建設業】法定福利費の算出方法とは?ざっくり費用を割り出す方法や書き方
工期とは、建設工事の着工から竣工までの期間のことです。現在、建設工事の合理的な工期短縮が求められています。
これは建設業の人手不足や高齢化、他業種に比べて生産性が低い、長時間労働がなくならないなどの問題点の解決に向けた取り組みの一環です。
工期短縮のための取り組みは、そのまま建設業が抱える問題点の解決につながるという考え方がベースにあります。
この記事では、工期短縮が必要な理由とメリット、工期短縮の効果的な実施方法や注意点について解説しますのでぜひ最後まで読んで参考にしてください。
INDEX
工期短縮が必要な理由とメリットとは、工期短縮という取り組み自体が、建設業のさまざまな課題を解決することにつながるという点にあります。
従前の作業手順や施工体制に基づいて設定された工期を短縮するためには、これまでにない施策を取り入れることが必要です。
生産性向上とコスト削減、協業体制の確立と向上、作業環境の見直しと改善という3つの施策について説明します。
これまで生産性の低さが指摘されてきた建設業では、生産性向上とコスト削減で、工期短縮を目指すことが可能です。
建設業で生産性が低い理由としては、人手不足が改善せず、1人当たりの労働時間が長くなっていることが挙げられます。また新しいことや変化を嫌い、従来の働き方に固執しやすい傾向も理由の一つとされています。
アナログ的な作業や業務を建設DXと呼ばれるデジタル技術を活用しデジタル化し、生産性の低さを改善していかなければなりません。
生産性を向上させて工期を短縮できれば、人件費をはじめとするさまざまな経費が削減され、結果的にコスト削減へつながります。
発注者にとっても、同等の品質を確保した工事がより安価で発注できれば大きなメリットです。そのため、生産性の向上とコスト削減は企業の競争力を高めることにも直結します。
効率的な協業体制を確立することは、工期短縮につながります。
建設工事では一つの建築物や土木構造物を完成させるために、さまざまな業者の協力が必要です。さまざまな業者とは、設計会社やコンサルタント会社、施工を請け負った会社と協力(下請)会社、資材を仕入れる商社などです。
これらの業者間では、工事の変更や進捗、情報データなどがリアルタイムで可視化され共有されることが重要です。そのためのツールとして「情報共有システム」があります。
情報共有システムでは、各種の帳票や現場写真、変更された現場データなどをアップデートすれば、各業者はいつでもどこでもシステム上で確認することが可能です。
人の行き来は大幅に減り、メールやFAXをする手間がなくなり、渡し漏れも防ぐことができます。
最新の情報共有システムには、他にもさまざまな機能が付加されており、協業体制の確立と向上を通して工期短縮に活用されています。
建設業には今でも3K(きつい・汚い・危険)というイメージがあるため、さらなる作業環境の見直しと改善は工期短縮につながります。
近年、施工現場では、作業者の労力を軽減するため、さまざまな先進技術が導入されています。
ダムやトンネル工事で活躍する施工ロボットや建設機械、AIを搭載したドローンによる遠隔地の測量・調査・点検、ウェアラブルデバイスを活用した効率的な現場作業などが実例として挙げられます。
また現場事務所や作業者の休憩所は、以前に比べると改善されたとはいえ、他業種に比べると改良の余地があると言えるでしょう。業界経験のない女性や若年層にも受け入れられるスペースや快適さが求められます。
今後も作業環境の見直しと改善を続けることで作業者の意欲は向上し、工期短縮につながると同時に、新規就労者の呼び水ともなるはずです。
現在、建設業では、工期短縮のためのさまざまな方法が実践されています。
中でも効果的な実施方法として注目されている、建設マネジメント、ICTの導入、オフサイト建設の3つについて解説します。
建設マネジメントにおける、「PDCAサイクル」という考え方は、合理的な工期短縮を実施するために有効です。
①Plan(計画の立案)
②Do(事業の実施)
③Check(進捗状況の把握)
④Action(対策の検討)
このサイクルは、各工種の短期間の工程から、工事全体の工程まで各段階で実施されます。
一般的に、発注者側の建設マネジメントをPM(プロジェクトマネジメント)、受注者(施工者)側の建設マネジメントをCM(コンストラクションマネジメント)と呼んで区別することが多いです。
どちらの建設マネジメントも、コスト、リスク、品質、工程などの観点から、建設工事を一元管理し、ムダや無理、非合理性を排除する立場で考えるのは同じです。
合理的な考え方に基づいて「PDCAサイクル」が各工程で実施されることで、結果的に適切な工期短縮が実現することになります。
ICTはWebを活用したアプリやSNSを導入することで、施工を含めた建設現場のコミュニケーション能力を上げて、生産性向上を実現して工期短縮に貢献するものです。
たとえばICT施工では、レーザースキャナーやICT建機の導入、UAV(ドローン)による測量、3次元データによる設計・施工計画の実施などで生産性を向上させ工期短縮を実現しています。
ICT施工では測量や設計から実際の施工や施工管理まで、それぞれの部署でデジタル化された情報を、関係者全員でリアルタイム共有できるのが大きなメリットです。
安全管理においても、専用アプリを作業者全員がスマホにインストールして、危険予知や安全基準チェックなどに役立て効果を上げています。
以上は、工程管理、品質管理、安全管理など工事全般において、ICT技術をフル活用することで適切な工期短縮が行われている一例です。
オフサイト建設とは、これまで現場で加工・組み立てられてきたものを、工場で製品化・ユニット化することで工期短縮を目指すものです。
オフサイト建設の「オフサイト」は、現場から離れた場所という意味で、これに対して現場は「オンサイト」と呼ばれます。
オフサイト建設の代表的な工法は以下の通りです。
工場で部材を製造して現場で組み立てる工法です。鉄骨系、木質系、コンクリート系、ユニット系の4種類に分類されています。
・プレキャスト
プレキャストは「成形済みの」という意味で、液状のコンクリートの原形を工場でコンクリート板に成形して現場に搬入して組み立てるプレキャストコンクリートが代表的です。
建築部材を標準化・システム化して、建築物を設計・製作・施工します。製品の選択肢は少なくなりますが低価格で短納期での建築が可能になります。
工場で建築物の主要部分を製造し、単位ユニットとして現場に運搬して設置する工法です。工期が短縮されるだけでなく、現場での工数やスペースを最小限に抑えることができます。
さらにオフサイト建設では、現場作業所ごとに行われてきた施工管理についても、オフサイト化を実施するようになっています。
オフサイト建設は、工期短縮と現地工数の削減という点で大きな可能性をもっていると言えるでしょう。
工期短縮を行うとき注意しなければならないのは、工期を短くすることだけに集中してしまい、安全管理や品質管理がおろそかになってしまうことです。
無理な工期短縮は作業者の安全や健康に影響を及ぼすのはもちろん、原価率を高め、成果物のレベルダウンにつながることがあります。
ここでは、工期短縮を行うときの注意点を3つ説明します。
無理な工期短縮の例として、よく挙げられるのが「突貫工事」です。たとえば通常であれば1か月かかる工事を、何かの事由で、半月で完成させなければならないというときに行われるのが突貫工事です。
突貫工事では所定の工期に合わせるのが最優先であるため、車両や重機は追加され、作業者の時間外労働を増やしたり作業者を増員したりします。当然、その分原価率は高まります。
また作業者は長時間労働で疲れきって、集中力が失われ不安全行動を起こしやすくなり、労働災害を起こすリスクが高くなります。
このような突貫工事に代表される無理な工期短縮は、建設現場の良好な運営にとって逆効果でしかありません。
工期内の各工種の関係性や時系列を考慮した作業手順を工程と言います。
工事ごとに違いはありますが、工程には最適な期間や手順が必ずあるので、そこを目指して無駄を排除し、工期短縮につなげなければなりません。
特に施工管理者は、最適な工程管理を追及し、その工程通りに施工することが重要な職務の一つであると考えるべきです。
そのためには、最新の技術や新たな工法を取り入れたり、時には施工の一部をアウトソーシングしたりすることも必要になるでしょう。もちろん、これらの活用にはコスト管理も忘れてはなりません。
このような最適な工程管理の積み重ねが、全体工期の短縮につながります。
工期短縮を行う際は、必ず安全管理や品質管理と両立させることが重要です。また原価管理や環境管理など、施工管理全体のバランスをとることも必要になります。
施工管理全体のバランスを取りつつ、無理のない範囲で工期短縮を実践するのが本筋です。
第一に考えなければならないのが、工期短縮の影響を一番受けやすい立場の現場作業者の安全管理です。現場巡回による危険予知活動が欠かせません。
また工期短縮のための慣れない取り組みによって、現場での作業が手間取ったり、ミスしたりすることも考えられます。これらは品質に大きく影響するため注意が必要です。
この他、当初の予定通りの利益は確保できるか、近隣住民からのクレームや第三者に影響はないかなどの検討も忘れてはいけません。
工期短縮は、工程管理と密接に関連しています。工期短縮のための新しい施策を効果的に取り入れるためには、クラウド型工程管理システムの活用がおすすめです。
あらゆる工務店におすすめできるクラウド型工程管理システムは「AnyONE」です。AnyONEは導入企業が3,300社を超えており、お客様継続率が99.4%のシステムです。
あらゆる工事情報を集約できるため、AnyONEを確認するだけで現場の進捗状況がリアルタイムで把握できます。またAnyONEは工務店業務全般に対応しており、以下の機能が備わっています。
【AnyONEの機能】
●顧客管理
●工事・施工管理
●見積り・実行予算・発注
●入出金管理
●アフター管理
システムに蓄積されたデータは現場ごとに整理されるため、欲しいデータを簡単に見つけられます。また検索機能もあるため、情報探しの手間と時間がかからないことも魅力です。
さらに、作成した工程表や図面などは協力業者とも共有が可能で、チャットを活用すればリアルタイムで情報のやり取りをおこなえます。工程表や説明を更新したら、チャットで報告するだけで工事関係者全員に通知ができるため、電話やメールの手間がほとんどかからなくなります。
本記事では、工期短縮が必要なメリット、工期短縮の効果的な実施方法と注意点について解説しました。
工期短縮の取り組みは、生産性の向上やコスト削減、協業体制の確立や作業環境の見直しにつながります。これは建設業が抱えている課題を解決するための施策でもあるため重要です。
各建設会社が無理のない範囲で、継続的に工期短縮に取り組んでいくことが必要でしょう。
工期短縮を行う際に、ぜひ検討していただきたいのが業務の効率化です。AnyONEのような建設業界に特化した業務ソフトを導入することで、工期短縮のためのベースをつくることができます。
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記事監修:佐藤主計
保有資格:1級造園施工管理技士、2級土木施工管理技士
建設業界に携わり30年。公共工事の主任技術者や現場代理人をはじめ、造園土木会社の営業マン・工事担当者として、数万円から数千万円の工事まで幅広く担当。施工実績は累計約350件にものぼる。
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