人工管理をアプリで効率化!無料アプリ4つの注意点も

人工管理をアプリで効率化!無料アプリ4つの注意点も

人工管理(出面管理)は自社の利益を左右する重要な業務です。ただ多くの工務店がエクセルと手書きで、人工管理(出面管理)をおこなっています。

そのため、どこまで正確にできているか自信が持てない施工管理者や工務店経営者は、多いのではないでしょうか。

この記事では、人工の考え方、人工管理(出面管理)アプリの選び方、無料アプリのリスクについて解説します。

人工の考え方

建設業界における人工の基礎的な考え方について、以下の2つを解説します。

●人工とは
●歩掛とは

 人工(にんく)とは

人工とは、一人の作業員が1日(8時間)仕事したときの人件費のことで、人工代とも表現します。
以下の式を活用すれば、一人の作業員が行う作業時間から人工を計算することが可能です。

●「人工=(1人×作業にかかる時間)÷8時間」

例えば、作業員1人が2時間かけて行う作業の場合は、「0.25人工」となります。
●「人工=(1人×2時間)÷8時間」

また1人工の基準は、国土交通省が公表している「公共工事設計労務単価表」で確認できます。たとえば大阪府のサッシ工であれば「1人工27,200円」です。

人工は後述する歩掛や積算費用を求める上で非常に重要な考え方です。この記事で人工についての考え方を深めてください。

 歩掛とは

歩掛とは作業時間の手間を数値化したもので、労務費を算出するために必要な考え方です。材料費の算出であれば「材料費×数量」の式で簡単に求められます。

ただ工事費はどのように求めるでしょうか。職人さんの熟練度や作業内容によっても異なります。ベテランの職人さんであれば1時間で終わる作業内容であっても、経験の浅い方が作業すると3時間かかるケースは珍しくありません。

また標準的な工法でできる作業と、イレギュラーな方法でおこなう作業とでは、作業時間に差ができます。上記のように作業時間以外にも、現場状況や施工方法、施工難易度を考慮して決めるのが歩掛です。

歩掛を考慮せずなんとなくで積算金額を算出してしまうと、以下のような事態が発生しかねません。

●工事費が安すぎて赤字になってしまった
●金額が高すぎてそもそも受注できない

歩掛を活用して積算をおこなうことで、精度の高い積算金額が算出でき、自社の売上と利益を守ることにつながります。

 業種別の標準歩掛

建設業における歩掛は、業種や作業内容によって大きく異なります。型枠工事と鉄筋工事では必要な作業時間が異なり、左官工事や塗装工事でも現場の条件によって作業効率は変動します。標準的な歩掛を参考にしつつ、現場の状況や作業環境、季節要因なども考慮して適切な工程計画を立てることが重要です。

人工管理に関する法律と規制

建設業における人工管理は、労働基準法や建設業法など、複数の法律と密接に関連しています。労働時間管理や技術者配置要件、社会保険の加入義務など、遵守すべき項目は多岐にわたります。

特に労働基準法における労働時間管理は、働き方改革の観点からも重要性が増している分野です。これらの法規制に違反した場合、行政処分や工事成績の減点対象となることがあるため、慎重な対応が求められます。

建設業法における人工管理の位置づけ

建設業法では、適切な施工体制の確保が求められています。主任技術者や監理技術者の配置、施工体制台帳への記載事項など、人工管理は建設業法の要となる部分です。

特に工事現場への技術者配置については、下請け業者の労務管理も含めて総合的な管理が必要となります。近年では、働き方改革に伴う労働時間の適正管理も重要な課題となっています。

工管理の失敗事例と対策

人工管理における典型的な失敗として、記録の不備による労務費の過剰請求があります。これを防ぐには、出面記録の電子化やダブルチェック体制の構築が有効です。

また、技能者の配置ミスによる手待ち時間の発生も深刻な問題です。週間工程表による事前調整や作業指示の明確化で、このような無駄を減らすことができます。

人工管理(出面管理)をおこなう方法

人工管理(出面管理)をおこなう方法は、以下の2つです。

●エクセル
●人工管理(出面管理)アプリ

それぞれの方法にメリット・デメリットがあります。効率的に精度の高い人工管理(出面管理)をおこないたい場合は、人工管理(出面管理)アプリの活用をおすすめしています。

 エクセル

多くの会社では出面管理をエクセルでおこなっています。エクセルを用いる方法は、手書きの出面表を併用するのが一般的です。

作業員名や入退場時間は手書きで出面表に記載し、データの集計をエクセルでおこないます。エクセルを活用するメリットは費用がかからず、すぐに始められることです。

また作業員は手書きで良いため、新しいツールの使い方を覚える必要がなく、協力を得られやすい利点もあります。

一方で出面表は手書きのため、以下のような懸念があります。

●記載内容の間違いを確認できない
●不正を見つけにくい

また集計したデータをエクセルに打ち込む手間がかかり、その際にもミスが起きる可能性があります。加えて関数を使っている場合、関数の削除、関数の入力ミスといった人為的なミスが発生することも考えられるでしょう。

加えてエクセルに詳しい従業員がいなくなると、メンテナンスができなくなってしまうという問題もあります。エクセルでの出面管理は簡単に始められる一方で、上記のような問題があります。

このような問題を解決したい場合は、人工管理(出面管理)の活用がおすすめです。

 人工管理(出面管理)アプリ

人工管理(出面管理)アプリとは、建設業の人工管理(出面管理)をIT・デジタルの力を活用して、効率的におこなえるツールです。

アプリにもよりますが、主に以下の機能が搭載されています。

●入退場管理
●日報作成
●人工計算
●帳簿出力
●コミュニケーション機能

アプリに登録された情報は、スマホやタブレットから確認できるため、施工管理者は事務所に戻る必要がなく、自宅や外出中など場所を問わず業務をおこなえます。

人工管理(出面管理)アプリを選ぶポイント

人工管理(出面管理)アプリは非常に便利ですが、選び方を間違うと使いこなせず、費用と時間が無駄になってしまいます。人工管理(出面管理)アプリを選ぶ際は、以下5つのポイントを考慮しましょう。

●基本機能
●料金設定
●操作性
●サポート体制
●セキュリティ

特に見落としがちなのが操作性です。アプリの導入を検討している方は、操作性について読むことをおすすめします。

 基本機能

はじめに、アプリに搭載されている基本機能について確認しましょう。アプリごとに基本としている機能は異なるため、アプリによって効率化できる作業と、できない作業を分類するのが大切です。

たとえば1つのアプリで、工事関係者とLINEのようにコミュニケーションが取れるアプリもあれば、人工管理の機能だけに特化しているアプリもあります。

搭載されている機能を確認していないと、効率化したかった業務を効率化できない、別のアプリを併用しなければならないといった事態になりかねません。

アプリを選ぶ際は、基本機能を確認してアプリごとにできることと、できないことを把握しましょう。

 料金設定

次に確認するのは料金設定です。現在アプリの料金体系は「導入費+月額利用料」です。

導入費は文字通りアプリを導入する際にかかる費用です。導入費で受けられるサービスの内容は、アプリ提供会社ごとに異なっています。

アプリを導入するだけの会社もあれば、導入時の講習やエクセルや他社アプリからのデータの移行までおこなう会社もあります。

月額利用料は月々発生する費用です。導入するアプリによっては年間払いも可能で、月々費用支払うよりも安価に利用できる場合があります。

またアプリによってはオプションが用意されており、オプション料金を支払うことで以下の恩恵が受けられます。

●制限されていた機能を利用できる
●アプリの利用可能人数を増やせる
●保存できるデータ容量を増やせる

特にオプション料金を支払わないと、使いたい機能が利用できない場合があるため、基本の利用料でどこまで機能を使用できるかは必ず確認しましょう。

 操作性

人工管理(出面管理)アプリのように業務上で使用するツールは、長期での使用が前提です。ストレスなく使うためには、操作性の確認が非常に重要です。

アプリは従業員だけでなく、外注の職人さんも使用します。職人さんは高齢の方も多く、スマホやアプリに対して苦手意識を持っている方もいます。

少しでもアプリの操作性が悪いと、使い方がわからないと使用を拒否される可能性が高いです。人工管理(出面管理)アプリは工事関係者全員が活用してこそ効果を発揮します。

そのためアプリを選ぶ際は、ITツールが苦手な方でも簡単に操作できるのかを基準にするのがおすすめです。

 サポート体制

快適にアプリを使用する上で、サポート体制も非常に重要です。どのようなアプリでもトラブルや不具合は発生します。

それらが発生したときに、充実したサポートを受けられると、長期的に安心してアプリの使用が可能です。現在の主流は、質問を電話やメールでおこなうサポートだ。

加えて画面を共有しながら、ユーザーの疑問に答えてくれるサポートを提供している会社もある。ITツールにあまり詳しい従業員がいない、トラブルが起きた際には自力で解決できる自信がないという方は、サポート体制が充実しているアプリを選びましょう。

 セキュリティ

情報漏洩を防ぐ上でセキュリティは非常に大切です。アプリによっては職人さんごとの単価や現場内の機密情報が登録されるため、1度情報漏洩が起きてしまうと会社に大きな損害を与えてしまいます。

そのためアプリを選ぶ際は、どのようなセキュリティ対策を講じているのかを必ず確認しましょう。

無料で使える人工管理(出面管理)アプリのリスク

人工管理(出面管理)アプリの中には、無料で使えるものもあります。費用がかからないことがメリットですが、以下4つのリスクがあるため、導入を考えている方は注意しましょう。

●機能の追加には別料金がかかる
●データの移行に手間がかかる
●サポートが充実していない
●更新が止まっている

 機能の追加には料金がかかる

無料で使えるアプリは多くの場合、機能が制限されています。制限されている機能を使用するためには、オプション料金を支払わなければなりません。また利用人数やデータを保存できる容量が、制限されている場合もあります。

「機能が制限されているならば、複数の無料アプリを並行して使えばいいのではないか」と考える方もいるでしょう。ITツールが得意な方であれば問題ありません。ただ先述したように、人工管理(出面管理)アプリは高齢の職人さんも使用します。

そのため複数アプリを導入すると、混乱させてしまい業務の効率化につながらない、アプリの導入を拒否されてしまうといったことになりかねません。

 データの移行に手間がかかる

無料アプリを導入すると、データの移行に手間がかかる可能性があります。有料アプリはアプリの提供会社が、データの移行を代行してくれる場合があります。

一方で無料アプリは自社でデータの移行をおこなう必要があり、知識のある方がいないと非常に手間取ります。2つの業務用ツールにバラバラにデータが保存されていると、欲しいデータを都度探す手間がかかり、業務を効率化できません。

 サポートが充実していない

無料アプリはサポートが多くのケースでサポートが充実していません。

●メールの返信が遅い
●電話がつながらない
●そもそもメールと電話に対応していない

先述したように、どのようなアプリであってもトラブルや不具合は発生します。その際にすぐにサポートを受けられないと、業務が止まる可能性が高いです。

業務が止まってしまうと、遅れを取り戻すために残業せざるを得なくなり、払う必要のなかった残業代が発生してしまいます。

 更新が止まっている

無料アプリは更新が止まっているなど、最新の法律やルールに対応していない場合があります。また不具合がそのまま放置され、アプリを使用する上での足かせになるケースもあります。

更新頻度はアプリを選ぶ上でも非常に重要です。導入当時は更新されていても、使用を続けるうちに更新が止まるケースもあるでしょう。そのため無料アプリを導入する場合は、更新が止まるリスクも考慮する必要があります。

 コンプライアンスとセキュリティ対策が甘い

デジタル化の進展に伴い、情報セキュリティの重要性も増しています。個人情報の適切な管理はもちろん、アクセス権限の設定やデータの暗号化など、包括的な対策が必要です。

定期的なセキュリティ研修を実施し、従業員の意識向上を図ることも重要な取り組みとなっています。

 データバックアップと情報管理が不足している

人工管理に関するデータの消失は、労務費の計算や工程管理に重大な影響を与えます。クラウドストレージの活用やバックアップの定期実施など、適切な管理体制の構築が不可欠です。

また、データの復旧手順を整備し、アクセスログを保管することで、不測の事態にも迅速に対応できる体制を整えることが重要です。

工務店業務を効率化するなら「AnyONE」

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工務店業務全般を効率化したいなら「AnyONE」導入がおすすめです。AnyONEとは、導入企業数が3,300社を超えている建設業向けの業務効率化システムです。

ユーザー数は13,000人を超え、お客様継続率は驚異の99.4%に達しています。これまでバージョンアップは5,300件以上をおこなっており、常にユーザーの声を取り入れ、使い勝手を向上させています。

AnyONEは以下の業務の効率化が可能です。

【AnyONEの機能】
●顧客管理
●帳票管理
●見積作成機能
●工事管理
●物件管理
●実行予算管理
●支払い管理
●請求・入金管理
●図面・写真管理
●アフター・メンテナンス管理

特にAnyONEで人気の機能が、見積書の作成機能です。AnyONEはエクセルと似た操作感を持っており、誰でも簡単に見積書の作成がおこなえます。

CADソフトとの連携も可能で、材料の拾い出しを自動的におこない業務の手間を軽減することが可能です。また関数の知識がなくても、見積り金額の自動計算が可能で、誰でも見積り業務を効率的にこなせます。

さらに、過去案件の見積りデータを流用することも可能で、経験の浅い方であっても精度の高い見積書を簡単に作成できるでしょう。

AnyONEを導入した有限会社堀内建材様は、見積り作成の時間が1日から半日に短縮されました。
※詳しい導入事例はこちら

AnyONEは新開発の機能にも積極的です。現在は人工管理(出面管理)の開発を進めています。AnyONEで労務管理ができるようになると、他のツールを使う必要がなくなり、月々の支出を下げることができるでしょう。

AnyONEはユーザーの声をもとにバージョンアップを繰り返しているため、継続して使用するほど使い勝手が良くなるシステムで、工務店の規模を問わずおすすめできます。

まとめ

この記事では人工の考え方、人工管理(出面管理)アプリの選び方、無料アプリのリスクについて解説しました。

人工管理(出面管理)を選ぶポイントは以下の5つです。

●基本機能
●料金設定
●操作性
●サポート体制
●セキュリティ

しかし、「選ぶポイントがわかっても、自社に適したアプリを選ぶ自信がない」という方もいるでしょう。そのような方は複数のアプリを比較して、より自社に合うものを選ぶことがおすすめです。

下記の資料は複数アプリとの比較検討をおこなっています。どのようなアプリがあるか知りたい、アプリごとの機能を一覧で確認したいという方は、下記のリンクから資料をダウンロードしてください。

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記事監修:佐藤主計
保有資格:1級造園施工管理技士、2級土木施工管理技士
建設業界に携わり30年。公共工事の主任技術者や現場代理人をはじめ、造園土木会社の営業マン・工事担当者として、数万円から数千万円の工事まで幅広く担当。施工実績は累計約350件にものぼる。


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