【2022年】建設業のM&A動向は?成功ポイントや事例集

【2022年】建設業のM&A動向は?成功ポイントや事例集

M&Aとは、企業の合併買収です。建設業では、「後継者不足」や「建設のトータルサポート」、「市場の回復」を背景に、M&Aが活発化しています。建設事業者の7割は後継者不足に悩んでいるため、M&Aが有効な一手となるでしょう。

今回は、M&Aの概要やメリット、成功のポイント、事例について解説します。

M&Aとは?

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業の合併買収です。複数の企業が一つとなったり、ある企業が別の企業を買いとったりすることです。
売り手と買い手、それぞれにメリットのある取引で、建設業界においては、後継者不足や事業継承の問題を解消するための一手となるでしょう。

主なM&Aの手法は、以下の通りです。

・株式売買:売り手企業の株式を譲渡する代わりに、株主に現金が支払われる
・合併:買い手企業に吸収され、買い手企業の株式(現金でも可)を株主に交付する
・株式交換:売り手企業の株式をすべて譲渡し、株主に買い手企業の株式または現金を交付する
・会社分割:事業(一部もしくは全部)を買い手企業に継承し、買い手企業の株式を株主に交付する
・事業譲渡:売り手企業の事業を譲渡する代わりに、株主に現金が支払われる

売り手側のメリット

譲渡企業には、以下のメリットがあります。

・事業の存続
・従業員の雇用の安定化
・事業拡大のチャンス
・技術、ノウハウの継承
・経営基盤の強化
・個人保証(経営者保証)の解除
・創業者利益の享受

経営不振や後継者不在のために廃業を選べば、今いる従業員を失業させることに。経営力の強い企業に譲渡することで、従業員の雇用を確保し、さらなる活躍の場を与えられます。

経営者としても「個人保証」(融資の返済を個人が保証すること)を解除して、残りの返済を買い手側に引き継いでもらうことも可能です。また、M&Aで株式譲渡を選べば、株式の譲渡益を獲得できる可能性もあるでしょう。

買い手側のメリット

譲受企業には、以下のメリットがあります。

・事業拡大
・新規事業への参入
・人材の獲得
・技術、ノウハウの獲得
・複数事業による相乗効果(経営の多角化)

買い手が同業種であれば、売り手企業の営業エリアや既存顧客を獲得し、販路拡大につなげられます。また、少子高齢化による人材不足を解消し、売り手企業の技術・ノウハウを獲得できます。

別業種であっても、新たなビジネスに参入障壁なく、事業展開が可能です。自社で展開している事業との相乗効果も期待できるでしょう。

【売り手側】M&Aの成功ポイント

より好条件でM&Aを成功させるポイントを解説します。

・業績の向上
買い手企業は、主に事業拡大やシナジー効果を狙って、M&Aをおこないます。これからの成長を期待できる魅力的な企業として評価してもらうため、経費削減や利益率の向上に努めるといいでしょう。

・就業規則などの整備
就業規則や社内マニュアルは、整備しておきましょう。これらが未整備では、「ずさんな管理体制の企業」と判断されかねません。企業としてあって当然の規則などは整えておくべきです。

・役員への業務の権限委譲
特に中小零細企業では、社長のワンマン経営で事業が成り立っていることがしばしばです。「社長が代われば、事業が回らないのでは」と懸念されることも。早めに役員に業務の権限を委譲し、いつでも交代できる体制を構築しておきましょう。

・資産や株主の整理
公私をわきまえ、事業に必要ない資産を処分しましょう。また、株主の数が増えすぎていたり、事業に好ましくない株主がいる場合には、整理してください。特に、株主との関係が複雑となると、M&Aを避けられる可能性もあります。

【買い手側】M&Aの成功ポイント

M&Aのメリットを最大限享受するために、ポイントを解説します。

・ビジョンの明確化
そもそも、何のためにM&Aをおこなうのかを明確にしてください。5年後、10年後の経営ビジョンを達成するために、事業を取得することが肝要です。やみくもに「良い話があるから」と判断を急ぐことは避けましょう。

・相乗効果とリスクの把握
事業の取得により、既存事業とどのような相乗効果が期待できるかを考えましょう。目に見える短期的な効果だけでなく、目に見えない長期的な効果をも分析してください。
また、「営業エリアが重複している」「管理体制がずさん」などのリスクも懸念されるため、売り手企業をよく調べることが大切です。

・投資対効果
財務の観点からも、冷静な分析が必要です。好条件、人気の企業であれば、売買価格は高くなるでしょう。しかし、売買価格だけで判断せず、「自社にとって最適な売り手企業はどこか」という視点を持ちましょう。

・売り手企業の譲渡理由
一方で財務に限らず、売り手企業の事情を把握することも大切です。「何のために事業を売却するのか」を、表面的な理由だけでなく、真意を含めて確認しましょう。「社長の病気のため」という理由が、実は、「社長と役員の不仲」となっているかもしれません。後のトラブルを防ぐためにも、きちんと把握すべきでしょう。

【2022年】建設業のM&A動向

これまで建設業は、M&Aをおこないにくい業種として考えられていました。しかし、昨今では、後継者不足や事業継承問題を解消するため、活発におこなわれるように。具体的なポイントは以下を挙げられます。

・深刻な後継者不足
帝国データバンクの2019年調査によると、「後継者がいない」と回答した企業の全国平均は約65%でした。しかし、建設業は70.6%と高い数値に。建設業者が約46万社あることを考慮すれば、かなりの数の建設業者が後継者不足に悩んでいることがわかります。解決のためにM&Aを選ぶこともあるでしょう。

・建設のトータルサポート
ハウスメーカーや不動産会社、工務店など、関連している業種間でのM&Aが盛んとなっています。ウッドショックによる資材高騰、人手不足による人件費高騰への対策としてM&Aをおこない、自社でトータルサポートできるよう経営戦略がシフトしているためです。

・建設市場の回復や成長
2018年〜2020年の住宅着工戸数は、消費税増税前のかけ込みラッシュ減や、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、80万戸ギリギリまで下がっていました。しかし、2021年からは回復基調にあり、2022年2月までの新設住宅着工戸数は6万4,614戸(前年度比6.3%増)で、12ヶ月連続の増加となっています。
今後も市場回復が期待されるため、事業拡大を狙ったM&Aがおこなわれるでしょう。

建設業のM&A事例集

具体例を紹介します。

工務店が売り手となった事例

ヤマダ電機グループのハウスメーカーである「ヤマダホームズ」。ヤマダホームズは、徳島県で注文住宅自事業を展開する「さくらホーム」のM&A(完全子会社化)に、2020年3月に成功しました。

さくらホームは、完全自由設計住宅と規格型住宅の双方を提供する事業を主におこなってきました。

M&Aの目的は、さくらホームの耐震・省エネに強い技術と、ヤマダ電気グループの住宅設備・家電・家具との経営資源を組み合わせ、相乗効果を狙ったものです。

工務店が買い手となった事例

愛知県で注文住宅事業・リフォーム事業・不動産事業を展開する「安江工務店」。注文住宅事業では、オリジナル規格の住宅設計、モデルハウスの設置を中心におこなっています。

安江工務店は、大阪でリフォーム事業と不動産事業を展開している「MIMA」とのM&A(完全小会社化)に、2020年10月に成功しました。

M&Aの目的は、MIMAの技術・ノウハウと、安江工務店の既存顧客やITシステムとの相乗効果により、大手ハウスメーカー・ビルダーとの競争力強化を狙ったものです。

まとめ

M&Aは売り手・買い手、双方にメリットのある取引です。
経営基盤の強い建設事業者は、買い手となって規模拡大を目指すこともできるでしょう。また、後継者不足解消のために、売り手となる場合は、「業績の向上」や「就業規則の整備」など、今からできることに取り組んでください。

M&Aは準備や契約に時間がかかるため、早めに対策を講じるといいでしょう。

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