アスベスト調査報告が義務化!工事の流れや罰則について解説

アスベスト調査報告が義務化!工事の流れや罰則について解説

2020年からアスベストの事前調査は義務化されていました。2022年4月には、さらに調査結果の「報告」義務が追加されます。これらの規定に違反すれば、アスベスト解体工事に関連する補助金を申請できず、また罰則の対象となることに。

今回は、アスベスト調査の概要や、報告・工事の流れ、罰則について解説します。原則としてすべての解体・改修工事に関わってくるため、最後までお読みください。

アスベスト調査の義務化とは

そもそもアスベスト(石綿)とは、自然界にある「繊維状ケイ酸塩鉱物」の総称です。アスベストにも種類がありますが、法規制の対象は、繊維状のアクチノライト・アモサイト・アンソフィライト・クリソタイル・クロシドライト、トレモライトです。

アスベストを吸い込むと、肺がんや悪性中皮腫、石綿肺の健康被害が懸念されるため、日本国内では現在、製造・輸入・新規使用が認められていません。アスベストを含む建材(0.1重量%を超えるもの)は、労働安全衛生法により2006年9月から製造・使用の一切を禁止されています。

新規の建築物はアスベストを含む建材が使用されませんが、2006年以前の建築物は使用されている可能性があります。このような背景から建物を解体・改修する前に、アスベスト調査の義務化が決定されました。

義務化の開始時期

アスベストの事前調査は2020年より義務化されています。さらに、2022年4月からは調査結果の「報告」を義務化されました。調査結果を報告しなければ、工事に関する補助金を申請できません。

対象となる工事

事前調査は、原則としてすべての工事が対象となります。工事規模や請負金額は関係ありません。
ただし、下記の条件を満たす工事は、施工業者が前もって労働基準監督署および自治体に、事前調査結果を報告しなければなりません。

・解体部分の床面積が80㎡以上の解体工事
・請負金額が税込100万円以上の改修工事
・請負金額が税込100万円以上の一定の工作物の解体・改修工事

なお、電球交換などの軽作業、道路の補修作業など、一部の作業についてはアスベスト調査が免除されます。詳細は、環境省が発表している「大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行等について」の「建築物等の解体等工事」を参照するか、各自治体の窓口に問い合わせてください。

怠った場合の罰則

アスベスト事前調査の報告を怠ると、大気汚染防止法に基づき、30万円以下の罰金を科せられます。また、アスベスト除去などの措置義務に違反すると3月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。

アスベスト調査・報告の流れ

アスベスト調査は、大きく以下の流れで進めます。

①専門家に依頼
②書面および現地調査
③報告書作成

①専門家に依頼

アスベスト事前調査は、アスベストに関する知識と、建築物の調査に精通した専門家に依頼しなければなりません。具体的には、建築物アスベスト含有建材調査者、一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者、アスベスト作業主任者のうちアスベスト除去作業の経験を有する者などが対象です。

さらに、2023年10月からは、厚生労働省が実施するアスベスト調査の講習を修了していることが追加条件となります。

②書面および現地調査

設計図書などでの書面調査と、目視での現地調査は必須です。場合によって、現地で採取したサンプルをアスベストの定性分析にかけることとなります。アスベストの定性分析とは、アスベストの含有率が0.1%を超えるかどうかを分析するものです。

設計図書などの書面だけでアスベストの有無を判断するのではなく、できるだけ建築物に赴いて部屋ごと・部位ごとの状況を確認しましょう。

③報告書作成

調査結果をもとに報告書を作成します。作成した報告書は、労働基準監督署や自治体に提出しましょう。解体工事開始の14日前までに提出しなければなりません。報告書は3年間の保存が義務づけられています。

また、実際に解体工事を進める際には、工事に関わるすべての建材についてアスベスト含有の有無を掲示しなければなりません。もしアスベストが一切無かったとしても、掲示しましょう。掲示は、施主ではなく元請業者が担当します。

アスベスト除去工事の流れ

除去工事の流れについて解説します。

必要な届け出

除去工事に際しては、以下の届け出をしなければなりません。

①建築物解体等作業届
アスベスト障害予防規則に基づき、石綿含有温材、石綿含有耐火被覆材、石綿含有熱材の解体などでは、工事開始日までに「建築物解体等作業届」を労働基準監督署に提出します。提出時には、建築物または工作物の概要に関する図面を添付しましょう。

②特定粉じん排出等作業実施届
大気汚染防止法により、吹付けアスベスト、アスベスト含有断熱材、アスベスト含有耐火覆材、アスベスト含有保温材の建材を除去する場合は、「特定粉じん排出等作業実施届」を自治体などに届け出ることが定められています。提出期限は、工事開始の14日前です。

③工事計画届
労働安全衛生法に基づき、耐火・準耐火建築物の吹付けアスベストを除去する場合には、「工事計画届」を提出します。提出期限は、工事開始の14日前まで。労働基準監督署宛に提出します。
「工事工程表」や「図面」、「整理台帳」、「技術基準適合比較表」などの書類も必要となるため、ご注意ください。

除去工事の実施

除去工事は、おおまかに以下の流れで実施します。

①近隣の店舗・住民などへの挨拶
工事実施によるトラブルを防ぐため、あらかじめ挨拶を済ませてください。現場の担当者だけでなく、施主と一緒に訪問して、工事の進め方や注意点を説明しましょう。
アスベストの粉塵による健康被害があるため、挨拶が抜けると後に大きな問題となるかもしれません。

②除去工事の実施
一般の工事よりも安全対策に気をつけてください。実施時には、工事内容(有害性など)についての掲示物を掲げ、工事関係者以外の立ち入り禁止を徹底しましょう。

作業時には、建物周辺で足場を組み、養生シートで建物を覆います。工事中にアスベストが周辺に飛散しないよう、ブロックしてください。作業員にもマスクや保護衣、作業衣を着用させることが義務づけられています。

基本的には、先に建具や住宅設備機器などを撤去してから、アスベスト飛散防止策を実施したうえで、壁や天井などの除去作業をおこないます。アスベストの除去を終えたら、屋根や外壁、基礎などの解体に移りましょう。

③アスベストを廃棄
アスベストは、特別管理産業廃物の「廃石綿等」として処理しなければなりません。収集や運搬、処分の方法が定められています。通常の廃棄物とは扱いが異なる点に注意しましょう。

アスベスト調査・除去工事の補助金

アスベストの除去は、通常の解体工事に比べると100~200万円ほど費用が高くなるといわれています。もちろん、建築物の形状や施工条件によって金額は異なりますが、費用負担があることを理解しておきましょう。

しかし、費用負担を理由に、有害性のある建築物が放置されてしまう可能性もあります。そこで、国や自治体は、「アスベストの事前調査」や「アスベスト除去工事」にかかる費用に関する補助金を設けています。補助金を利用すれば、費用負担を押さえて調査・工事をおこなえるため、まずは自治体の窓口に相談してはいかがでしょうか。

まとめ

アスベスト調査報告を怠ると、補助金申請が認められないだけでなく、罰則の対象となります。今後、企業で解体・回収工事を請け負う際には、ほぼ必須となるでしょう。調査を依頼できる専門家や報告書内容、工事実施の流れについて理解しておくことが大切です。

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