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ウッドショックとは、木材の供給不足によって価格が高騰することです。2021年になってから注目を集めるようになりました。
この記事ではウッドショックの概要と主な原因、終わりの見通しなどについて解説します。
また、ウッドショックへの対策についても取り上げているため、ウッドショックの動向が気になっている工務店担当者は参考にしてください。
(※本記事は、2022年5月29日時点の情報です)
INDEX
ウッドショックとは、供給不足によって木材の価格が高くなることです。
住宅を建てる場合、柱や梁、さらには建物の土台などに木材を使用しますが、この木材が2021年〜2022年現在不足状態に陥っており、価格高騰に伴い建設業かいに大きな影響を及ぼしています。
経済産業省の調査では、木材や木製品、林産物全体の輸入価格が2021年に入ってから急上昇したことがわかりました。
2022年に入ってからは、集成材や製材はピークを超えて、下落しつつあります。一方、合板や丸太は少しずつ上昇する傾向にあります。
【引用】どうなったウッドショック;価格の高止まりが需要を抑制?-経済産業省
また、製材に関しては、特にアメリカからの輸入価格が高騰しています。2021年9月の価格は、前年末と比べて約2.75倍になっているなど、2021年に入ってからの高騰が顕著です。
2021年末からは下落に転じたものの、大幅な下げ値とはならず、2022年はこのまま高値を維持するかもしれません。
【引用】どうなったウッドショック;価格の高止まりが需要を抑制?-経済産業省
ウッドショックが引き起こされた主な原因としてあげられるのが、以下の3つです
● 日本の建設業者が輸入材に依存
● 新型コロナウイルスの影響
● アメリカでの木材需要の高まり
日本の住宅メーカーや工務店では以前より、国産の木材ではなく主に輸入材を使用して家を建ててきました。
これは第二次世界大戦中に森林を伐採したことで、戦後、住宅需要が高まっていたにもかかわらず、国産の木材を供給できず、輸入材に頼らざるをえなかったためです。
また、木材は植林してから実際に使用できるようになるまで30年以上かかるとされており、日本は長年にわたって輸入材に頼ることとなりました。
このような背景もあり、供給量が減ったからといって急に国産の木材で供給を全てカバーするといったことはできず、ウッドショックに直面しています。
また、2020年以降は新型コロナウイルスの影響により、製材工場の稼働率が低下したほか、コロナ禍でインターネットショッピングが増加したことで世界的なコンテナ不足に陥り、日本に木材が届きにくくなっています。
このような状況も日本のウッドショックに拍車をかけています。
コロナ禍でリモートワークが増えたことで、アメリカでは自宅の改修や新築住宅の建設が増加しました。アメリカの住宅需要が伸びたことで、世界的に木材の需要も増加し、さらに日本に木材が届きにくい状況となっています。
このように、従来の日本の傾向に加え、昨今の社会情勢の影響によってウッドショックは引き起こされています。
ウッドショックがいつまで続くのか、という問いに明確な答えはありません。
大手ハウスメーカー経営者は、「コロナ禍以前の価格には戻らない可能性もある」と予想します。
住宅需要が高まっているアメリカでは近年、新築住宅を建てる中心世代である「Z世代(25〜34歳)」、「ミレニアル世代(35〜44歳)」の人口が増えてきました。2021年12月時点でも、数百万の住宅が不足しているといわれています。
今後も高い住宅需要を維持することになれば、木材の価格が戻らない可能性も否定できません。
2022年2月から続く、ロシアのウクライナ侵攻も影響を及ぼしています。
ロシアは3月9日から日本を含む非友好国への、木材の輸出を一部禁止しました(2022年末までと発表)。
日本がロシアから輸入している木材は多くありません。しかし、ロシアは世界各国に木材を輸出しており、世界規模で不足が続いているのです。
このようにあらゆる要素が絡み合って市場価格は変動するため、国内の住宅価格が落ち着くまでには今しばらく時間を要すと考えられるでしょう。
工務店はこういった状況を踏まえて対策を講じる必要があります。
【参考】LIFULL HOME’S PRESS
【参考】CHANTO WEB
ウッドショックはこれから先も続く可能性があるため、木材価格が高騰しても受注数を減らさないように取り組むことが大切です。
ここではウッドショックへの具体的な対策について解説します。
建設業のように大量生産ができない製品を扱っている場合、顧客管理を徹底しておこなうことで、既存顧客にリピーターになってもらうことが重要です。
また昨今では、市場にたくさんの製品があふれているため、新規顧客を獲得するコストの方がリピーターを作るよりも高いとされています。
このような状況もあり、徹底した顧客管理は必要不可欠です。
自社の顧客はどのような属性で、どういったニーズを持っているのか、住宅を建ててどのくらいの年数が経過しているのかといった情報を抜け漏れなく管理することで、適切なタイミングで顧客にとって最適な提案をできます。
顧客のニーズに沿った提案をすることで、顧客満足度が向上し、良好な関係構築やリピートにつなげていくことができるはずです。
IT技術を活用したシステムやツールなどを利用してビジネスを変革する「DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)化」に取り組むことで生産性を向上させられるため、結果的にコスト削減につなげることができます。
DXという言葉から、難しい取り組みをイメージする人もいるかもしれませんが、決して難しいことをおこなうわけではありません。
例えば、モデルハウス経由の集客だけでなく、Webサイトを充実させインターネット経由の集客に取り組む、ブログやSNSなどを活用して自社の情報を積極的に発信するといったことなどもDX化の一つです。
昨今では、スマートフォンを利用して情報収集に取り組む人が多いため、Webサイトを構築する際は、スマートフォンで見やすいデザインとすることがポイントとなります。
そのほかにも、業務管理ツールを導入して情報を一元管理することもDX化の例として挙げられます。
業務管理ツールは各社から展開されていますが、工務店の業務に特化したAnyONEでは、顧客情報や見積作成、工事・施工管理、工程表作成、受発注管理、入出金管理など業務に関するあらゆる情報を集約できます。
必要な情報にアクセスしやすい状況ができあがるため、業務効率化を実現できるでしょう。
標準原価を見直し、コスト改善に取り組むことで、無駄な出費を抑えられるため、木材価格の高騰にも対応しやすくなります。
具体的には、標準原価と実際原価の差異を分析し、標準原価のどこに問題があるのか洗い出したうえで、対策を検討します。
例えば、資材の調達を変更する、工法を見直すといったことができるかもしれません。
今回は、ウッドショックについて、その概要や原因、工務店がウッドショックの影響を受ける理由、具体的な対策などについて解説しました。
ウッドショックは、長年にわたって輸入材を頼ってきた日本の習慣に加え、昨今のコロナ禍の影響などによって引き起こされています。
ウッドショックがしばらく続く可能性も考えられるため、企業は顧客管理やDX化の推進、コスト改善などに取り組むことで、木材価格が高騰しても受注数を減らすことなく工事に取り組める体制を整えることが大切です。
身近なところからウッドショックに対応していきたい、といった場合はAnyONEのような業務管理システムの導入を検討してみてはどうでしょうか。
なお、以下のコンテンツではAnyONEを含めた業務管理システムの機能比較をおこなっています。業務システムの導入を検討している、興味があるといった方はこちらもご覧ください。
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