建築業では工事を受注した場合、一般的に工事注文書が必要です。工事注文書を作成していないと、口約束でのトラブルが発生したり、帳簿書類の保存義務を果たすことができません。必ず作成しましょう。

今回は、工事注文書の概要から発注書・注文請書との違い、具体的な作り方などについて解説します。
工事注文書の概要を理解したい方、エクセルを使って工事注文書を作成したい工務店の担当者などは参考にしてください。

工事注文書とは？

工事注文書とは、工事の発注者が受注者に対して作成する契約書類の1つです。取引先の名称や合計金額、支払い方法や納期などに関する情報が記載されています。
ここでは、工事注文書を作成する役割と、具体的な保存期間について解説します。

　 工事注文書の役割

工事注文書は、「工事を発注します」という意思を取引先に示すという役割を持っています。工事注文書を受け取ることで、受注企業は発注者の正式な依頼として仕事に取り組むことができます。
口約束であいまいなまま受注してしまうと、後々に「言った・言わない」のトラブル・クレームにつながりかねません。工事内容の詳しい情報を1つの書類にまとめて記載し、書面で残すことで、受発注者間での認識のズレを未然に防げるでしょう。

　 工事注文書の保存期間

工事注文書は、確定申告の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。これは法人税法上、工事注文書が帳簿書類として扱われるためです。
なお保管は原則として、紙で行わなければなりません。たとえ電子契約を結んでいたとしても、紙に印刷したうえで保管することが基本です。ただし、事前に税務署長からの許可を得られれば、電子契約書類のまま保管することもできます。

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注文書と発注書、注文請書の違い

注文書と似た言葉に、「発注書」があります。両者は言葉が違うだけで、法律上の違いは特にありません。
ただし、企業によっては取引対象の違いによって注文書と発注書を使い分けているケースも見られます。例えば、素材や原料を加工することなく使用している場合は注文書、加工を伴う場合は発注書という形で使い分けている企業もあります。
このように企業ごとに使い方が異なるケースもあるため、不明である場合はあらかじめ確認しておくといいでしょう。

また発注書以外にも、注文書と「注文請書」を混同してしまうケースもあります。注文請書とは、注文を引き受ける意思を示すための書類であり、発注する意思を示す注文書とセットで使用されます。注文書は発注者が作成しますが、注文請書は受注者が発行します。

工事注文書の作り方

工事注文書は具体的な書式が決まっているわけではありませんが、以下のような情報を入力して作成するのが一般的です。

ここでは、工事注文書の作成方法について解説します。

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　 工事注文書に記載する項目

工事注文書に記載する主な項目には以下のようなものが挙げられます。

● 文書のタイトル
● 宛名
● 注文ナンバー
● 発行日
● 作成者名・発注元の企業名・住所・電話番号・メールアドレス
● 合計金額・工事金額・消費税額
● 工事名・工事内容・工期・施工場所・支払い条件
● 発注する商品名とその仕様・摘要・数量など
● 備考

文書のタイトルは、「注文書」や「発注書」と記載されることが一般的です。また、宛名は工事を受注する企業名を記載してください。
注文ナンバーに関しては、社内で管理番号などを割り振っている場合は記載しましょう。
合計金額は、工事金額と消費税額をそれぞれ分けて記載したうえで、その合計金額を記載します。

さらに、納期や支払い条件などが決まっている場合はこちらも記載してください。
備考欄は使用しないケースもありますが、注意点を書いておきたいときなどに活用できるため、用意しておきましょう。

以上のような項目を含めて工事注文書を作成してみてください。

　 工事注文書作成時の注意点

工事注文書を作成では、以下の点に注意しましょう。

書類に記載する本文はできるだけ短くしてください。
具体的には「下記の通り注文申し上げます。」や「標記の件について、注文いたします」といった部分を省きましょう。文章が長くなると、受注者がわかりにくくなるため、必要最低限の文章で問題ありません。

企業によっては、注文書を注文請書として使用するケースもあります。この場合、印紙が必要になることもあるため注意してください。具体的には、「税抜の契約金額が1万円以上でなおかつ電子契約でない」場合、印紙を貼り付けなければなりません。

そのほかにも、工事注文書をネット上のテンプレートを使用せず、社内でゼロからを作成することもあるでしょう。ワードやエクセルなど使用するソフトにより、作業効率に差が生まれます。
ワードは文書作成用のソフトであるため、注文内容は全て作成者自身が入力しなければなりません。一方で、エクセルは表計算ソフトであるため、計算機能を備えています。税抜金額や合計金額、小計などを自動で計算でき、作成の手間が軽減されるでしょう。

帳票管理にはAnyONEがおすすめ！

「工事注文書をより効率よく作成したい」、「帳票管理にかかる手間を軽減したい」場合には、業務効率化ツールの利用がおすすめです。ここでは、建築業・工務店向けの業務効率化ツール「AnyONE」を紹介します。

AnyONEは、実行予算や見積書の内容を踏まえて発注者情報の作成が可能です。作成した発注者情報は発注データとして保存され、発注が確定すると自動的に注文書の印刷画面が立ち上がる仕組みとなっています。
担当者は工事注文書を一から作成する必要がなく、ボタンを押すだけで工事注文書を印刷できます。AnyONEで作成する工事注文書は、統一された書式であるため、作成者によって内容が異なる心配もありません。

また、印刷だけでなくエクセルへの出力も可能です。作成した工事注文書はPDFにしてそのままメール送信することもできます。取引先企業のメールアドレスをあらかじめマスター情報に登録し、発注書送信時のメールタイトルと本文を登録しておけば、工事発注書作成後はボタン1つで送信できるでしょう。

AnyONEは、工事発注書をはじめとした各種帳票の作成管理に対応しています。導入によって、帳票作成・管理にかかる負担が大幅に軽減されるでしょう。業務請負効率化を図りたい企業での導入にもおすすめです。

まとめ

今回は、工事注文書に関して、その概要から具体的な役割、保存期間、作成方法、作成時の注意点などについて解説しました。工事注文書は、工事を注文する意思を正式に認める書類です。特定の書式があるわけではありませんが、記載する項目はおおよそ決まっています。今回の内容を参考に工事注文書作成に取り組んでみてください。

なお、以下のコンテンツでは、AnyONEを含めた業務効率化ツールの機能比較を行っています。業務効率化ツールの導入を検討している方やどういった機能があるのか知りたい方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。