近年、メディアなどで「SDGs」という言葉を見かける機会が多くなりました。一方で、言葉を聞いたことはあるものの、いまいちどういったものか理解できていない人もいるでしょう。

この記事では、SDGsの概要から工務店におけるSDGsの取り組みやアプローチ方法について解説します。自社でSDGsを推進したい担当者は参考にしてみてください。

SDGsとは？

SDGs（エスディージーズ）とは、「持続可能な開発目標」のことです。正式には「Sustainable Development Goals」と言い、略してSDGsと呼ばれています。

SDGsは、2015年9月に行われた国連サミットにおいて、2001年に策定された「ミレニアム開発目標（MDGs）」の後継として採択され誕生しました。

SDGsでは、持続可能な世界を実現するために17のゴールと169のターゲットが設定されています。17のゴールの例としては、「貧困をなくそう」、「飢餓をゼロに」、「全ての人に健康と福祉を」、「質の高い教育をみんなに」、「住み続けられるまちづくりを」などが挙げられます。

ゴールの中には、工務店の事業や業務と関係がある項目も少なくありません。

工務店におけるSDGsの取り組み

ここでは、工務店におけるSDGsの捉え方や取り組みなどについて解説します。
工務店の中には、「SDGsはあくまで政府や機関が実施するもので、工務店とは関係性が薄い」と考えている方もいるかもしれません。しかし、今後企業に対する評価に「SDGsへの取り組み」が含まれると考えられるため、参考にしてください。

　 【建築業界】SDGsの捉え方

工務店の取り組みについて触れる前に、大枠として建築業界がどのようにSDGsを捉えているのかを解説します。

建築業界は、住宅などの建築を通したまちづくりやインフラ構築、さらには省エネや環境保護などに取り組んでいます。そのため、事業や理念そのものがSDGsに当てはまっていると考えられるでしょう。

実際にSDGsの17目標のうち、建築業界に関連している項目はいくつもあります。

・安全な水とトイレを世界中に
・エネルギーをみんなに そしてクリーンに
・産業と技術革新の基盤をつくろう
・住み続けられるまちづくりを
・気候変動に具体的な対策を
など

事業を通してこれらに継続して取り組むことは、自社の成長はもちろん、企業イメージの向上にもつながります。また、SDGsへの取り組みをまだ始められていない企業も、上記のような点を意識することで、経営方針や業務の見直しができるでしょう。

このように建築業界は、SDGsに比較的取り組みやすい業界だといえます。

　 【工務店】SDGsへの取り組み

工務店がSDGsに取り組む場合、「ZEH」や「LCCM」、「BELS」などが考えられます。

ZEH（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）とは、断熱や省エネ、創エネなどによりエネルギー収支がほぼゼロになる住まいのことです。
具体的には、断熱性能のある住宅に高効率機器や太陽光発電などを組み合わせます。
新築を検討しているお客さまに対して、ZEHを提案できる体制を整えておくことで、スムーズにSDGsに取り組めるでしょう。

LCCM（ライフ・サイクル・カーボン・マイナス）とは、CO2の排出を抑えつつ、太陽光発電などを活用して再生可能エネルギーを創出し、長期的にみてCO2の収支をマイナスにする住宅のことです。
SDGsにおいては、「気候変動に具体的な対策を」「陸の豊かさも守ろう」などCO2の排出に関連するゴールも設定されています。
工務店は、LCCMを実現することで、将来のCO2排出量削減に貢献することが可能です。

BELS（建築物省エネルギー性能表示制度）とは、Building-Housing Energy-efficiency Labeling Systemの略称であり、建物の省エネ性能を評価、認定する制度のことです。
評価は、建築物省エネ法に基づき正式に登録されている第三者機関によって行われるため、メーカーなどが独自で行う評価よりも信頼性は高いといえるでしょう。
また、新築住宅はもちろん、既存の建物も評価可能です。

このように、工務店がSDGsへの取り組みとして持つ選択肢は多岐にわたります。

【建築業界】SDGsの事例

建築業界におけるSDGsの取り組み事例を紹介します。SDGsの重要性は理解できたものの、「より具体的に自社で何ができるのか探りたい」方は参考にしてください。

　 ナカザワ建販株式会社

ナカザワ建販株式会社では、再生可能エネルギーを活用する「太陽光発電システム」や災害に強いレジリエンス商品「蓄電池」「V2H」「スマートエルラインライト」などの販売を強化しています。

また、本社や支店、複数の工場などに太陽光発電システムを設置して年間135万kWh発電。これは、1年間で東京ドーム7.8個分の森林が吸収する二酸化炭素を削減したことになります。

さらに、独自に下記の27項目の取り組みを行い、SDGsの実現に貢献しています。
自社にも取り入れられる項目がないか、検討してはいかがでしょうか。

1. 働き方改革を推進し、働きがいのある会社を目指します
2. 「ホワイト企業認定」の取得を目指します
3. 充実した福利厚生
4. 多様性（ダイバーシティ）を尊重した制度設計
5. サービス向上への取り組み（サポートセンター設置）
6. 教育制度
7. 職場環境の整備
8. ICT・IT技術を活用し業務を効率化
9. 大工などの職人の自社育成
10. 文書管理システムでの一元管理
11. ニューノーマル（新しい生活様式）への対応
12. エシカルパートナーとの活動
13. ISO新規取得
14. ブルー・グリーンインフラの普及促進
15. プレカット化の推進
16. HES配送で情報の見える化とジャストインタイムを実現
17. 倉庫内車両を完全電化
18. 木造躯体供給
19. 省エネ・創エネ・蓄エネ商材の販売
20. ペーパーレス化による経費削減と業務の効率化
21. 梁断面算定プログラムや最先端の計算理論に基づいたシミュレーションを導入
22. 環境に配慮した製品の販売
23. 海外との連携
24. 梱包レス配送の推進
25. 安心安全・快適商品の販売
26. 資源の再利用
27. 中大規模木造工事

　 株式会社竹中工務店

株式会社竹中工務店では、シンガポールに高層オフィスビルを建築しており、こちらのビルがシンガポールで賞を受賞しました。
建築業におけるビジネスやデザインの革新が可能となるワークフローであるBIM（Building Information Modeling）による設計としては、世界トップクラスのビルであり、先端技術を駆使したSDGsの事例として挙げられます。
また、同社では、「建設ロボットプラットフォーム」を開発というクラウド上稼働させられる基盤システムを開発するなど、生産性向上に向けた取り組みを積極的に行っている点も特徴です。

　 エコワークス株式会社

エコワークス株式会社は、人と地球にやさしい住まいを作ることによる環境貢献に取り組んでいます。

例えば、同社では電気代やCO2の排出量を抑えたゼロエネルギーハウスの提案を行っています。日本全体のCO2排出量に対して家庭から排出される割合は決して低くないため、このような住宅を作ることで、CO2排出量削減に取り組み、地球温暖化防止を目指しています。

そのほかにも、同社が手がける住宅は、「耐震等級3」を全棟で取得しています。「耐震等級3」は警察署や消防署と同じレベルであり、万が一自信が発生したとしても、命や家、財産などを守ってくれるでしょう。

こういった取り組みはSDGsにおける「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」や「住み続けられるまちづくりを」、「気候変動に具体的な対策を」に当てはまるものと考えられます。

このように、建築業界の事業を通してさまざまなSDGsに取り組むことが可能です。

SDGs推進にはAnyONEがおすすめ

SDGsを推進する場合、まずは身近なことから取り組み始めてください。
例えば、業務管理システムの導入に伴う働きやすい環境づくりや、電子化・クラウド化による従業員の業務効率化は十分SDGsにつながるものだといえます。

業務管理システムにはさまざまなものがありますが、工務店であれば「AnyONE」がおすすめです。
AnyONEは、工務店やリフォーム会社の利用を想定して作られたシステムであり、工務店で発生する業務の一括管理が行えます。具体的には、顧客情報や見積り、工程表作成、発注・支払いなどが、1つのシステムで全て管理できるため、業務の属人化を防ぎ、業務効率化につなげることが可能です。

実際に、SDGsが掲げる17のゴールの中には、「働きがいも経済成長も」、「産業と技術革新の基盤をつくろう」、といった項目も設定されています。また「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」に即したZEH住宅の管理にもAnyONEは活用可能です。

SDGs推進のためにも、業務効率化を図るためにも、ぜひAnyONEの導入を検討してみてください。

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まとめ

今回は、SDGsの概要から、工務店におけるSDGsの取り組み、企業における取り組み事例などについて解説しました。
工務店が取引先や社会から高い評価を受けるため、顧客満足度を高めるため、そしてこれからの社会を作るためにも、SDGsへの取り組みは重要です。
ZEHやLCCM、さらにはAnyONEのような業務システムの導入など、工務店はSDGsに取り組みやすい環境だといえます。今回の内容を参考に、SDGsへの取り組みを始めてみてください。

なお、以下の記事では、AnyONEを含めた各企業から展開されている業務管理システムの機能比較を行っています。業務管理システムの導入を検討している方は、こちらもご覧ください。