【2026年最新】下請法改正で工務店はどう変わる?手形廃止・新法への実務対策
工務店が健全な経営を続け、利益を最大化するための鍵は、「標準原価の設定」と「リアルタイムな原価管理システムの導入」による粗利率の改善にあります。
工務店で働いていると、「粗利率」という言葉を耳にする機会がよくあります。しかし、中には粗利率がどのようなものなのかわからない人もいるでしょう。
近年、建築資材の価格高騰や労務費の上昇により、現場の工事原価が圧迫されるケースが増えています(参考:国土交通省「建設工事施工統計調査(令和5年度実績)」)。このような厳しい市場環境において、自社の利益を守るためには、正しい粗利の計算方法を理解し、適切な改善策を講じることが不可欠です。
そこでこの記事では、粗利率の概要から具体的な計算方法まで解説します。また、粗利率を改善するための具体的なポイントやおすすめのツールについても取り上げているため、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
工務店における粗利(売上総利益)とは、会社のすべての利益の源泉であり、完成工事高(売上高)から工事原価を差し引いた金額のことです。
工務店の場合、粗利を算出するためには現場単位で原価を明らかにする必要があります。ちなみに粗利は、決算書では「売上総利益」と記載されます。
ここでは、粗利の計算方法から営業利益との違い、さらには粗利率の平均的な目安について解説します
粗利を正しく算出するための基本計算式は「粗利 = 完成工事高 − 工事原価」です。
上記の計算式のうち、完成工事高は、完成した工事の売上高のことを意味します。そして、工事原価は純工事費と現場管理費を合わせたものです。
なお現場には関係ない工務店の間接部門における経費や利益は工事原価には含まれません。
ちなみに、建設業の会計は他業界とは異なり、業界独自の法定基準を定められているため、完成工事高・工事原価といった特別な文言を使用しています。
一般企業の会計でいう「売上高」は「完成工事高」、「原価」は「工事原価」に該当します。
粗利が「工事そのものが生み出した利益」を表すのに対し、営業利益は「工務店が本業の営業活動全体によって得た利益」を表します。
それぞれの違いを一目で理解できるよう、以下の比較表に整理しました。
| 項目 | 粗利(売上総利益) | 営業利益 |
|---|---|---|
| 定義 | 完成工事高から工事原価を引いた純粋な利益 | 粗利から販売費及び一般管理費を引いた利益 |
| 計算式 | 完成工事高 − 工事原価 | 粗利 − 販売費及び一般管理費 |
| 含まれる費用例 | 材料費、労務費、外注費、現場監督の人件費など | 本社事務員の給与、事務所家賃、広告宣伝費、消耗品費など |
| 経営上の意味 | 工事そのものの収益性の高さを示す | 工務店の「本業」での稼ぐ力を示す |
先ほども説明したように、粗利は完成工事高から工事原価を差し引いていますが、対する営業利益は粗利から経費(販売費および一般管理費)を差し引いているという違いもあります。
工務店における「本業」とは、各企業の定款の目的に記載されているものです。
本業以外で得た利益がある場合は、営業利益ではなく営業外収益として計上されるため注意してください。
工務店が安定して黒字経営を維持するための粗利率の最低ラインは、一般的に25%以上とされています。
工務店の中には十分な黒字を確保するために粗利率が25〜30%は必要だと考えているケースもあるため、粗利率25%は最低ラインと捉えている担当者も多いのではないでしょうか。
一方で、大手ハウスメーカーにおける実際の粗利率は25%程度、ローコストの住宅会社でも同様に25%程度、超ローコストの住宅会社にいたっては15〜20%ともいわれており、25%や20%を下回る企業は少なくありません。
また、工務店にとって粗利率20%以下では利益はほぼないに等しい状況です。「粗利率が低い分、数をこなしてカバーする」と考える人もいるかもしれませんが、数を増やすと人手がさらに必要になり人件費もかかるため現実的ではありません。
そのため、「粗利率25%は最低ライン」と考えるよりも25%を一つの目標として取り組むべきといえるでしょう。
工務店の粗利率を改善するためには、感覚を頼りにしたどんぶり勘定から脱却し、社内の標準化と原価の見える化を徹底することが重要です。
粗利率は、工務店の取り組み次第で改善可能です。ここでは粗利率を改善するための具体的な方法を4つ解説します。
粗利率改善の第一歩は、工事を行う際の目標・基準となる「標準原価」をあらかじめ設定し、積算のばらつきを抑えることです。
粗利率を改善するためには、まず標準原価を設定しましょう。標準原価とは、工務店が工事を行う際に目標とすべき原価のことです。
似たような工事を行った場合でも、原価を抑えて工事ができるケースもあれば、原価が高額になるケースもあるのではないでしょうか。このような事態は、標準原価が設定されていないために起こると考えられます。
原価の基準となる標準原価を設定していないと、算出した工事原価が高いのか低いのか判断できません。そのため、工事ごとに原価にばらつきが出てしまいます。
標準原価が設定できていれば、工事原価のばらつきが発生しにくくなるだけでなく、工事が進んでいる最中にも、標準原価に沿って工事を進められているかチェックできます。
工事の進行中(未完成工事)の段階から、実行予算と実際の発注額・支払額の動きをリアルタイムで紐付けて管理することが、赤字化の防止に直結します。
利益や原価は、工事が進んでいる最中にもリアルタイムで管理できるようにしておきましょう。
工事を始めるにあたっては、事前に原価の試算を行いますが、ここで示される原価はあくまでも完成現場における原価です。原価管理が適切にできているかどうかはわかりません。
また、工事の途中で原価が上がってしまった場合は、早い段階で原価を適切に把握する必要があります。
このようなケースに対応できるようにするためには、未完成工事における利益や原価をリアルタイムで管理する仕組みを作る必要があります。
リアルタイムで利益や原価の動きが把握できれば、原価を抑えるための対策を早い段階で打てるでしょう。
資材価格が変動しやすい環境だからこそ、定期的に仕入れ業者から見積もりを取り直し、材料費や外注加工費の無駄を削ぎ落としていく必要があります。
売上原価に無駄があると粗利率も悪くなるため、定期的に見直しを行いましょう。
具体的には材料費や加工費はかかりすぎていないか、工程や作業方法は適切なのか、といった視点からチェックしてみてください。
また正確に費用を把握するためにも、見直す際には仕入れ業者から見積りをもらうようにしましょう。このような細かい見直しが粗利率の改善につながります。
エクセル管理の手間や入力ミスをなくし、効率的かつ正確に粗利をコントロールするには、工務店特化型の原価管理システムの導入が最も確実な解決策です。
原価管理をより効率よく、正確に行いたい場合は原価管理システム(CMS:コストマネジメントシステム)の導入がおすすめです。
システムを導入することで、原価管理をはじめとして、見積金額や実行予算、発注金額、請求金額、入金額などの各種金額の管理が行えます。
また、システムによっては、会計システムと連携できるものもあるため、決算書作成などもスムーズに作成できるでしょう。
工務店向け業務管理システム「AnyONE(エニワン)」を導入すれば、エクセル感覚の簡単な操作で、全現場の粗利推移と原価のブレをリアルタイムに見える化できます。
ここでは、AnyONEを活用することで実現できる粗利改善のポイントを、機能面と実際の導入事例の両面から紹介します。
AnyONEは、過去の見積もりや実行予算データを蓄積し、現場ごとの粗利の推移をシステム上で瞬時にグラフ・数値で確認できます。
これにより、どの種類の工事が自社にとって最も利益率が高いのか、あるいはどの現場の粗利が圧迫されているのかを、経営層から現場担当者まで一目で把握できるようになります。
属人的な感覚に頼らず、データに基づいた判断ができる体制が整うのが大きな利点です。
AnyONEなら、当初の実行予算に対して「どの建材の仕入れ値が上がったのか」「どの外注費が予定をオーバーしたのか」といった原因を確実に特定できます。
発注金額と支払金額の差分が自動的に抽出されるため、現場が終わってから「気付けば赤字だった」という事態を防げます。
工事の途中であっても即座に原価を抑える手を打てるため、利益の取りこぼしを最小限に抑えられます。
リアルタイムの利益把握で利益率5%向上を達成(株式会社ベストインテリア様)
新築注文住宅やデザインリフォームを展開する株式会社ベストインテリア(Next Design Home)様では、従来のエクセルや手書きによる原価管理では「リアルタイムな利益の動きが見えない」ことが大きな課題となっていました。
そこで、工務店・リフォーム会社特化型のシステムである『AnyONE』を導入。全社で情報を一元化したことにより、工事の進行状況に応じた正確な原価と粗利をリアルタイムで把握できるようになりました。
結果として、社員一人ひとりのコスト意識が高まり、全体の利益率5%向上という大きな成果を達成されています。
詳しくは「株式会社ベストインテリア様の導入事例」をご確認ください。
最後に、工務店の粗利率に関して実務でよく寄せられる質問を3つに整理して回答します。
粗利率が20%を下回ると、本社スタッフの人件費や事務所の家賃、広告宣伝費といった販管費を賄いきれなくなり、本業の儲けを示す営業利益が赤字に転落するリスクが高まります。
棟数を増やしてカバーしようとしても、人手不足や施工管理の質の低下を招き、さらなる原価高騰を引き起こす悪循環に陥りやすくなります。
追加・変更工事が発生したその都度、即座に原価管理システム(CMS)へ実行予算と見積もりを入力し、施主様へ変更契約書や見積書を提示して合意を得ることを徹底してください。
引き渡し間際にまとめて精算しようとすると、施主との認識違いが生じやすいだけでなく、職人への発注費が膨らんで粗利が削られる原因にもなります。
エクセルによる原価管理は、データの入力ミスや数式の破損が発生しやすく、担当者ごとにフォーマットが異なる「業務の属人化」が起きやすいという課題があります。
また、リアルタイムでの情報共有が難しいため、予算オーバーの発覚が「現場完了後・請求書到着後」になってしまい、手遅れになりやすい点も大きなデメリットです。
本記事では、工務店における粗利率の正しい計算方法や平均的な目安、改善のための4つのアプローチについて解説しました。
粗利率を改善するための具体的な方法は次の4つです。
特に、資材費や労務費の急激な変動に対応するためには、エクセル管理から脱却し、リアルタイムで原価と粗利の動きを追える「原価管理システム(CMS)」の活用が最大の近道です。
工務店・リフォーム会社向けの業務効率化ソフト『AnyONE』をはじめとしたシステムの導入により、ベテラン社員に集中しがちな積算・見積もり業務の属人化を解消し、誰でも高い精度で利益を残せる体制を作ることができます。
自社に最適な業務用ソフトを選ぶためには、搭載機能の比較検討が欠かせません。
まずは無料の資料請求や、実際の操作感を確かめられるデモ体験を通じて、自社の原価管理・粗利改善にどう役立つかを一度ご確認ください。
監修:AnyONE編集部
AnyONE編集部は、建設業界向け業務支援システム「AnyONE」を運営する株式会社エニワンの編集チームです。
公的資料や業界情報をもとに、建設業に関する基礎知識や実務に役立つ情報を、わかりやすく整理・解説しています。
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