【建設業】法定福利費の算出方法とは?計算式や料率・見積書への記載方法
生産年齢人口の減少に加え、団塊世代の大量退職が控える建設業は、人手不足に直面しています。
この状況を打破するためにも、働き方改革に取り組むことが重要です。
この記事では、2024年から建設業で適用される働き方改革の概要から具体的な取り組み、さらには注意点などについて解説します。
INDEX
働き方改革とは、一人ひとりの状況に応じた柔軟な働き方が選択できる社会の実現を目指して行われる改革のことです。
具体的には、「働き方改革関連法案」が施行されることによって行われています。
ここでは働き方改革の背景と、時間外労働の上限規制が改正されたことについて説明します。
働き方改革が行われている背景には、日本の生産年齢人口の減少が挙げられます。
建設業の場合、以下の図を見てもわかるように生産年齢人口の減少に加え、団塊世代の大量退職が今後起こるため、さらに人手不足に悩まされることとなります。
また、他の業界と比較して長時間労働が常態化しており、週休2日を確保できていない企業も少なくありません。
給与に関しては上昇傾向にあるものの、生産労働者に限れば他の業界よりも低い水準にあります。
この状態が続くと、ますます人手不足に陥る企業が増え、多くの企業が経営難になりかねません。そのような状況を改善するために行われるのが働き方改革です。
人手不足や給与、休日などの問題以外にも、建設業には「建設DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「2025年の崖」という問題もあります。
建設DXとは、各種IT技術を活用して建設業界の業務プロセスや働き方を変革することです。
昨今では、建設業を取り巻く市場や顧客も大きく変化しており、各企業は環境に応じたビジネスモデルの変化が求められています。このような時に、建設DXはその対策の1つとなるでしょう。
また2025年の崖とは、IT領域で発生する問題のことです。具体的には、IT人材の不足や古いシステムの継続利用などにより最大12兆円/年の損失が発生するとされています。
こういった「建設DX」や「2025年の壁」などへの対策も行っていかなければ、人材不足の中で十分な成果を上げられない状況に陥る恐れがあります。
働き方改革の背景についてより詳しく知りたい方は、時間外労働の上限制限について説明している記事もご覧ください。
働き方改革が行われることによって、これまで実質青天井だった時間外労働に上限規制が設けられました(※建設業では、2024年4月1日からの適応)。
具体的には、36協定を労使間で結んだとしても、1ヶ月あたりの時間外労働の上限が45時間まで、1年あたりの時間外労働の上限が360時間となります。
なお、時間外労働を行う場合は、事前に労使間で36協定を結ぶ必要があり、労働基準監督署への届け出も必要です。
また企業によっては、繁忙期などで45時間/月以上の時間外労働が必要なケースもあります。
このような場合は、「特別条項付き36協定」を労使間で結ぶことで1年あたりの残業時間が720時間まで(休日労働を含まない)延長することが可能です。
ただし、このような場合でも、1ヶ月あたりの残業時間100時間、2ヶ月〜6ヶ月平均で80時間を超えることはできません(休日労働を含む)。
45時間/月以上の時間外労働は、1年で6ヶ月までしかできないため注意してください。
時間外労働の詳細な情報に関しては、時間外労働の上限規制について詳しく解説している記事もご覧ください。
働き方改革の具体的な内容は、長時間労働の是正に関する取組、給与・社会保険に関する取組、生産性向上に関する取組の3つです。
長時間労働の是正については、週休2日を導入しようとする取り組みが見られます。
例えば公共工事・直轄工事では、週休2日が率先して確保されているほか、適切な工期が設定できるように「適正な工期設定等のためのガイドライン」の改定も行われています。
さらに地域発注者協議会などの場を利用して、働き方改革を推進する働きかけなども見られるなど、週休2日確保に向けた取り組みは現在も進行中です。
給与や社会保険に関しては、能力や経験に応じた給与を与えること、社会保険に加入することをスタンダートにしようとする取り組みなどが行われています。
具体的な取り組みとしてあげられるのが「建設キャリアアップシステム」です。これは、一人ひとりの資格や就業履歴などを登録・蓄積するシステムのことで、企業はシステムに登録された情報をもとにすることで、その人に適した処遇の提供ができるでしょう。
また発注団体や業界団体などの関連業界に対しても、適切な賃金水準を確保するように要請されているほか、社会保険に加入していない企業は建設業としての許可・更新ができない仕組みを作る動きなども見られます。
生産性向上に関しては、工事書類の作成負担軽減やIoTなどの各種技術導入による業務効率化に関する動きが見られます。
例えば、基準類の改定による公共工事における書類作成の負担軽減、建設業許可等にかかる申請手続きの電子化などは、業務効率化・生産性向上に大きく寄与するでしょう。
また、生産性の向上が期待できるソフトやアプリの導入も建設業で進んでいます。
例えば、工事の属性情報を管理できるシステムである「CIM(Construction Information Management)」やこれまで1週間ほどかかっていた測量が数分でできるようになるドローンなどは、現場でも大いに役立つでしょう。また、専門性が高くできる人が限られていた建機の操作も、ICT建機を導入することで経験の浅い人でも扱えるようになりました。
このような各種機器を導入することも、働き方改革の推進には欠かせません。
実際に働き方改革に取り組もうとする場合、発注者の理解と協力が不可欠なことと、36協定届の新様式には注意が必要です。
働き方改革を推進するうえでは、自社だけでなく発注者からの理解や協力を得ることが欠かせません。これは工事を進めるにあたり、発注者の存在が欠かせないためです。
受注者と発注者双方がお互いの立場を理解し、対等な契約を結んだうえで、無理のない適切な工期を設定しましょう。
なお国土交通省では、契約における基本原理や経費のしわ寄せ防止方法、工期設定の平準化などについてまとめた「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」を策定しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
働き方改革を推進するために定められた働き方改革関連法案により、36協定届の様式が変化しているため、従来のものと間違えないように注意しなければなりません。
具体的には、これまでは1枚のみだったものが、「特別条項付き36協定」を結ぶ場合は2枚となっています。そのため、特別条項付36協定を利用する際は、2枚目の記入も忘れないでください。
今回は、働き方改革の概要からその背景、さらには建設業で行われている働き方改革の具体的な内容などについて解説しました。
建設業では、人手不足や低水準の給与、少ない休日など、多くの課題を抱えています。これらの課題を解決するためにも、各企業は長時間労働の是正、給与・社会保険に関する取組、生産性向上といった働き方改革を進めていかなければなりません。
生産性向上に関しては、建設行界向けの業務効率化システムの導入が効果的です。
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