【建設業】法定福利費の算出方法とは?ざっくり費用を割り出す方法や書き方
工務店経営において、赤字の回避や事業拡大を目指すためには、経営状況を明確化する必要があります。
工務店の業務は、顧客管理や工事・施工管理、見積りや受発注での対応などで忙しく、なかなか経営状況の把握まで手が回らないのが実情です。
しかし、経営状況を正確に把握できていないと、予想外の赤字リスクや資金不足が発生し経営危機に陥ることもあります。
そこで、今回は会社の状況を正確に把握するため方法である「経営診断」について、その概要と効果を解説します。
経営診断を行うことで会社の健全性と経営課題がわかるため、ぜひ参考にしてください。
INDEX
経営診断とは、経営の健全性を明らかにするための分析方法です。
現在の経営状況をさまざまなデータや指標を用いて分析します。
経営診断は、人間に例えるなら健康診断を受けることに近いです。
健康診断では医師が患者さんを診察し、患者さんの健康状態を明らかにします。
健康状態や予想される病気のリスクなどをカルテ化。
患者さん自身が健康状態を客観的にわかるようにします。
これと同じように経営診断では、コンサルタントが経営の健全性を明らかにします。
経営者が会社の健康状態をわかるように、経営状況を客観的なデータ化。
1年以上先の業績予測や赤字リスクなどをわかるようにして改善するための行動をとりやすくします。
経営診断では、具体的には以下の項目を診断します。
「貸借対照表」から資産状況を診断します。
具体的には「支払い能力」「自己資本」「資本効率」「安全性」などの項目を診断し、自社の資産状況を明らかにします。
「損益計算書」から損益状況を診断します。
「成長性」「収益性」「競争力」「利益水準」「経費バランス」の項目を診断することで、会社の収益体質を明らかにします。
「貸借対照表」と「損益計算書」の両方から資金繰りを診断。
1年以上先までの資金繰りを予測し、資金の過不足のリスクを明らかにします。
事業計画や資金調達の検討に役立ちます。
組織内部を診断します。
組織内部とは、財務諸表などデータには現れない自社の特徴です。
工務店の現地視察と社員面談を通じて、組織内部を診断します。
組織内部の診断では、以下の項目を診断します。
● 自社の強み、弱み
● 付加価値の発掘
● 会社の深刻な問題点
● 経営者の能力評価
● 役職者や社員の能力評価
経営診断には、赤字経営リスクの回避や、成長計画のプランニング、経営・組織課題の明確化を期待できます。
経営診断で期待できる4つの効果について解説します。
経営診断を行うことで、赤字経営のリスクを回避できます。
なぜなら、多忙な業務のなかでは見つけることができない、経営状況を詳細に診断していくためです。
工務店の業務は 営業や現場、経理など多岐にわたり、社員は常に忙しく、経営者は現場の情報を把握するためにさらに忙しくなります。
こういった状況では、正確な経営状況を把握することが難しいため、気づかないうちに赤字リスクを抱えることも。
診断では、さきほど紹介した診断項目に基づき経営状況を詳細に診断します。
資産、損益、資金繰り、組織内部を診断することで赤字リスクを発見し、回避することができます。
また、診断結果に異常がある場合は、さらに診断を進めて根本的な原因を探し、改善の方向を明らかにします。
資産・損益・資金繰り・組織内部、どの面が危険で、何をすれば赤字リスクを回避できるのかを詳細に分析するためです。
赤字リスクの原因を探って回避するために、経営診断は役立つでしょう。
経営診断は、赤字リスクを回避するだけではなく、逆に成長プランの計画にも利用できます。
なぜなら、診断結果を事業計画や資金計画に利用できるためです。
診断では、その時点での経営状況だけではなく1年先の資金繰り、自社の強み・弱み、今後のリスクを明らかにします。
診断結果は、成長プランを計画するための材料となり、安全な事業計画作成や資金計画などに利用できます。
経営診断を行うことで、会社の課題を明確化することもできます。
診断で客観的な経営状況がデータ化されるため、取るべき行動が明らかになるためです。
先ほどお伝えした4つの診断項目の何から取り組むべきか、優先順位を把握できます。
業績が赤字か黒字かに関係なく、診断データは会社が取り組むべき課題がわかります。
例えば、赤字であれば、資産や損益、資金繰りのリスクを把握し回避するための改善策を取れます。
黒字であれば、事業計画や投資計画、資金調達など事業を拡大するための改善策を取れます。
つまり経営診断は、業績に関係なく、会社の課題を見える化してくれます。
財務諸表に現れない組織課題も見つけることができます。
現地視察や社員面談を通じて経営診断を行うため、会社の特徴がわかるためです。
例えば、面談では社員や役員、経営者に聞き取り調査を行います。
「ヒト」の面で、付加価値の発掘、経営者の能力評価、役員や社員の能力評価などを行うため、データに現れない特徴がわかります。
経営診断を行うには、主に「自己診断」と「専門家へ依頼」の2つの方法があります。
それぞれ、詳しく解説します。
ひとつめは自己診断です。
自己診断とは、自分自身で経営診断を行うこと。
質問項目に答えることで、経営者自身が経営診断を行えます。
自己診断はインターネット上で行えます。
インターネットで検索すると、無料の診断サイトが出てきます。
診断サイトの質問事項に答えることで、自分自身で経営診断を行え、経営の健全性を明らかにできます。
「独立行政法人中小企業基盤整備機構」が運営する診断サイトを利用すれば、無料で自己診断することができます。
自己診断を行うメリットは、経営の健全性をすぐに把握できることです。
質問項目に答えることで、すぐに診断結果を出せます。
財務状況の点検と業界内での位置づけがすぐに把握できるため、一度利用することをおすすめします。
ただし、手軽に行えますが、あくまでも簡易的な診断です。
詳細な診断やデータに現れない経営課題を発見するためには、プロへ診断を依頼することをおすすめします。
もうひとつの方法はプロに経営診断を依頼することです。
中小企業診断士や経営コンサルタントに依頼することで会社の状況と改善するための方向性がわかります。
費用については、一般社団法人 中小企業診断協会によると、1日あたり10万8千円が全国平均です。
プロに依頼するメリットは、自己診断ではわからない課題の分析や、客観的なアドバイスを受けられる点です。
本格的に経営状況を改善したい場合や将来的に大きな事業拡大を計画する場合は客観的なアドバイスを利用し、経営の方向性を決めるため活用すべきでしょう。
経営診断のポイントとは、業績悪化前や定期的に実施することです。
経営診断を行うタイミングがもっとも重要です。ここでは、その理由について解説します。
経営診断は、業績が悪化する前に行いましょう。
問題を早くみつけることで早めに問題に対処でき、大きなリスクを避けられるためです。
業績悪化の判明が遅ければ、改善の打ち手が限られ、効果があまり得られない恐れもあるでしょう。
例えば、債務超過まで業績が悪化していると、企業ができることは限られます。
業績が悪化してからの診断では、改善が間に合わず倒産・廃業になることもありえます。
経営診断のもうひとつのポイントは、定期的に診断を行い、定着させることです。
赤字や黒字など業績に関係なく過去・現在・未来の課題を明らかにできるためです。
定期的な診断は、業績に関係なくメリットがあります。
例えば、資金繰りや赤字のリスクを把握すれば、事前に対処することができます。
逆に黒字の場合でも、会社の強み・弱み、財務状況の健全性がわかるため、安全な計画を立てることができます。
安定した会社の成長の道筋が見えるため、定期的に経営診断を行いましょう。
工務店経営において、経営診断を行うことで、会社の経営状況を把握できます。
忙しい工務店業務のなかで見落としがちな経営課題に気づけるでしょう。
また、資産・損益・資金繰り・組織内部を分析することで、赤字のリスクを回避し安全な事業拡大を目指せます。
経営診断の方法は、自己診断とプロに頼む方法があり、どちらの方法でも業績悪化の前、また定期的に行いましょう。
工務店の業務では、営業や経理など現場が忙しく状況を把握しづらいため、予想よりも赤字リスクを抱えている場合があります。
そこで今回は、住宅建築専門コンサルタント監修の経営自己診断を用意しました。所要時間5分で自社の状況を確認できます。
会社の業績の好調・不調にかかわらず、まずは下記の経営診断を行い、安全な経営や事業拡大を目指しましょう。
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