工事契約で損しない!工事請負契約書における印紙税の基礎知識

工事契約で損しない!工事請負契約書における印紙税の基礎知識

工務店が工事請負契約を結ぶ際、契約書に収入印紙を貼り付ける必要があります。しかし収入印紙とは、一体どのようなものなのか、説明できない方もいるでしょう。

この記事では、収入印紙の役割から印紙税の納付方法、さらには軽減措置や印紙税の節税方法などについて解説します。

印紙税がわからない方はもちろん、印紙をすでに扱っている人にも役立つ内容なため、参考にしてください。

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INDEX

工事請負書に貼り付ける収入印紙とは

工事請負書に貼り付ける収入印紙とは

収入印紙とは、印紙税のような租税や手数料などを徴収するために政府によって発行されている証票のことです。
印紙税に関して損をしないためにも、収入印紙の役割と印紙税の納付方法について正しく理解しましょう。

 そもそも印紙税とは

印紙税とは契約書や領収書など書類を作成する際に課される税金です。契約書や領収書の取引金額が定められた金額(※後述)以上の場合にのみ印紙税がかかります。この印紙税を納める際に、いちいち確定申告をして税金を徴収するのは管理が煩雑であるため、収入印紙を使用して税を納めます。

建設業で扱う契約書等は金額が大きいため、ほぼ全ての場合に印紙税を納める必要があります。

 収入印紙の役割

収入印紙とは、印紙税のような租税や手数料などを徴収するために政府によって発行されている証票のことです。収入印紙は、契約書や領収書といった各種文書に対して発生する印紙税を納付する際に使用されます。

印紙税とは、印紙税法によって契約書などの文書に課される税金です。「契約書になんで税金がかかるの?」と思う方もいるかもしれません。

税金が発生することで、契約書でのやりとりが間違っていないことを担保しています。つまり、印紙税は取引が真実であることを証明する税金ということです。

なお印紙税の対象となる文書は国税庁によって定められており、第1号文書から第20号文書までの合計20項目があります。建設業界に関係している文書は下記の通りです。

・工事請負契約書
・工事注文請書
・工事下請負基本契約書
・業務委託契約書
・領収書

上記が印紙税の対象となります。

 印紙税を収入印紙以外で納付する方法

原則としては、収入印紙を利用して納付します。文書作成者は、課税対象となる文書に印紙税額分の収入印紙を貼り付け、印紙税を納付します。

収入印紙を貼り付ける場所に厳密なルールはありませんが、契約書の左上に貼るのが一般的です。また、収入印紙を利用する際は消印(割印)が必要となります。

消印は文書と収入印紙にまたがる形ではっきりと押すようにしてください。

なお、ハンコに関しては、必ずしも契約書に押印したものを使用する必要はありません。シャチハタやゴム印、さらにはペンによる署名でも問題ありません。

一般的には収入印紙を利用して納税しますが、そのほかにもいくつかの方法が特例として用意されています。

例えば、「税印押なつによる納付」は、印紙税額をあらかじめ金銭で納付しておく方法です。事前に納付しその後、税印押なつ機で税印を押印することで納付がおこなえます。

また、「印紙税納付計器(国税庁長官の指定を受けている計器)」を使った納付方法もあります。これは、計器を設置した場合に利用できる方法です。

計器を設置することで、収入印紙を貼り付ける代わりに事前に金銭で納付した金額を上限として、納付印が押せます。

さらに、「書式表示による納付」という方法もあります。「課税対象なる文書が毎月作成される」などの条件に当てはまった場合に利用できる方法です。文書を作成する場所(会社など)を管轄する税務署の署長の承認を受けることで、収入印紙を貼り付ける代わりに金銭による印紙税の納付が可能になります。

そして「預貯金通帳等に係る一括納付」も納付方法の1つとして利用可能です。特定の預貯金通帳等に限り、税務署の署長の承認を受けることで、金銭によって預貯金通帳等に係る印紙税を一括納付できるものです。

【参考】国税庁-印紙税の納付方法

印紙税の軽減措置

印紙税の税額は文書内で取り扱う金額によって変わります。一方で、租税特別措置法によって、印紙税の軽減措置が講じられており、建設工事に関わる請負契約書に関しても以下のように印紙税が引き下げられています。

契約金額 本則税率 軽減税率
100万円を超え200万円以下 400円 200円
200万円を超え300万円以下 1,000円 500円
300万円を超え500万円以下 2,000円 1,000円
500万円を超え1千万円以下 10,000円 5,000円
1千万円を超え5千万円以下 20,000円 10,000円
5千万円を超え1億円以下 60,000円 30,000円
1億円を超え5億円以下 100,000円 60,000円
5億円を超え10億円以下 200,000円 160,000円
10億円を超え50億円以下 400,000円 320,000円
50億円を超えるもの 600,000円 480,000円

【出典】国税庁-建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置

 100万円以下の工事契約での軽減措置

工事請負契約において、契約金額が100万円以下の場合、印紙税の軽減措置が適用されます。具体的には、通常の印紙税率が大幅に引き下げられ、契約書に貼付する収入印紙の金額が劇的に減少します。

中小規模の工事請負契約にとって非常に有利な措置となっているため、活用しない手はありません。なお、事業者がこの制度を利用するためには契約書に消費税抜きの金額を記載し、税務署の定める要件を満たす必要があります。

 税抜き金額の計算方法と注意点 

工事請負契約における印紙税の計算は、消費税抜きの金額を基準として行われます。以下に、正確な税抜き金額の計算方法と重要な注意点を詳説します。

計算方法

契約総額から消費税を除外する

消費税率(現行10%)を考慮し、以下の計算式を使用

税抜き金額 = 契約総額 ÷ (1 + 消費税率)

契約総額が1,100,000円(消費税込み)の場合
1,100,000円 ÷ 1.1 = 1,000,000円(税抜き金額)

なお、小数点以下の端数は円未満を切り捨てとし、契約書には税抜金額を記載しましょう。

 印紙税の軽減措置の対象となる工事請負契約書

軽減措置の対象となる工事請負契約書は、建設業法第2条第1項で規定されている「建設工事の請負に係る契約」です。なお、建設業法における建設工事とは土木建築が該当します。そのため上記規定に当てはまらない設計や家具の請負契約には軽減措置が適用されません。

印紙税の軽減措置対象となる契約は、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成された工事請負契約書です。なおこの条件に該当する契約書であれば、工事金額の変更や請負内容の変更などによって作成された「変更契約書」や「補充契約書」なども軽減措置が適用されます。

【参考】国税庁-建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置

電子契約と印紙税の関係

電子契約と印紙税の関係についてより深く理解しておきましょう。

 電子契約の導入と印紙税の取り扱い

電子契約で工事請負契約を締結した場合は、原則収入印紙が不要です。課税文書はあくまで「紙の書類」に対しての課税であり、電子書類は対象外と判断されます。

工事請負契約を電子契約で締結した場合、印紙税の非課税という大きな利点があります。電子書類は課税文書から除外され、紙媒体の契約書と同等の法的効力を持ちながら、収入印紙の貼付が不要となります。

ただし、電子契約システムを選択する際は、法的要件を満たす信頼性の高いものを慎重に選ぶ必要があります。電子署名や本人確認の厳格な運用が求められるため、単なる形式的な電子化ではなく、実質的な法的担保がなされているかを確認して導入を検討しましょう。

 電子契約がもたらすコスト削減のメリット

電子契約の導入は、印紙税の節約にとどまらない多面的なコスト削減効果をもたらします。収入印紙の購入費用を完全に削減できるだけでなく、契約書の印刷、郵送にかかるコストも大幅に低減できるためです。

さらに、契約締結プロセスの時間短縮により、人件費の削減や業務効率の向上が実現します。従来の紙文書管理から電子文書管理への移行は、バックオフィス業務の生産性を向上させる効果もあるため、企業の資源を有効活用するために役立つでしょう。

ただし、注意点として電子契約書を紙で出力した写しを保存、提示した場合は課税される可能性があるため、運用には注意してください。

【関連記事】工事請負契約書を電子化したら印紙税は不要?仕組みとメリットを徹底解説

 施主からの信頼を得るための電子契約の活用法

建設業界では紙の契約書を利用する慣習も根強く残っており、紙でないと契約書として信頼できないと思い込んでいる取引先もいるでしょう。施主に理解を促すには電子契約システムの安全性を伝えたうえで、印紙税節約のメリットを伝える方法がおすすめです。

契約交渉や締結においても、電子契約は迅速かつ柔軟な対応を可能にします。地理的な制約にとらわれず、スピーディーな意思疎通と契約手続きを実現できるため、施主にとってもメリットは多いです。このようなメリットを的確に説明できれば、施主も信頼して電子契約に応じてくれるはずです。

収入印紙が必要な書類一覧

収入印紙が必要な書類は、工事請負契約書だけではありません。契約の種類や契約金額によって必要か不要かが決まります。建設業において使用する機会が多い課税文書は以下の4つです。

●第1号文書
●第2号文書
●第7号文書
●第17号文書

それぞれの概要を解説します。

 第1号文書とは

第1号文書は消費賃貸に関する契約書で、不動産売買契約書や土地賃貸借契約書、金銭の借用書を意味します。収入印紙が必要となる金額は1万円以上からで、もしも1万円未満の場合は収入印紙なしで契約を締結できます。

 第2号文書とは

第2業書類とは請負に関する契約書で、工事請負契約書も第2号文書に該当します。なお、収入印紙は契約金額が1万円以上の場合にのみ必要です。

 第7号文書とは

第7号文書は、継続的取引に関する契約書です。売買取引基本契約書や特約店契約書、業務委託契約書などが該当し、4,000円以上の契約にのみ収入印紙が必要となります。

 第17号文書とは

第17号文書とは売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書です。ただし、以下の条件に当てはまる場合は非課税となります。

・契約金額が5万円未満
・営業に関連しない領収
・特定の文書(有価証券、預貯金証書など)に追記した受取書

工事請負契約書に印紙が不要なケースとは

工事請負契約書に印紙が不要となるケースは以下のとおりです。

 契約金額が1万円未満の場合

工事請負契約書は第2号文書に該当し、第2号文書は1万円未満の場合は非課税です。そのため、契約金額が1万円を満たさない場合は収入印紙を貼り付ける必要がありません。

 電子契約書を締結している場合

電子契約で工事請負契約を締結した場合は、原則収入印紙が不要です。課税文書はあくまで「紙の書類」に対しての課税であり、電子書類は対象外と判断されます。

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 納付印が押してある場合

工事請負契約書に納付印が押してある場合も、収入印紙を貼る必要はありません。納付印とは印紙税額が表示されたスタンプであり、収入印紙ではなく「印紙税納付計器(国税庁長官の指定を受けている計器)」を設置し、事前に納付しておいた税金の額に応じて押印できる仕組みです。

つまり、すでに文書にかかる納税を済ませているとみなされるため、収入印紙が必要ありません。

工事請負契約書への収入印紙の貼り付け方

工事請負契約書を初めて作成する方に向けて、収入印紙の貼り方を解説します。まず収入印紙は、契約書の冒頭または署名欄に貼り付けます。その後、貼り付けた印紙にかかるように「消印」を押しましょう。消印を押すことで印紙が使用済みであることを示す意味があります。

「2課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。

【引用】印紙税法 第8条2項|印紙税法 | e-Gov 法令検索

なお、収入印紙の消印は工事請負契約書の作成者またはその代理人、従業員の印鑑が有効です。

ハンコに関しては、必ずしも契約書に押印したものを使用する必要はありません。シャチハタやゴム印、さらにはペンによる署名でも問題ありません。

工事請負契約書の割印(消印)方法について

工事請負契約書が複数になる場合、関連性を示すために割印(消印)が必要です。

割印(消印)は文書と印紙の両方にまたがるように押し、印紙の再利用を防ぐための印であり、法律でも印章を押すことが印紙税法第8条第2項で定められています。(【参考】印紙の消印の方法

文書の改ざんや不正なコピーを防ぐ目的があるため、忘れないように注意しましょう。

 割印と契印の違いについて

割印と類似される印方法として、契印があります。
契印は契約書が複数ページになった場合、ページの連続性を示すために押されるハンコを指します。

契印には、文書の抜き取りや差し替えを防ぐ目的があります。

割印原本と写しなど2部以上の契約書を作成した際に文書の整合性や関連性を示す役割があるため、改ざんや不正なコピーを防ぐことが可能です。

このように割印と契印はそれぞれ目的が異なるため、混同しないように注意しましょう。

印紙税を節税するには

印紙税を節税するには

ここでは、印紙税を節税する方法について解説します。少しでも節税したい方は参考にしてください。

 消費税を記載する

契約書などの文書を作成する際に、消費税と本体価格を別々に記載することで節税に繋がるケースがあります。

例えば、契約書で扱う金額が5万円未満の場合、印紙税は発生しませんが、5万円以上~100万円以下となると200円分の印紙税が発生します。

この時、本体価格を消費税込みで5万円として申請すると200円分の収入印紙が必要になりますが、本体価格と消費税を別々に記載して本体価格が5万円未満になるのであれば、200円の印紙税は発生しません。

このように、消費税額を別に記載するだけで、節税できる可能性があるので、ぜひ試してください。

 契約書をまとめる

印紙税は課税対象となる内容の数ではなく、文書の数によって課税されます。例えば、請負契約に関する2つの契約を結ぶ場合でも、1つの契約書にまとめて記載しているのであれば、課税は契約書1枚に対してのみ行われます。

一方で、それぞれ1枚ずつ合計2枚の契約書を作成する場合は、それぞれの契約書が課税対象となります。
契約書をできるだけ少なくまとめることで節税できるため、契約書を作成する時は、ぜひこのポイントを覚えておいてください。

 印紙税を取引先負担にする

収入印紙は、契約書にサインする双方のどちらかが貼り付ければ問題ありません。そのため、施主が収入印紙を貼り付けてくれれば、工務店側の負担がなくなります。長年の付き合いがある施主であれば収入印紙の負担を交渉するなどし、負担を減らしましょう。

 電子契約書にする

電子上での契約書に対しては、印紙税は課税されません。これは、印紙税を扱う印紙税法の解釈の仕方にあります。印紙税法基本通達第44条には、課税文書に関して以下のように記載されています。

法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。」【出典】国税庁-印紙税法基本通達第44条

上記の通り、課税対象となる文書は、「用紙等」に作成したものと明記されているため、紙ではない電子上の文書は印紙税の対象にはならないと解釈できます。
もしかしたら「用紙等」という言葉に引っかかる人もいるかもしれませんが、電子文書に印紙税がかからないとする根拠は、国税庁の見解としても提示されているため問題はありません。

とある建設業者は工事請負契約書を紙面で締結していた時代は、1枚2万円の印紙がかかりコストになっていたそうです。しかし、電子契約の導入により年間8,000〜9,000棟分の印紙税が節約でき、なんと削減できたコストは1億円以上となったという事例があります。

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【関連記事】工務店向けの節税対策完全ガイド|効果的な方法と具体例を徹底解説

工事請負契約書に印紙を貼り忘れた場合に起こるリスク

工事請負契約書に印紙を貼り忘れた場合に起こるリスク

工事請負契約書を含めた課税文書には収入印紙の貼り付けが欠かせません。しかし、もし収入印紙を貼らなかったどうなるのでしょうか。ここでは、収入印紙を貼らなかった場合について解説します。

 収入印紙なしでも工事請負契約書は有効

収入印紙がなくても工事請負契約自体は有効です。これは、印紙税法によって問題とされるのが収入印紙を貼らなかったという行為に対してのみであり、契約の内容や有効性に関しては法律上では問われないためです。

そのため、工事請負契約自体の有効性に関しては問われません。

 過怠税がかかる

工事請負契約書に収入印紙を貼らなかった場合、過怠税という税金が課されます。これは、本来納付すべきだった税額の3倍の金額となるので、場合によっては大きな費用負担を強いられるでしょう。なお過怠税に関しては、貼り忘れであっても、収入印紙について理解不足で貼っていなかった場合でも扱いは同じです。

ただし、自分自身で収入印紙を貼っていないことに気づいて、その旨を自主的に申告した場合は、過怠税は、本来納付すべきだった税額の1.1倍に減額されます。貼り忘れに気づいた時は、すぐに申告しましょう。

【参考】国税庁-印紙税を納めなかったとき

建設業ではありませんが、過去にはりそな銀行が印紙税の貼り忘れによる過怠税で数億円徴収された事例もあります。契約数が多いほど印紙税も増えるため、注意が必要です

 万が一印紙を貼り間違えて多く納税した場合

工事請負契約書の収入印紙を多く、貼ってしまうミスが起こる場合もあるでしょう。もしも謝って納税してしまった場合は、所轄の税務署長へミスがあった工事請負契約書の原本を提示し、税務署長より承認がもらえれば印紙税の還付を受けられるため、申請してください。

 印紙の有無に関わらず契約無効となる場合

収入印紙を貼っていたとしても、以下のような場合は工事請負契約自体が無効となるリスクがあります。

・契約内容が未確定である
・契約内容に違法性がある
・契約内容が片方に明らかに損害を与える理不尽な内容である
・実現性の低い契約内容である(極端に短い工期など)

収入印紙の有無によって契約無効とはなりませんが、契約書の妥当性なども重視されるため、契約書作成する場合は注意しましょう。

印紙の有無に関わらず請負契約が無効になるケースに注意

収入印紙を貼っていたとしても、以下のような場合は工事請負契約自体が無効となるリスクがあります。

●契約内容が未確定である
●契約内容に違法性がある
●契約内容が片方に明らかに損害を与える理不尽な内容である
●実現性の低い契約内容である(極端に短い工期など)

収入印紙の有無によって契約無効とはなりませんが、契約書の妥当性なども重視されるため、契約書作成する場合は注意しましょう。

 工事請負契約書に必須の16項目

工事請負契約書には必須の16項目があり、抜け漏れがあった場合は契約の妥当性が認められない場合があります。収入印紙がなくても契約の効力に問題はありませんが、工事請負契約書の項目に抜け漏れがあると契約無効となるケースがあるため注意しましょう。

・工事内容(工事名や住所など)

・請負代金の金額

・着手と完成の時期

・「請負代金の全部」「一部の前金払」「工事が完了した部分」など、支払いに関する取り決めがあるときは、その支払の時期と方法

・「設計変更」「工事着手の延期」「工事の全部、もしくは一部の中止の申出」があった場合の「工期の変更」「請負代金の額の変更」「損害の負担とそれらの額の算定方法」

・「天災や不可抗力による工期の変更」や「損害の負担とその額の算定方法」

・物価の変動や変更時に請け負う代金の額の決め方および工事内容の変更方法について

・施工中に第三者が損害を受けた場合の賠償金について

・発注者が工事用の資材を提供するときや、建設機械などを貸与するときの取り決め

・注文者が「工事の全て」あるいは「一部の完成」を確認するための検査の時期・方法と引渡しの時期に関する取り決め

・工事完成後に行われる請負代金の支払の時期と方法 について

・工事の目的物の過失に対する責任や、責任の履行に関して行う保証保険契約の内容について

・契約内容の遅れや不履行時の遅延利息や違約金、損害金について

・契約に関する紛争の解決方法について

・工期を施工しない日・時間帯

・その他国土交通省令で定める事項

【参考】建設業法 第19条

また、その他工事によっては以下のような項目が必要になるため、契約締結時によく確認しましょう。

⚫︎ローン特約について
⚫︎反社会的勢力の排除について
⚫︎管轄裁判所について

工事請負契約書の収入印紙に関するよくある質問

工事請負契約書の収入印紙について、よくある質問をまとめました。

 メールで領収書を送付する際にも、収入印紙は必要ですか?

メールで領収書を送付するケースは少なくありませんが、領収書であっても電子形態であれば印紙税法における課税文書には該当しないと考えられます。

そのため、領収書を印刷などしない限りは特に印紙税が課されることはありません。

 注文請書の場合は収入印紙を貼り付けなければいけませんか?

工務店では、発注者から注文書を受け取り、工務店から発注者に注文請書を発行するケースがよくあります。この注文請書は、印紙税法における「第2号文書」に該当するものだと考えられます。

これは、注文請書が工事の請負契約が成立したことを証明するために作られるものであるためです。

なかには、注文請書のフォーマットによっては契約金額が記載されていないケースもあります。ただ、そのような場合でも「見積書や注文書などで契約金額が確認できる」あるいは「当事者間で契約金額が明確となっている」なら、その金額を契約金額として扱い、金額に応じて課税されます。

 万が一印紙を貼り間違えて多く納税した場合はどうなりますか?

工事請負契約書の収入印紙を多く貼ってしまうミスが起こる場合もあるでしょう。

もしも謝って納税してしまった場合は、所轄の税務署長へミスがあった工事請負契約書の原本を提示し、税務署長より承認がもらえれば印紙税の還付を受けられるため、申請してください。

 工事請負契約書の印紙税軽減措置期間は延長されていますか?2025年5月以降はどうなりますか?

工事請負契約書を含めた印紙税の軽減措置期間は令和6年3月31日までから令和9年3月31日までに延長されています。そのため、2025年5月以降も軽減税率で印紙を納税してください。

 印紙税の納付はいつまでに行うべきですか?

印紙税の納付は、契約書作成時に即時に行うことが原則とされています。具体的には、契約書を作成した日から最も近い税務署において、遅滞なく納付しなければなりません。

 工事請負契約書に貼る収入印紙はどちらが負担すべき?

工事請負契約書に貼る印紙税の負担は、課税文書の作成者に納税義務があります。

こちらは印紙税法第3条によって定められており、課税文書を複数の者が共同作成したなら連帯して印紙税を納める義務という決まりもあります。

実務としては契約書を2通作成して当事者がそれぞれ1通ずつ保管する流れとなっているため、慣習的にはお互いがそれぞれ印紙税を負担するケースが多いです。

印紙代の振り分けについて法的な定めはないため、双方が納得のいく形を決定すると良いでしょう。

 工事請負契約書に収入印紙を貼る位置は?

工事請負契約書収入用紙を貼る場合、1枚目の左上に貼付します。

印紙を貼付した場合、消印が必要となります。

消印は印章もしくは署名でおこない、書類と印紙の彩紋(模様)の上にかけるようにしてください。

消印がなければ印紙を貼付しても無効となるため、十分注意しておくようにしましょう。

 印紙税の還付請求権はいつまでに行う必要がある?

印紙税など国税に係る過誤納金の請求権は、請求できる日から5年経過すると消滅します(国税通則法第74条第1項)。

納税地の所轄税務署長に提出もしくは提示したときを基準とし、5年経過しているかどうかで判断します。

請求できる日は、印紙納付の方法であれば印紙を貼り付けた日が対象です。

書式表示などの承認によって申告納税方式を取る場合、更正の請求方法によって、法定申告期限から5年以内に行う必要があります。(国税通則法第23条)。

 国や地方公共団体が作成する文書には印紙税が不要?

国・地方公共団体が作成した請負契約書などの公用文書は、印紙税法第5条第2項で 「非課税」 と定められているため、工務店側が その原本に印紙を貼る必要はありません。

また、原本を単にコピーして自社で保管するだけなら課税文書を「新たに作成」したことには当たらず、こちらも印紙は不要です。

ただし注意したいのは、工務店(受注者)が自社の都合で別途作成する「注文請書」「変更契約書」「控え用の写し(請書形式)」などです。

これらは受注者自身が“課税文書を作成した”とみなされるため、契約金額に応じた収入印紙の貼付と消印が必要になります。

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印紙税もその他コストも削減できるAnyONE

AnyONEは電子契約に対応しており、印紙税の削減にも役立つツールです。さらに、印紙税だけでなく幅広いコスト削減に貢献してきた実績があります。ここでは、AnyONEを導入いただいた工務店で、どのようなコスト削減が実現したかを紹介します。

株式会社中商様では以下のようなコスト削減に成功しています。

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営業プロセスでは、顧客情報の一元管理による属人化の防止が間接的なコスト削減につながっています。担当者間の情報共有が容易になり、伝達ミスや重複作業に起因する無駄なコストを削減。営業担当者の生産性を向上させ、結果的に人件費の効率化を実現。

システム管理においても、従来の分散していた顧客管理システム(専用ソフトとエクセル)から、一元的なシステムへの移行により、データ入力や管理に関わる工数を大幅に削減しました。これにより、間接的な人件費コストの削減を達成しています。

特に注目すべきは、イベント告知や資料請求における選択的なアプローチです。全顧客に一律のDMを送付するのではなく、最適な顧客層のみをターゲットにすることで、マーケティングコストを劇的に低減しました。

AnyONEの導入は印紙税のみならず、幅広い業務に渡ってコストを削減するために役立ちます。

その他のAnyONE導入事例もぜひご覧ください

まとめ

今回は、契約書の作成時に欠かせない収入印紙に関して、その具体的な役割と印紙税の納付方法や節税方法などについて解説しました。
請負契約など、各種契約書を利用する機会の多い工務店の担当者にとって、収入印紙と印紙税についてはしっかりと理解しておきたいところです。今回の内容を参考に、ぜひ収入印紙、印紙税について理解を深めるようにしてください。

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なお、以下の『他社システムの機能比較』では、工務店に必要な契約書を作成できる業務効率システムを、提供する企業ごとに比較しています。契約書作成業務を効率化したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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