工程表の作成方法は? 作り方のポイントや遅れが出た場合の対応

建設業において、工程表の作成は工事の進捗を可視化し、関係者とスムーズに連携するための基本業務です。工事工程表の作り方ひとつで、現場の効率やトラブルの有無が左右されるといっても過言ではありません。

しかし現実には、「エクセルで工程表を作成しているけれど修正が煩雑」「工程表の管理が属人化していて不安」などの悩みを抱える現場も多くあります。

特に工事が予定より遅れた場合の対応に頭を悩ませる企業も少なくありません。

本記事では、工程表の基本的な作成方法や、工期の遅延時にどのように工程管理を見直すべきかをわかりやすく解説します。

さらに、Excelでの限界を感じている方に向けて、工程管理を効率化する業務管理ツール「AnyONE（エニワン）」の活用方法もご紹介します。

工程表をもっと簡単・正確に作りたい方、工事の工程管理を仕組み化したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

工程表の基本と作成時のコツ

工程表の基本と作成のポイントを解説します。

　そもそも工程表とは？

工程表とは、工事全体の流れを時系列で整理・可視化するためのスケジュール表です。着工から完工までの作業工程を把握し、誰が・いつ・どの作業を担当するのかを明確にする役割を担います。

また、職人・協力会社・発注者・社内メンバーなど関係者との情報共有にも不可欠です。

たとえば、設備工事の前に配管工事が完了しているか、外構工事の直前に資材が届いているかなど、工程表によって確認・調整がスムーズに行えます。

工事の進行管理や品質確保、コストコントロールの土台ともなるため、工程表は単なる「予定表」ではなく、現場運営の中核を支える重要資料といえるでしょう。

　工程表作成の3つのコツ

工程表をスムーズに活用するには、ただ予定を並べるだけでなく、「実行できる表」に落とし込むことが重要です。

以下の3つの視点を意識すると、より実践的な工程表が作成できます。

　　工種・作業工程を細かく分解する

工事全体を「躯体工事」「内装仕上げ」などに大分類し、さらに「解体」「配線」「クロス張り」など細かく工程を分けることで、作業の拾い出しが効率化し、さらに抜けやダブりを防げます。

　　余裕を持ったスケジュール設定をする

天候や資材遅延、人員都合などでスケジュールがズレる可能性もあるため、工程ごとに1〜2日の余裕日を設けておくと安心です。

どうしても工期に余裕がない場合は、人員との兼ね合いを考えながら調整しましょう。

　　関係者と事前に内容をすり合わせる

工程表は作成者だけで完結せず、施工管理者や職人、協力業者との確認を行いましょう。

共有と調整のプロセスこそが、実行可能な工程表を作るポイントです。

日程について調整の申し入れがあった場合は素直に応じ、無理なく品質の高い成果物を納品できるよう調整します。

工程表の作成方法5種とメリット・デメリット

工程表を作成する方法は、主に5つあります。それぞれの方法について解説するため、参考にしてください。

　①手書き・紙面

メリット	デメリット
柔軟に記入できる	修正や加筆に手間がかかる
現場で即興的に対応できる	情報の共有・保存に不向き

手書きの工程表は、特に小規模な現場や即時性が求められる打ち合わせなどで活用されます。ホワイトボードや紙を使えば、その場で状況に応じて柔軟に書き換えることが可能です。

一方で、修正履歴が残らない、誰かが記入しないと情報が共有されないといった課題もあり、工程が複雑な案件や、複数の現場で並行して作業するような体制にはあまり向いていません。

　②エクセル

メリット	デメリット
多くの人にとって操作に慣れている	行数・列数が増えると煩雑になりやすい
テンプレートを作れば繰り返し使える	ファイル共有時に履歴や整合性が崩れることがある

Excel（エクセル）で作る工程表は、現在も多くの工務店や建設会社で使われている一般的な方法です。自社にあったフォーマットを作成すれば、何度も使い回せるため、運用コストを抑えることができます。

ただし、編集ミスや上書きミスが起こりやすく、属人化する傾向もあります。また、関係者が同時に編集できないため、情報共有のスピードや正確性に課題が残るケースもあります。

また、関数を組むことで修正・変更をおこないやすい工程表を作成できます。ただし、複雑なファイルになると作成者以外がメンテナンスができなくなるため、注意が必要です。

　③無料テンプレート

メリット	デメリット
初心者でも簡単に導入できる	カスタマイズ性に乏しい場合がある
すぐに使えるフォーマットが豊富	現場ごとの対応に限界がある

無料で配布されている工程表テンプレートを活用すれば、フォーマット作成の手間を省きながらすぐに運用を開始できます。ネット上には「Excel 工程表 テンプレート」といったキーワードで多くのひな形が公開されています。

ただし、テンプレートによっては現場に合わない項目がある／変更が難しいといったこともあり、複雑な案件や細かい管理を行いたい場合は不向きなこともあります。

　④ガントチャート専用ソフト

メリット	デメリット
作業の前後関係が一目でわかる	導入・操作習得に一定のハードルがある
複数現場の進捗を視覚的に管理できる	チームでの運用設計が必要になる

ガントチャート形式の工程表作成ツールを使えば、視覚的に工程を把握でき、スケジュールの前後関係も一目でわかります。特に複数現場を同時に動かしている現場管理者にとっては、全体を俯瞰しながら調整できる点が強みです。

一方で、初期設定やツールの使い方に慣れるまではやや手間がかかるため、ITに不慣れな現場では定着までに時間がかかることもあります。

　⑤業務管理ツール

メリット	デメリット
工程管理だけでなく見積や発注などと連携できる	導入初期に社内の仕組み化が必要
属人化を防ぎ、情報共有が自動化できる	費用が発生する（ただし費用対効果は高い）

業務管理ツール（例：AnyONE）を活用した工程表の作成は、近年多くの建設会社で注目されています。

Excelでは分断されがちな「見積・工程表・実行予算・支払い・メンテナンス情報」なども、ひとつのシステム上で一元管理できます。

これにより、工程のズレが起きにくくなり、業務の属人化や情報共有ミスも大幅に削減できます。

AnyONEでは、工程表のテンプレート作成や進捗の可視化、変更時の通知機能もあり、忙しい現場でも確実に情報を伝達できる体制が構築可能です。

工程表の作り方のポイント

作成時のポイントについて解説します。具体的な作成手順・書き方について知りたい方は「工程表の書き方」をご参照ください。

　工事内容に合わせた工程表の種類を選ぶ

まず、現場でおこなう工事の内容（規模・工期・項目数など）に適している工程表の種類を選びましょう。
代表的な工程表は、「バーチャート工程表」「ガントチャート工程表」などがあります。
例えば、バーチャート工程表は「横軸に時間」「縦軸に作業項目」を決め、各作業の始まりから終わりまでをバーで示した工程表です。
ガントチャート工程表は「横軸に進捗率」「縦軸に作業項目」を決め、各作業の進捗率を書き加えていく工程表です。
ほかの工程表の種類や特徴を詳しく知りたい方は、「工程表とは」をご参照ください。

　工程表の作成者を明確にしましょう

次に、工程表の作成者を明確にします。作成者を明確にすることで「誰がいつまでに作成するか」がはっきりとし、現場での報連相や、指揮を取りやすくなります。
ただし、工程表作成は経験とノウハウが必要となるため、慎重に担当者を決定しなければなりません。

　工程ごとの期間を設定する

完工予定日から逆算し、工程ごとの期間を設定します。期間の設定は、スケジュールに無理が生じていないかに注意しましょう。材料手配や職人の確保といった観点でもチェックしてください。

　誰が見ても分かりやすい工程表にする

工程表は、社内だけでなく施主様や協力業社などにも共有します。誰が見ても理解できる工程表を作成することを意識しましょう。わかりやすい工程表のポイントは下記の3つです。

・専門用語を使いすぎない
・工事の進捗状況が分かる
・編集・共有をしやすい

分かりにくい工程表を作成してしまうと、方々から何度も確認の連絡が届き、手間がかかってしまいます。

作成した工程表の工期に遅れが出たときにおける対応

工期の遅れは、一番のトラブルです。万が一、遅れが出たときにおける対応について解説します。

　施主様や業者・職人など関係者へ連絡

トラブルの報告が遅れると、施主様のクレームにつながりかねません。迅速に関係者に連絡を入れましょう。まず、社内で上司や担当営業、設計者などに後期の遅れを報告します。施主様や工事関係者への連絡の仕方など、今後における対応について協議しましょう。

特に施主様への連絡は注意を払わなければなりません。ポイントは、現状と対策をセットで連絡することです。下記の点を押さえて連絡しましょう。

・現状でどのくらい工期が遅れているか
・工期が遅れた原因は何か
・修正後の工期はどうなるか
・工期の修正で手続きは必要か
・工事の代金の支払いはどうなるか

工事関係者は、現状の工期に合わせて段取りを組み、他の現場（仕事）と調整をしています。最悪の場合、工期の遅れで工事を請け負うことができなくなるかもしれません。

工事関係者には、修正後の工程表を作成し、工事を再手配しましょう。複数の業者や職人で作業を進めている場合は、現場の混乱を避けるため、対応や注意事項についても同じ連絡します。

　工程表の組み直し・修正工程表の作成

工程表を組み直す際は、単に遅れた分だけスケジュールをずらしても意味がありません。できる限り遅れを取り戻すことができ、現実味のある工程表を作成します。社内で協議した際に、修正後の工程表を元に意見や協力を求めましょう。

修正後の工程表を工事関係者全員に配布します。配布だけでなく関係者に説明し、メール・FAXだけでなく口頭でも確認しておきましょう。

　　工程の再調整をする際のポイント

工期が遅れた場合は、全体のスケジュールを見直し、再調整を行う必要があります。ただし、単に日付を後ろ倒しにするだけでは、さらなる混乱を招くおそれも。調整時には「全体の流れ」と「各工種の依存関係」に注目することが大切です。

まず確認すべきは、遅れの影響がどこまで波及しているか。たとえば、基礎工事の遅延が内装工事にどの程度影響するか、関連する工程すべてを洗い出します。

そのうえで、他の工程との重複作業の可能性や、工程の前倒し・並行作業の可否も検討しましょう。また、協力業者との再調整や再発注の必要性もこの段階で明確にしておくと、対応がスムーズです。

　再発防止に向けた管理体制の見直し

一度工期に遅れが発生した場合は、その原因を明確にしたうえで、同じ問題が繰り返されないような体制の見直しが求められます。

たとえば、情報共有の遅れが原因なら、工程表の共有方法や更新頻度を見直す。口頭や個別連絡に依存していたなら、全体で見える化された工程管理に切り替えることが効果的です。

また、資材の納期遅延や職人の手配ミスがあった場合には、調達や発注のタイミング管理にも改善の余地があります。属人的な対応を減らし、誰が見てもわかる工程管理の仕組みをつくることが理想です。

工程表の作成方法に関するよくある質問

最後に工程表の作り方についてよくある質問をまとめました。

　Q1：工程表を作成するには何が必要ですか？

工程表を作成する際には、工事全体の流れや作業項目の洗い出しが欠かせません。具体的には以下の情報が必要です。

• ●各工程の内容と順序（基礎・躯体・内装など）
• ●工事期間（開始日・完了予定日）
• ●作業ごとの所要日数
• ●担当業者や職人の予定
• ●必要な資材や設備の納期

以上のような情報を揃えてから、現実的に作業が可能な工程表を作れます。

　Q2：Excelで工程表を作る方法は？

Excelで工程表を作るには、日付と作業項目を縦横に配置した表形式が一般的です。

テンプレートを活用すると作成がスムーズですが、関数やマクロを使えば比較的楽に工程表を作れます。

ただし複雑になると管理が煩雑になりやすいため、現場が多い場合や変更頻度が高い場合はツール導入も検討しましょう。

　Q3：工程表とガントチャートの違いは？

工程表は工事全体のスケジュールを時系列でまとめた表で、紙やExcelで作成されることが多いです。

一方、ガントチャートは視覚的な工程表であり、作業の開始・終了時期や重なりが棒グラフで表示される形式です。

違いは「見せ方と使いやすさ」にあり、ガントチャートの方が直感的で調整もしやすいため、近年では専用ツールによる管理が増えています。

　Q4：工程管理を効率化するにはどうすればいいですか？

属人的な管理やExcelの限界を感じているなら、工程管理を効率化できるツールの導入が有効です。

たとえば、AnyONEのような業務管理システムでは、工程表の作成・共有・修正が一元化されており、担当者間でリアルタイムに情報を共有できます。

また、見積や支払い、実行予算と連動することで、工程全体を俯瞰した意思決定が可能になります。

まとめ

今回ご紹介した通り、工程表は工事を完了させるための重要なツールです。抜け目のない工程表を作成するため、工程管理ツール・ソフトの活用をおすすめします。
工程表のテンプレートが豊富に用意されており、現場に合う適切なフォーマットを利用できるからです。同時に、顧客管理や売上管理、アフター管理など多機能を有している点も魅力です。

ですが、「工程管理ツール・ソフトは種類がたくさんあって違いが分からない」と感じられている方もいるかもしれません。
そこで、各社の工程管理ツール・ソフトの機能を一覧で比べてまとめました。
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